年末企画

編集部員の“今年のお気に入り”

今年1年間で各編集部員がもっとも気に入ったソフトを紹介

 オンラインソフトの情報を、毎日お届けしている窓の杜。編集部では世界中で公開されるさまざまなオンラインソフトの情報を求めて、日夜ネットを徘徊している。そうして見つけたオンラインソフトを紹介し、読者のみなさんと感動を共有できるのが何よりの喜びだ。ここでは、今年窓の杜で取り上げたオンラインソフトのなかで、各編集部員やライターがもっとも気に入った“今年のお気に入り”ソフトをご紹介していこう。

OneDriveにため込んだ子供の写真を一気に整理「簡単デジカメ写真整理」

「簡単デジカメ写真整理」

 娘が生まれてからというもの、スマートフォンのカメラで撮影してOneDriveでパソコンと同期するという運用を続けてきた。まったく何も意識することなくパソコンに写真がたまっていくため、写真の枚数を気にすることなく写真を撮れて大変便利だ。ただ、便利すぎていつの間にか3年弱の間にOneDriveの“カメラ ロール”フォルダー直下へ9千枚弱の写真がたまってしまった。

 こうなるとフォルダーを開くだけで1分近く時間がかかってしまい、写真を見返すのがおっくうになってくる。さらに、今年は息子も生まれ、写真の増加速度は確実に増してくるはずだ。このままでは子供の写真を見返す至福の時間が面倒な作業になってしまう。

 そこで利用したのが「簡単デジカメ写真整理」だ。もはや手動では整理不能となった“カメラ ロール”フォルダー内の写真を一気にフォルダー分けできる。操作もシンプルで、フォルダー分けの方法にこだわらなければ、整理したいフォルダーと写真を保存したいフォルダーを指定するだけで利用できる手軽さもいい。フォルダー分け方法を変更するのもプルダウンメニューから選ぶだけでたいした手間ではない。

 さらに、HTML形式のアルバムを作成する機能も備えており、子供の写真を見返す至福の時間をさらに快適にしてくれる。この方法があれば、また整理することを考えずに写真を撮れる。生まれたばかりの息子とこれから幼稚園へ入る娘の写真が、ますます増えそうだ。

(長谷川 正太郎)

最短クリアに特化したRPG風パズル「マジックポーション・エクスプローラー」

「マジックポーション・エクスプローラー」

 今年も窓の杜ではさまざまなゲームを紹介してきた。ここのところ時間のやりくりに苦労している筆者は、指をくわえつつなかなか手を出せずにいたのだが、本作は例外となった。

 “自動探索型RPG”と銘打たれた本作は、地下に潜る・アイテムを探すといったダンジョンの探索はもちろんのこと、途中で遭遇する敵との戦闘も含めてほぼ自動で行われるRPG。プレイヤーは何をするかというと、探索や戦闘の結果入手する“RP”という経験値のようなものを消費して主人公の能力を上げていくだけ。

 重要なのは、溜まったRPをどのタイミングでどれだけ消費して何の能力を上げていくか、ということ。能力には攻撃力やHP、戦闘後の自動回復力や、RPを多く取得できるようにするもの、探索スピードを速めるものが用意されている。ダンジョンは階が下っていくと敵が強くなっていくだけでなく、一定階ごとに強力なボスが待ち構えているので、主人公が自動的に戦っているのを眺めつつ、状況に見合ったレベルアップを選択していくことになる。

 本作が本領を発揮するのは、一度最後までクリアしたのちのこと。クリア時にかかった日数が表示されるので、これを短くしていくのに心血を注ぐことになる。そのために役立つのが、探索スピードを速める能力。ただしこの能力は諸刃の剣で、探索スピードは速くなればなるほど途中で獲得できる総RPが減ってしまい、戦闘能力などが高くなる前に深層へ到達してしまうのだ。

 したがって、ゴール時に必要な能力から逆算して、どの段階で最低どれだけの能力があればいいのかを計算していく必要がある。ゲームのシステム的にあるはずの、最適なタイミングで最適な選択をすることで到達する最短日数クリアを目指して。それはまるで、正解がぼんやりとしか見えないパズルを完成させるために、手探りでピースをはめていくように感じた。

 筆者はまだまだやりこみが浅く、81日でクリアしてSランクを獲得するのがやっとだ。ただし感覚としては少なくとも70日台はいけるはずなので、この年末には挑戦してみたい。

(橋本 崇史)

細やかな小気味良さがWeb閲覧をより快適にしてくれる「Vivaldi」

「Vivaldi」

 「Internet Explorer」「Firefox」「Google Chrome」。Windows環境でWebブラウザーを利用する際、この3つは避けて通れない選択肢だろう。大きな新機能が追加されるごとに3者を比較したり、用途に応じてWebブラウザーを使い分けている方も少なくないのではなかろうか。

 そんなWebブラウザー選びに強力な選択肢が加わりそうだ。かつてOpera SoftwareのCEOを務めていたJon S. von Tetzchner氏らが新会社からリリースした「Vivaldi」だ。先日“Beta 2”が公開され、正式版にまた一歩近づいた「Vivaldi」は、柔軟なカスタマイズ性や、他のWebブラウザーでは拡張機能がなければ利用できない細やかな新機能の追加など、今、並み居るライバル達の中でも特に勢いが感じられる。

 筆者が「Vivaldi」を利用する上で感じるのは、ちょっとした小気味よさだ。Webブラウザーは、日常的に使うものだけに頻繁なアクションが発生する。新規にタブを開く、スクロールを行う、リンクをクリックして次のページへ進む……。そうした1つ1つのアクションでレスポンスの悪さを感じると、1度の不満は気が付かないほど小さくとも、積み重なるうちにじわじわとストレスを感じてしまうものだ。

 「Vivaldi」は、そうした日常的なアクションへ機敏に反応してくれる。これは日常的に大量のWebページを閲覧する筆者には非常にありがたい。「Chromium」がベースとなっていることもあるのだろう、これまで表示の崩れなどに悩まされたことも殆ど無く、正式版、そしてその先の進化が楽しみなWebブラウザーだ。

(市川 祐吉)

オープンソースで復活! Microsoft製のブログエディター「Open Live Writer」

「Open Live Writer」

 今年のMicrosoftを象徴するキーワードをひとつ挙げるとするなら、それは“オープンソース”ではないだろうか。

 かつてのMicrosoftはオープンソースに対して批判的な態度をとっていたが、CEOがナデラ氏に交代してからは人(会社?)が変わったかのように態度が一変、次々と自社プロジェクトをオープンソース化している。なかには『ぇ、そんなものまでオープンソースにしてしまっても大丈夫なの?』と心配になってしまうほど巨大な・中核的なプロジェクトまでが含まれているから驚きだ。最近では、「Visual Studio Code」のソースコードが公開されたことや、JavaScriptエンジン“Chakra”をオープンソースにしたことが記憶に新しい。

 こうした今年の流れを締めくくったのが「Open Live Writer」のリリースだった。同社のオープンソースプロジェクトの多くは、コミュニティの助けを得て発展を加速させることを目的にしている。しかし、「Open Live Writer」はサポートができなくなった古いプロジェクトをオープンソース化して、開発とサポートをコミュニティへ委ねることを目的としている点が異なる。こうしたタイプのオープンソース化は企業にとってメリットが少ないかもしれないが、採算の点などから惜しまれつつ開発が中止されたほかのプロダクトについても、できれば同様の配慮を期待したいものだ。

 最近のブログサービスは高度な編集機能を備えており、バックアップの仕組みもかつてより充実している。そのため、昔ほど「Open Live Writer」のようなローカル編集ツールにこだわる必要はなくなった。しかし、ほかのデスクトップツールとの連携や、プラグインによって機能を拡張できる点においては、まだ一日の長があるはずだ。「Open Live Writer」は3年間の眠りから覚めたばかりで、現在はv1.0へのリリースに向け、ちょうどリハビリ中という段階にある。もし不具合を見つけたり、機能改善の案を思いついたら、ぜひフィードバックを送ってみてほしい。「Open Live Writer」が成功事例になれば、今後も同様の施策が期待できるはずだ。

(樽井 秀人)

旧型マシンのChromeユーザーにオススメしたい「The Great Suspender」

「The Great Suspender」

 Windows 7のメインストリームサポートが年始に終了、Windows 10が9月に発売された2015年、パソコンを買い換えるには最適なタイミングだった。それでも、パソコンのハードウェア性能は近年、Web閲覧を中心とした一般的な用途であれば飽和気味なため、Windows 7時代のパソコンでも困ることは少ない。ただし、メモリを除いては。

 動画サイトなどのリッチなWebコンテンツが増えた結果、Webブラウザーのメモリ消費も激しくなっている。たとえば、「Google Chrome」のタブを10個程度開いた状態で再起動せずに使い続けると、4GBではもちろんのこと、8GBのメモリでも心もとない。

 メモリ増設が困難な旧型マシンで「Google Chrome」を利用するなら、非アクティブなタブを自動で休止してくれる拡張機能「The Great Suspender」がオススメだ。休止までの待機時間や、除外するドメインを指定できるほか、任意のタブを即座に休止させたり、一時的に休止対象から除外することも可能。

 「The Great Suspender」によって休止したタブのメモリ消費はほぼゼロになるものの、「Google Chrome」の動作が重くなってきたらウィンドウをいったん閉じ、再起動したほうが快適だ。このとき、各タブを休止させたまま閉じれば、履歴からセッションを呼び出したときに、その休止状態も復元できる。

(中井 浩晶)