杜のAndroid研究室

WebブラウザーからAndroid向け電子書籍を制作できるサービス“Androbook”

連番JPEGファイルをZIPにまとめてアップするだけの簡単仕様、マーケット公開可能

(11/02/09)

 『杜のAndroid研究室』では、スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”をテーマに、窓の杜スタッフが厳選したアプリなどを紹介していく。今回は、WebブラウザーからAndroid向け電子書籍を制作できるサービス“Androbook”を紹介しよう。

“Androbook”とは

“Androbook” “Androbook”

 Android搭載のスマートフォンや“GALAXY Tab”のようなタブレット端末は、iPhoneやiPadと同様、電子書籍の閲覧ツールとしても注目されている。そういったなか、ほとんど手間をかけずに、Android向けの電子書籍を制作できるWebサービスが公開されている。それが“Androbook”だ。主にマンガの電子書籍制作をターゲットにしたこのサービスでは、連番のJPEGファイルをZIP形式でアーカイブしてアップロードするだけで、アプリとしてインストール可能な電子書籍を簡単に作れる。また、複数のHTMLファイルをZIPファイルにまとめることでも、電子書籍を作成可能だ。

 こうやって完成した電子書籍は、自らのアカウントでAndroidマーケットに公開できるほか、マーケットに公開せず、一人で楽しむこともできるようになっている。このAndrobookについて、今回は実際にオリジナルの電子書籍を制作して、Androidマーケットに公開するまでの流れを紹介しよう。

ビューワーの機能

“Androbook”のビューワーアプリ “Androbook”のビューワーアプリ

 電子書籍の制作に入る前に、まずはAndrobookでどういった電子書籍が作れるのかを紹介しよう。Androbookで制作した電子書籍のビューワーでは、画面に触れることで画面下部にページの移動と拡大・縮小を行なうためのボタンが現れる。このボタンは指を離すとすぐに消え、閲覧を邪魔しないようになっているのがうれしい。ページを拡大した際には、紙を指で動かすように画面をドラッグすることで、ページの表示位置を移動しながら閲覧していくことが可能だ。そのほか、フリック操作によるページめくりや、マルチタッチ対応の端末ではピンチ操作による拡大・縮小にも対応している。

 また、端末のメニューボタンを押すことで、ページジャンプを行なったり、設定画面を呼び出したりすることが可能。設定画面では、各種ボタン表示の有無などビューワーの挙動を変更できる。また、この設定画面中の“ボリュームキーフック”をONにすると、端末のボリュームボタンの上下でページめくりが行なえるようになる。デフォルトではこの設定はOFFになっているが、スムーズな閲覧ができる機能なのでぜひONにして利用しよう。

表示の拡大が可能 表示の拡大が可能

“ボリュームキーフック”をONにするとボリュームボタンの上下でページめくりが可能に “ボリュームキーフック”をONにするとボリュームボタンの上下でページめくりが可能に

Androbookの仕組み

電子書籍アプリの初回起動時にデータがダウンロードされる 電子書籍アプリの初回起動時にデータがダウンロードされる

 AndrobookにZIPファイルをアップロードするとAndroid用のアプリが作成されるが、このアプリにはZIPファイルの中味は入っていない。アップロードしたZIPファイルはサーバーに保存され、作成した電子書籍アプリをAndroid端末で起動すると、自動的にSDカードへデータがダウンロードされる仕組みになっている。電子書籍のデータがSDカードに保存されるため、端末本体の記憶容量を圧迫しないのが特徴だ。

 また、この電子書籍アプリにはビューワー機能は含まれていないため、ビューワーアプリが端末にインストールされていない場合は別途インストールすることになる。しかし、このビューワーアプリの導入はそれほど面倒ではない。電子書籍アプリを実行した際、ビューワーアプリがなければ自動でAndroidマーケットのクライアントアプリを起動し、該当アプリを開いてくれるからだ。そのため、迷うことなくすぐに電子書籍を閲覧することができる。

 また、電子書籍アプリではなく、Androbookのビューワーアプリを直接起動した際は、端末にインストール済みの電子書籍の一覧が表示される。この機能を使うことで、多数のアプリのなかから、電子書籍だけをスムーズに探して閲覧することが可能になっている。

ビューワーアプリが入っていない場合は簡単にダウンロード可能 ビューワーアプリが入っていない場合は簡単にダウンロード可能

インストール済みの“Androbook”製電子書籍を一覧表示できる インストール済みの“Androbook”製電子書籍を一覧表示できる

Androbookで電子書籍を作ろう! 〜その1:前準備

今回作成したマンガの1ページ 今回作成したマンガの1ページ

 それでは、Androbookで実際に電子書籍を制作して、Androidマーケットに公開してみよう。Androbookは主にマンガの電子書籍を想定したサービスであるため、今回はマンガを電子書籍化してみた。

 公開のために用意しなければならないのは、マンガの描かれた連番のJPEGファイルだ。そこで本記事のために、絵を描かずにマンガを作成できるツール「コミPo!」を利用して、16ページのマンガ原稿を作成した。Androbookでは推奨画像サイズが横幅540〜960ピクセルとなっているため、横幅828、高さ1,200ピクセルの画像を作成することにした。またファイルサイズを抑えるため、「コミPo!」でJPEG画像を直接出力するのではなく、PNG出力した画像を「Photoshop」を利用して画質50でJPEGに変換している。

 原稿の内容は『マンガで分かるAndroid開発環境構築方法』として、Android端末を持っていて、実際にアプリを作ってみようと考えている人に役立つノウハウを、16ページのマンガにまとめた。この16枚の画像ファイルをZIP形式でアーカイブして使用する。またAndrobookでは、アプリにアイコン画像も設定できるようになっている。アイコン画像は縦横72ドットのサイズになるので、こちらも用意しておく。

 なお、執筆現在のAndrobookの仕様では、一度作成した電子書籍アプリを同一のアプリとしてバージョンアップすることはできない。公開用のファイルは、何度か見直しをして確かめるようにしよう。

Androbookで電子書籍を作ろう! 〜その2:ファイルのアップロード

 AndrobookのWebページを開き、用意したZIPファイルをアップロードする。アップロードの設定には、“マーケット公開用”と“自炊用またはテスト用”の2種類がある。テスト用にすると、しばらく経つとデータがサーバーから削除される仕組み。マーケットでの公開予定がない原稿を端末に取り込みたい場合には、“自炊用またはテスト用”を選択しよう。今回は、Androidマーケットでの公開が目的なので、“マーケット公開用”を選び、電子書籍を作成する。

 “終了時検索ワード”欄は、Androidマーケットの検索ワードを指定するもの。最終ページを読み終わったあとに次のページを読もうとすると、この欄に入力した単語で検索を行なってくれる。続き物の作品を作った際には作品名などをキーワードに設定しておけば、続きのダウンロードページに誘導できる。また、このキーワードを利用して、自分のアプリに誘導することも可能だ。マンガでアプリの紹介をして、読み終わったら実際のアプリをダウンロードしてもらうといった使い方も考えられる。なお、デフォルトではキーワードに“androbook”が入っており、ほかのAndrobook製書籍を検索できる仕組み。特定の利用目的がなければそのままにしておこう。

 ZIPファイルをアップロードすると、アプリをダウンロードするリンクが表示されるので、ダウンロードしてローカルに保存する。このとき画面にQRコードが表示されるので、“自炊用またはテスト用”と設定した場合はアプリをPCに保存しなくても、このQRコードを端末で読み取り、直接ファイルを取り込むことが可能だ。

“Androbook”にZIPファイルをアップロード “Androbook”にZIPファイルをアップロード

アップロード後の画面 アップロード後の画面

Androbookで電子書籍を作ろう! 〜その3:マーケットで公開

 最後はAndroidマーケットでの公開だ。Androidマーケットでアプリを公開するには、開発者登録が必要になる。今回は、筆者の会社のアカウントを利用して、作成した電子書籍アプリを公開する。登録はAndroidマーケットの開発者向けWebサイトから行う仕組みだ。なお今回は、マンガの台詞が日本語なので“掲載する国/地域”を日本に限定した。

Androidマーケットの開発者向けWebサイトでアプリを登録 Androidマーケットの開発者向けWebサイトでアプリを登録 Androidマーケットの開発者向けWebサイトでアプリを登録

Androidマーケットからダウンロード可能に Androidマーケットからダウンロード可能に

 アップロードして公開したファイルは、数分以内にAndroidマーケットからダウンロードできるようになる。Android端末のマーケットアプリからアクセスできるほか、先日開設されたPC版のAndroidマーケットからもインストール可能だ。

Androbookの利点と電子書籍の今後の課題

 今回、マーケット公開用に原稿を作成して公開を行ったが、Androbookの利用自体は非常に簡単で、マーケット公開まで短時間で行なえた。電子書籍は入手も保管も簡単だが、このサービスを使うことで、作るのも簡単になったと言えるだろう。こういったサービスの登場は、電子書籍時代の到来を強く感じさせる。

 逆に予想よりも多くの時間がかかった部分もある。それは原稿の作成だ。理由は、現状のAndrobookが一度作成した電子書籍のアップデートに対応していないことと、Androidマーケットではアプリを公開した際に初出時しか新着に掲載されないことにある。そのため、とりあえず公開しておいて、あとで修正を重ねていくといった使い方ができないために校正作業に時間を取られた。

 電子書籍の魅力のひとつは、紙の本よりもアップデートが容易なところにある。誤字を直すといったネガティブな使い方だけではなく、最新の情報へアップデートするといった電子書籍ならではの使い方も考えられるだろう。今後Androbookにもバージョンアップ機能が実装され、そういった使い方ができるようになればありがたいと感じた。

 とはいえ、先のことを考えずに、手持ちのデータから簡単に電子書籍を作れるという手軽さがAndrobookの最大の魅力だ。そして、何よりも無料で利用できることがうれしい。自分で電子書籍をリリースしてみたいと考えている人は、このサービスを利用して、どういったものが作れるのか、どんな反応を得られるのか試してみてはいかがだろうか。