特集

「コミPo!」でマンガを作ろう! 〜操作方法から制作テクまで徹底紹介〜 前編

基本機能だけで4コママンガを作ってみる!

(10/12/15)

「コミPo!」 「コミPo!」

 『マンガを描きたい!』 子供時代にマンガを見て育った人の多くが、教科書やノートに、自分だけのオリジナルマンガを描いて遊んだことと思う。しかし、絵が描けないという理由でマンガを描くことを挫折した人も多いはずだ。そんな人たちにとって、待望のソフトが本日15日に発売された。そのソフトの名前は「コミPo!」。ページ上に3Dキャラクターや2D背景を配置して、フキダシやマンプ(漫符:漫画符号の略称)を並べるだけでマンガを完成させられるソフトだ。まさに、未来のソフトといった製品である。

 この「コミPo!」は、“コミックシーケンサー”という新しいジャンルのソフトになる。キャラクターは3D素材として用意されており、自由にポーズを選んだり、表情を変えたりすることが可能だ。カメラアングルを変えたり、キャラクターを回転・拡大・移動することも自由自在に行える。背景やマンプも選ぶだけで利用可能なほか、画像素材を自作して追加することで、表現の幅を広げる機能もサポートされている。そして制作したマンガは、ネットなどで自由に発表することができる。

 「コミPo!」を見て思い出すのは、2007年に発表された「初音ミク」である。歌もの楽曲の制作における大きなハードルだった“ボーカルの録音”をパソコン上の合成で代用できるようにして、楽曲制作のハードルを大きく下げた。同じように「コミPo!」は、マンガ制作の上でネックとなっていた“作画作業”をぐっと簡単にしてくれる。簡単なマンガなら1ページ10〜20分もあれば完成させることが可能だ。実際、本特集のために14ページのマンガを制作した際は、画面をキャプチャーしながらも約3時間で全作業を終えることができた。

 それでは実際にマンガを制作していきながら、この画期的なソフト「コミPo!」を紹介していくことにしよう。全2回予定の前編となる今回は、基本的な操作方法を紹介しながら、4コママンガを制作していく。

画面の紹介

 「コミPo!」の画面は大きく分けて4つに分かれている。左側が“素材リスト”、中央が素材を配置する“編集ウィンドウ”、右側上部が選択した素材の設定を変更する“レイヤープロパティ”で、右側下部が“レイヤーリスト”だ。

 素材リストでは、素材がタブ形式で11種類のカテゴリーに分類されている。各タブの中にはさらにプルダウンリストがあり、詳細なジャンル分けがなされている。各素材はドラッグ&ドロップで編集ウィンドウに配置可能だ。それではこれらの素材の特徴と収録数を、表にして簡単に紹介しておこう。

ページ ページの作成・削除や移動を行う -
コマ 定型コマ -
3Dキャラクター プリセットキャラやユーザーがカスタマイズしたキャラクター 6種類(プリセット)
3Dアイテム 文房具や机など、さまざまな3D素材 約40種類
フキダシ 縦書き、横書き、尻尾の有無などで分けられたフキダシ 形状10種類×しっぽ3種類
背景画像 学校や町の風景、心象風景などの一枚絵 約190種類
アイテム画像 2Dの画像素材 約80種類
マンプ 喜怒哀楽や動きの効果などを表すマンガの記号 約280種類
描き文字 音や動き、心象を表す派手な文字 約130種類
効果線 集中線や動線 約60種類
ユーザー画像 JPEG/PNG/GIF/BMP/TIFF画像を登録可能。画像を配置する際は、透明部分の周囲に縁をつけることもできる -

3Dキャラクター 3Dキャラクター

3Dアイテム 3Dアイテム

フキダシ フキダシ

背景画像 背景画像

アイテム画像 アイテム画像

マンプ マンプ

描き文字 描き文字

効果線 効果線

 編集ウィンドウでは、ドラッグで素材の移動などが可能。素材を選択すると、四隅に四角、四辺に丸のマークが現れる。四角をドラッグすれば素材が拡大縮小し、丸をドラッグすれば素材全体のページ上での表示が回転する。さらに3D素材では、素材の中央に4つの丸と四角が現れる。このマークをドラッグすることで、直感的に3D素材を操作できる。左ドラッグで動かせば3Dモデルが全方位に回転、右ドラッグで動かせば素材枠内での移動、また中ボタンを押した状態でドラッグすればズームを行える。表示が重なった素材は、右下のレイヤーリストで選択するか、編集ウィンドウをダブルクリックすることで選択を切り替えることが可能だ。

 レイヤープロパティでは、素材を縁取りしたり、表示・非表示を切り替えることができる。この領域は素材ごとに違う設定があるので詳細は後述する。

 レイヤーリストでは、コマごとに素材がまとめられている。この領域の上部にある上下の矢印をクリックすることで、素材の重なり順を入れ替えることが可能だ。

 本ソフトでのマンガ制作は、基本的に画面上を左から右へと操作していく流れとなっている。左列で素材を選び、中央に素材を配置、その位置調整をしたあと、右列で細かな設定を行うといった具合だ。この作業の繰り返しでコマの内容を作っていく。

キャラクターの設定

カメラアングルの変更

カメラアングルの変更 カメラアングルの変更

 キャラクターは表情とポーズとパーツを設定できるほか、どういったカメラアングルで表示するのかを選べるようになっている。これらは、キャラクターを配置したあとに、レイヤープロパティで設定できる。

 操作の流れとしては、“ポーズを決める”“表情を決める”“カメラアングルを選択する”といった順番がわかりやすい。なぜなら、ポーズの種類によって最適なカメラアングルが違ってくるからである。先にカメラアングルを設定しても、ポーズを変えると再度設定し直す必要が生じてくる。

 以下に、それぞれの操作と、その効果を表にまとめておく。これらは、ダイアログで設定を変更すれば、ウィンドウ上で即時に設定が反映される。

[3Dキャラクター設定]−[ポーズ変更] 体のポーズ(約130種類)の変更
[3Dキャラクター設定]−[表情変更] 顔の表情(約200種類)の変更
[3D設定]−[カメラアングル] キャラクターのカメラアングルを選択
[3Dキャラクター設定]−[パーツ変更] 髪型やメガネ、手の形や手に持つ道具を変更

 配置したキャラクターは前述の通り、枠などのドラッグで、回転・移動・ズームなどが可能だ。

フキダシの設定

フキダシの設定 フキダシの設定

 マンガで主役になるのは、絵と台詞だ。この台詞を表示する“フキダシ”は、ほかの素材と大きく違う点がある。それは、フキダシの外枠(バルーン状の部分)と、台詞自体(文字部分)と、2つの選択領域があることだ。フキダシを配置したあとにレイヤーリストを見ると、フキダシマークのレイヤーの下に、子レイヤーとして“あ”という文字部分を表すマークがついたレイヤーが追加されている。

 台詞は、レイヤープロパティの[フキダシ]欄で入力する。編集ウィンドウで入力するのではない点に注意が必要だ。文字を入力したあと、フキダシ内での文字の位置を調整するには、文字部分を選択したあとにドラッグすればよい。

マンプの設定

マンプの設定 マンプの設定

 マンプ(漫符)は、マンガ独特の約束事である。たとえば、汗の記号を書くことで焦っていると解釈させたり、青筋の記号を書くことと怒っていると解釈させたりする。マンガは、このマンプを使うことで表現を簡素化し、読者に意図を伝えやすくしている。もしマンプがなければ、焦ったり怒ったりしていることを表現するために、複雑な表情を描いたり、多くのコマ数を費やさなければならないだろう。このためマンプは、絵と台詞に加えてマンガの大切な表現になっている。

 本ソフトには、感情を表すもの、動きを表すもの、その他の演出を加えるものなど、いくつかのカテゴリーに分けられた多数のマンプが用意されている。本ソフトでは、これらのカテゴリーから素材を選んで配置するだけでマンプを利用できる。

基本素材だけで4コママンガを作ってみる

 それでは実際のマンガ制作に入っていこう。今回は基本素材だけを使って4コママンガを制作する。そして次回は、キャラクターのカスタマイズ機能でオリジナルキャラクターを作って、14ページのストーリーマンガを制作する。それぞれのマンガの制作にかかった時間を掲載しておくので、制作の際の参考にしてほしい。なお、今回は画面キャプチャーを撮りながら制作したので、実際はもっと短く制作可能だ。

4コママンガ 1時間
14ページマンガ 3時間

 さて、今回は4コママンガを制作していく。人それぞれ作業の方法は違うと思うが、ここでは筆者の作業手順に従って説明する。筆者のマンガ制作の流れは以下のようなものだ。

  1. テキストエディターで、台詞だけの文字ラフを書く(「コミPo!」以外での作業)
  2. 台詞を配置して、コマ割りを行う(今回は4コマなので省略)
  3. 絵を入れていく(「コミPo!」なのでドラッグ&ドロップで完了!)
  4. 全体を見て、バランスを調整をする
  5. 画像を出力する

 文字ラフについては、以下のリンク先に掲載しておくので参考にしてほしい。4コママンガなので、起承転結の順番でコマの内容を制作している。

1コマ目 読者に疑問を提示する
2コマ目 起を受けて、話を展開する
3コマ目 インパクトのあるコマを置く、話の転換
4コマ目 転を受けたオチ

 それでは以下、実際の作業内容を掲載する。

「コミPo!」起動時の作業

“コミック作成開始”ダイアログ “コミック作成開始”ダイアログ

 「コミPo!」を起動すると、“コミック作成開始”ダイアログが表示される。ここでは4コママンガを作るので、[コミックを新しく作る]を選択して[4コマ用(縦長ハーフサイズ)]ボタンをクリックする。

 次に“ページテンプレート選択”ダイアログが表示されるので、タイトルつきのテンプレートを選択して[OK]ボタンをクリックする。

 すると、ページが表示される。4コママンガのコマ割りがあらかじめ行われているのがわかるだろう。また、レイヤーリストには5つのコマが作成されている。4コママンガなのになぜ5コマかというと、タイトル部分も1コマとしてカウントされているからである。

“ページテンプレート選択”ダイアログ “ページテンプレート選択”ダイアログ

4コママンガの新規作成画面 4コママンガの新規作成画面

1コマ目

 ここからは画面を中心に解説していこう。

まずは背景を配置。背景はキャラクターとサイズを合わせるため、拡大して位置を調整している まずは背景を配置。背景はキャラクターとサイズを合わせるため、拡大して位置を調整している

キャラクターを配置。秩父山先生というプリセットキャラを選択した。このキャラクターの設定を変えていき、マンガのコマの内容に合わせていく キャラクターを配置。秩父山先生というプリセットキャラを選択した。このキャラクターの設定を変えていき、マンガのコマの内容に合わせていく

[パーツ変更]でメガネを外す [パーツ変更]でメガネを外す

[ポーズ変更]で机に手をつく姿勢に [ポーズ変更]で机に手をつく姿勢に

[表情変更]で怒ったような顔を選ぶ [表情変更]で怒ったような顔を選ぶ

結果としてこのように見た目が変わる。簡単な選択だけで、マンガのキャラクターを配置できるようになっている 結果としてこのように見た目が変わる。簡単な選択だけで、マンガのキャラクターを配置できるようになっている

キャラクターに迫力が少し足りないので、移動と回転を行う。画面にぐっと迫るようになった キャラクターに迫力が少し足りないので、移動と回転を行う。画面にぐっと迫るようになった

さらに迫力をつけるために、円形効果線を追加する。素材リストの[効果線]タブで“円形”ジャンルを選び、円形効果線を編集ウィンドウにドラッグ&ドロップする さらに迫力をつけるために、円形効果線を追加する。素材リストの[効果線]タブで“円形”ジャンルを選び、円形効果線を編集ウィンドウにドラッグ&ドロップする

効果線の位置が真ん中すぎたのでサイズを調整。また、フキダシを追加した 効果線の位置が真ん中すぎたのでサイズを調整。また、フキダシを追加した

フキダシに台詞を設定 フキダシに台詞を設定

さらにフキダシを加えて台詞を追加し、最後に描き文字を追加。レイヤープロパティの[フチドリ幅]を変えることで、配置した描き文字の周囲の縁の幅を変更した さらにフキダシを加えて台詞を追加し、最後に描き文字を追加。レイヤープロパティの[フチドリ幅]を変えることで、配置した描き文字の周囲の縁の幅を変更した

2コマ目

背景画像にはモブ(群衆)の入ったものがある。そのため教室の背景を利用する際に、生徒を1人ずつ配置する必要はない 背景画像にはモブ(群衆)の入ったものがある。そのため教室の背景を利用する際に、生徒を1人ずつ配置する必要はない

先ほどは男性キャラの先生を配置したので、今回は女性キャラの生徒を使う。プリセットキャラのこみぽちゃんをドラッグ&ドロップする 先ほどは男性キャラの先生を配置したので、今回は女性キャラの生徒を使う。プリセットキャラのこみぽちゃんをドラッグ&ドロップする

表情を変えたあとにマンプを置いてみる。マンプもドラッグ&ドロップだけで簡単に配置できる 表情を変えたあとにマンプを置いてみる。マンプもドラッグ&ドロップだけで簡単に配置できる

台詞を追加。また、背景の人々のざわめきを出したいので描き文字を加える。これで2コマ目は完成 台詞を追加。また、背景の人々のざわめきを出したいので描き文字を加える。これで2コマ目は完成

3コマ目

3コマ目は転のコマなので、背景をド派手なものにする 3コマ目は転のコマなので、背景をド派手なものにする

これまでと同じようにキャラクターを配置。頭を抱えるポーズを選び、叫ぶような顔を選択する これまでと同じようにキャラクターを配置。頭を抱えるポーズを選び、叫ぶような顔を選択する

キャラクターの手前に集中線、奥に円形効果線を配置することで、ダイナミックさを強調する キャラクターの手前に集中線、奥に円形効果線を配置することで、ダイナミックさを強調する

マンプで頭の動きと、体の震えを追加する。マンガでは、こういった線を追加することで、静止している絵に、簡単に動きの表現を追加することができる マンプで頭の動きと、体の震えを追加する。マンガでは、こういった線を追加することで、静止している絵に、簡単に動きの表現を追加することができる

最後に台詞を追加して完了。今回はわかりやすいように絵のあとに台詞を追加しているが、先に台詞を配置してもよいだろう 最後に台詞を追加して完了。今回はわかりやすいように絵のあとに台詞を追加しているが、先に台詞を配置してもよいだろう

 効果線には、今回使った集中線や円形効果線のほか、フラッシュや線形が用意されている。好きなものを選んで配置して、迫力ある画面を作り上げてほしい。

4コマ目

4コマ目 4コマ目

 4コマ目はこれまでの組み合わせなのでサクッと完成させる。コマの左と右下に、フキダシなしの文字があるが、これは素材リストの[フキダシ]タブの中にある“タテ書き”と“ヨコ書き”を選択したもの。これらを選ぶと、フキダシなしで文字を配置できる。また、モザイクの表現は[マンプ]タブの“その他”ジャンルのなかに含まれている。

タイトル

タイトル タイトル

 実はまだ完成ではない。タイトルが残っている。タイトルもコマの1つなので、背景画像や描き文字、フキダシなどを配置することができる。

全体表示

全体表示 全体表示

 ページの全体表示は、メインメニューから[表示]−[全体を表示]で行えるほか、編集ウィンドウの上部にも[全体を表示]ボタンが用意されている。この表示サイズの切り換えでは、全部の素材が再レンダリングされるので数秒待つ必要がある。その間、編集ウィンドウの中身が消えて操作不能になったように見えるが、バックグラウンドで作業をしているだけで異常ではないので、間違えてソフトを終了しないようにしよう。

画像ファイル出力

“画像ファイル出力”ダイアログ “画像ファイル出力”ダイアログ

 制作したマンガの出力は、メインメニューから[ファイル]−[画像ファイル出力]で行える。編集ウィンドウの上部にボタンも用意されている。

 画像ファイル出力のダイアログでは、出力サイズやファイル形式、出力先フォルダを指定できる。出力可能な形式はPNGとJPEG。注意する点は[出力範囲]の項目である。編集ウィンドウには、青枠、緑枠、ページの端と、3種類の枠がある。コマをはみ出して素材を配置している場合は、[緑枠線内]を選んでおくとよい。そうすれば、マンガの素材が断ち切られないようになる。

 また、標準では出力した画像の右下隅に「コミPo!」公式サイトのURLが挿入されるが、これは設定により挿入されないようにすることも可能。

4コママンガ完成!

 ざっと手順を追っていったが、サクッと4コママンガが完成した。以下に出力したマンガを掲載する。

4コママンガ『メガネ×メガネ』 4コママンガ『メガネ×メガネ』

 そして次回は、いよいよ数ページにわたるストーリーマンガを描いていく。というわけで、最初の2ページを予告編として掲載しておく。お楽しみに。

ページマンガ『メガネ番長』予告編 ページマンガ『メガネ番長』予告編