グレイメルカ

　架空の歴史の中で起こった戦乱にフォーカスした、大河ドラマのような物語が特徴的なシミュレーションRPG。ゲームクリアまでのプレイ時間は40～50時間程度、仲間ユニットは総勢40人ほどにもなる大作だが、ゲーム開始時に難易度を3つから選択できる点などから、幅広いプレイヤー層が楽しめる作品となっている。

　本作の特徴は、“武器の三すくみ”、“仲間からの支援”、“キャラごとの固有スキル”といったSRPGのオーソドックスなシステムを基盤としつつ、プレイアビリティに配慮した機能が見られる部分だ。戦闘マップ上でのステータス表示について、動かすキャラクターを選択すると、移動範囲内にいる敵と戦闘した場合に与える予想ダメージが表示されるなど、戦闘判断に役立つ情報が一見でわかるようになっている。

　また、物語を楽しむという側面では、作品中に登場する多くの国家や人名の情報が随時更新されていき、それらをいつでも参照できる“情報”システムも特徴的。物語が進むごとに増えていく情報を振り返るために最適な機能となっている。

　肝心の物語も重厚なものとなっている。舞台となる大陸中央に位置する“ロマテア帝国”の皇帝“ウォレア”は、ある時、隣国“フバーライン”への侵攻を開始するが、奇襲により壊滅的な打撃を受けてしまう。激怒したウォレアは、“グレイメルカ”と呼ばれる毒をフバーラインの川一帯に流し、国民に対しても無差別的な攻撃を加える禁忌の作戦を発動する。戦争には勝利するも、後世に繋がる強い遺恨も残してしまう。

　ゲーム本編である第一章は、ウォレアの次代皇帝“レシウル”の治世から開始。グレイメルカに汚染されたフバーラインで生まれた“クナタ”と“カタリ”は、ロマテアへの復讐のため、ウォレアの跡継ぎであるレシウル暗殺を目論み帝国に侵入する。しかし、そこで期せずしてレシウルの長男である王子“サーシン”を助けたことで、彼らの思い、そして運命さえも動かされていく。

　第二章以降も登場人物や国家が増えていき、さまざまな策謀が交錯するなど、常に先が気になる物語に仕上がっている。歴史上で起こった戦乱と、そこで生きた人々の思い、そして運命が描かれる物語は大きな見所だ。