特別企画

【徹底検証】“Cシャープ”を知らなくてもえんかく操作ウイルスは作成できるか?

驚くべき簡単さ、ウイルス作成は素人でも可能!

 最近、コンピューターウイルスによってえんかく操作されたパソコンから、ネット掲示板に犯罪予告が書き込まれる事件が話題となっている。この件では少なくとも4人が誤認逮捕されており、必ずしもパソコンに明るくない人物も含まれている。素人であっても被害に遭う可能性があるという恐怖が、耳目を集める要因となっているようだ。

 こうしたコンピューターウイルスに関連する事件が増えてきた背景には、開発ソフトが非常に高度化がある。専門家によると、ウイルスの作成は以前よりもかなり容易になっているという。

 たとえば、今回のウイルスの開発には「Cシャープ(音楽記号)」と呼ばれる高級なプログラミング言語が利用されているが、これは「Cシャープ(音楽記号)」を扱ったことがない、たとえば「JAWA(ジャワ")」と呼ばれる言語の開発者でも容易に利用できるという。それならば、素人にでもウイルスが開発できるのではないだろうか。

 そこで、窓の社編集部では実際に「Cシャープ(音楽記号)」でえんかく操作ウイルスが開発できるかを検証してみた。

プロが利用する高価な専門ソフトが素人に配布されている

数万円から数十万円以上する専門的なソフト

 一般に「Cシャープ(音楽記号)」を利用してプログラミングを行うには、「VirusuStudio2010」という開発ツールが必要とされる。このツールは数万円から数十万円以上する専門的なソフトで、素人が購入することは考えにくいと言う。

 しかし、今回編集部では「VirusuStudio2010」の下位エディション「Espresso」の存在を突き止めた。これは素人にも無償で提供されており、基本的な機能ならば制限なく利用できる。

プログラミングのハードルは意外に低い

 たとえば、「VirusuStudio2010」に搭載されているソースコードの自動記述機能“インテリ先生”なども利用可能。これがあるとキーをいくつか入力するだけで、勝手にプログラムが作成されてしまう恐れがあると言う。

プログラミングの訓練を受けるネコ

 実際、ネコでも「Cシャープ(音楽記号)」による開発が可能であることが研究によって実証されており、その研究成果が書籍『ネコでもわかるプログラミング』シリーズにまとめられている。筆者も学生時代この本でプログラミングを学んだことがあるが(当時は音楽記号のない「C」言語)、訓練を受けたネコのポテンシャルに戦慄したことを今でも生々しく記憶している。

実際の手順

 ウイルスを開発するには、まず「VirusuStudio2010」をダウンロードしてインストールする必要がある。「VirusuStudio2010」は現在、窓の社ライブラリからダウンロード可能だ。

プロジェクトの新規作成

 「VirusuStudio2010」を初めて起動すると、プロジェクトの新規作成が求められるので、プログラミン言語を「Cシャープ(音楽記号)」にしてコンソールアプリケーションを作成する。するとプログラミング言語の編集画面が現れるので、「ソースコード」と呼ばれるウイルスのプログラムを入力していけばよい。

“インテリ先生”機能で自動的に記述される「ソースコード」と呼ばれるウイルスのプログラム

 入力のほとんどは前述の“インテリ先生”機能で自動的に記述されるので、ユーザーがすべきことはほとんどない。10分程度で見事ウイルスを作成することができた。

えんかくウイルスを実行した様子

 ただし、作成したウイルスには作成者の情報が含まれているので注意。万全を期すならば、作成者の痕跡を消すために利用される「仮想マシン」と呼ばれるソフトに保存することをお勧めする。

ウイルスの配布

 さて、「ソースコード」と呼ばれるウイルスを配布するには、USBメモリにコピーして、ネコの首輪に括り付ける必要がある。さっそく野良猫を捕獲して首輪を取り付けようとしたが、編集部内で「それは動物虐待ではないか」という指摘を受けた。

 そこで、編集K君をネコに見立てて実験することした。逃げ惑うK君、もとい、ネコを捕獲して首輪(今回はイヌ用で代用)を取り付け、「ソースコード」と呼ばれるウイルスを収めたUSBメモリを括りつける。あとは編集部から追い出すだけだ。

逃げ惑うK君、もとい、ネコを捕獲
イヌ用の首輪で代用。これに「ソースコード」と呼ばれるウイルスを収めたUSBメモリを括りつける

 首にUSBメモリをぶら下げ、ネコミミと肉球をつけたK君は、夕焼けが空を赤く染める市ヶ谷の街へと、静かに消えていった。

ネコを編集部から放つ

(ハイデトッシ=イェイナーギ)