特別企画

CSVエディターとしても優秀な多機能テキストエディター「EmEditor Professional」v15

確かなテキスト編集機能+“巨大ファイルコントローラー”でGB単位のデータもサクサク扱える

「EmEditor Professional」v15

 高速・軽量・多機能な国産テキストエディター「EmEditor Professional」のメジャーバージョンも、今回で15回目を迎えた。

 最新版のv15では、巨大なCSVデータを扱うデータベース管理者や、大量のログファイルを効率的に分析する必要のあるサーバー管理者向けの機能が多く盛り込まれた。本稿では、“CSVデータの編集ツール”としての「EmEditor Professional」に焦点を当てながら、v15の新しい機能を紹介していきたい。

“CSVデータの編集ツール”としての「EmEditor」

 テキストエディターの用途と言えば、原稿を書いたり、ソースコードを記述するといったことが真っ先に思い浮かぶのではないだろうか。しかし、顧客情報やログデータなどのデータベースも歴とした“テキスト”データだ。データが“テキスト”ベースでありさえすれば、テキストエディターの立派な“守備範囲”と言える。

 もちろん、「EmEditor」もこの守備範囲をきっちりカバーしており、CSV(カンマ区切り)、TSV(タブ区切り)、DSV(ユーザー定義区切り)のデータを扱うことが可能だ。

 たとえば、“.csv”ファイルを開くと「EmEditor」は“通常モード”とは異なる、特殊なモードになる。このモードでは、一般的なテキスト編集で扱う“行”に加え、“列”を扱うことが可能。区切り文字(カンマやタブなど)で“行”を縦に区切り、区切られた項目をそろえて閲覧できるようになるのだ。

通常モード
CSV(カンマ区切り)モード

 各項目は薄いグレーの縦線で区切られており、まるで「Microsoft Excel」のセルのように扱える。たとえば、この縦線をドラッグすれば、幅を伸縮させることが可能。データの一行目を“見出し”として扱う“ヘディング”機能も備える(0~4行までを“見出し”化することが可能)。

縦線をドラッグすれば、幅を伸縮させることが可能
データの一行目を“見出し”として扱う“ヘディング”機能

 さらに、ルーラー部分を右クリックするとメニューから“列”を選択・挿入・追加したり、並び替えたりすることもできる。また、指定した“列”をキーにして“行”をABC順に並び替えることも可能。テキストエディターにもかかわらず、数字で書かれた“テキスト”データを“数値”として評価し、昇順・降順に並び替えることだってできる。

“行”の並び替え

 そのほかにも、[重複行の削除]コマンドを利用すれば文書中の内容がまったく同じ行を削除したり、複数のCSVデータを結合することも可能。並び替えのオプションを指定すれば、安定ソート(同等なデータの順序が、並び替え後も保存される)など、非常に機能が充実している。

[重複行の削除]コマンド
並び替えのオプション

 つまり、「EmEditor」は“CSVエディター”としても、専用エディターに伍していくだけのポテンシャルを秘めているわけだ。

 しかし、『一つのソフトになんでもかんでも機能を詰め込むより、専門の単機能アプリの方が優れているのではないか?』と思うユーザーも少なくないだろう。

 確かに専用エディターの方がよい場面もあるが、「EmEditor」のような“何でもあり”のソフトにも魅力は多い。

 たとえば、専用エディターにはちょっとした機能が欠けていて、不便に感じることが少なくない。たとえば、ワイルドカードや正規表現で検索できなかったり、大文字・小文字変換などのちょっとした機能が欠けていて、不便に感じられることがある。

 その点、「EmEditor」ならばベースとなるテキスト編集機能がしっかりしているので、そういった心配はない。使い慣れた豊富なテキスト編集機能を、そのままデータベース管理やサーバーのログ分析といったシーンに応用できるのは心強い。

GB単位のファイルサイズを軽々と扱うことができる“巨大ファイルコントローラー”

 加えて、「EmEditor」ならばGB単位のファイルサイズを軽々と扱うことができる。ファイルの指定する一部だけを開く“巨大ファイルコントローラー”を活用すれば、一般のCSVエディターではとてもじゃないが扱えないようなサイズのログファイルも、軽々と扱うことができるだろう。まさに、データベース管理者やサーバー管理者にうってつけの機能と言える。

 なお、テキストを「EmEditor」へコピーした場合など、モードが自動で認識されないときは、[編集]-[CSV/並び替え]メニューから手動でモードを選択すればよい。CSVエディターとして利用する機会が多いならば、[CSV/並び替え]ツールバーを表示しておくとよいだろう。CSVデータを扱うためのコマンドへすばやくアクセスできて便利だ。

強化された“高度なフィルター”

 さて、これまでに紹介した基本的な機能だけでもだいたいの用は事足りるが、ワンステップ上の使いこなしを目指したいならば、“フィルター”機能はマスターしておきたい。とくにv15では“高度なフィルター”が強化されており、これまで不可能だった複雑な条件でフィルタリングが行えるようになっている。

 “フィルター”機能を利用するには、[フィルター]ツールバーを利用するとよいだろう。表示されていない場合は、[表示]-[ツールバー]-[フィルター ツールバー]メニューを選択して有効化できる。

 “フィルター”の基本的な使い方は、[フィルター]ツールバーのテキストボックスにキーワードを入力するだけ。テキストボックスに入力されたキーワードに合致する“行”だけが表示され、それ以外の“行”は非表示となる。[フィルター]ツールバーの[正規表現を使用する]ボタンをONにすれば、フィルタリング条件に正規表現を利用することもできる。

[フィルター]ツールバーのテキストボックスにキーワードを入力して、合致する“行”だけを表示
特定の“列”のデータのみをフィルタリングの対象に

 さらに、特定の“列”のデータのみをフィルタリングの対象にすることも可能。テキストボックスの右側にあるリストボックスで“列”を選択すると、選択した“列”にキーワードが含まれる“行”だけが表示されるようになる。ここまでの操作をマスターすれば、ほとんどのケースに対応できるだろう。

 しかし、もっと複雑な条件でフィルタリングしたい場合もあるかもしれない。たとえば、2つ以上のキーワードを含んだり、Aは含むがBは含まないというケース、または複数の列にまたがった条件を指定したい場合などが考えられる。その時に活躍するのが、“高度なフィルター”機能だ。

“高度なフィルター”機能
通常のフィルター機能に比べて複雑な条件が指定できる

 “高度なフィルター”機能を利用するには、まず[フィルター]ツールバーの[高度なフィルター]ボタンを押す。するとダイアログボックスが現れ、複数のフィルター条件を組み合わせられるようになる。それぞれのフィルター条件は、“論理積(AND:かつ)”や“論理和(OR:または)”でつなげていけるので、通常のフィルター機能に比べて複雑な条件を指定可能。

 そのほかにも、開始位置と終了位置を文字数で指定して“行”の一部分のみをフィルタリングの対象にすることも可能。たとえば、“行頭からX文字以内目に特定の文字列が現れる場合だけを集計する”や“指定した区間に特定の文字列が現れる場合は省く”といった条件を指定することもできる。

ブックマークを活用しよう

 また、“ブックマーク”機能と連携する方法もマスターしておきたい。

 “ブックマーク”機能とは、重要な行や作業が必要な行、削除対象にする行などにマークをつけておく機能だ。ブックマークされた行は一括で、切り取りや貼り付け、削除したり、マークの有無を反転することなどが可能。抽出して新しい文書を作成することもできる。

 特定の行を削除や抽出する際に、念のため目視で確認してから処理したい場合や、フィルタリング条件が難しすぎて、ある程度フィルタリングしてから目で追加チェックする方が早い場合は、一度ブックマークを付けてから作業を行うとよい。

 新しい「EmEditor」の[フィルター]ツールバーには[すべてブックマーク]ボタンが追加されており、フィルタリングされた“行”をワンクリックで簡単にブックマークできるようになっているので、ぜひ活用したいところだ。

[すべてブックマーク]ボタン
目印をつけておきたい行にマーク

 なお、単にフィルタリング条件に合致する“行”を抽出して新規文書を作成したい場合は、[フィルター]ツールバーの[すべて抽出]ボタンを利用すると早い。

そのほかのv15における改善点

 「EmEditor」v15では、CSV編集に関わる機能以外にも、多くのさまざまな改善が盛り込まれている。最後にそれらを一つずつ紹介していこう。

ワークスペースを複数管理

ワークスペースを複数管理

 「EmEditor」は、開いているファイルやその編集状態を記憶しておく“ワークスペース”という機能を搭載している。“ワークスペース”では、開いているファイルやブックマーク、アンドゥ・リドゥのための編集履歴といった“編集状態(セッション)”をひとまとめに保存しておくことが可能。終了時に自動でワークスペースを保存することで、ドキュメントを明示的に保存せず作業を中断しても、次回起動時にワークスペースを復元し、その作業の続きが行えるようになっている。

 「EmEditor」v15では、このワークスペースを複数管理できるようになった。[ファイル]メニューへ新たに設けられたサブメニュー[ワークスペース]から、現在のワークスペースを保存したり、保存済みのワークスペースを開くことができる。

 たとえば、複数のタスクを切り替えながら並行作業している場合などに役立てることができるだろう。

[ファイルから検索]と[ファイルから置換]コマンド

[ファイルから検索]と[ファイルから置換]コマンド

 また、[ファイルから検索]と[ファイルから置換]コマンドが強化。複数のフォルダーを検索対象として指定できるようになった。

 フォルダーを複数指定するには、縦線で区切って記述する。2重引用符で囲まれたパスも指定可能で、最大10,000文字まで認識できる。

 このコマンドは、無償版の「EmEditor Free」でも利用可能だ。

メッセージボックスの表記をわかりやすく改善

メッセージボックスの表記をわかりやすく改善

 そのほかにも、メッセージボックスの表記がわかりやすく改善された。

 たとえば、“はい”と“いいえ”という表記は、“保存する”と“保存しない”に改められた。質問に対する選択肢をそのまま提示するのではなく、それを選択すると何が行われるのかが明確化された。初めて使うユーザーにもわかりやすい。

まとめ

 「EmEditor」v15では、CSV関連の機能が一応の完成をみた。ベースとなるテキスト編集機能の確かさと、GB単位のサイズを軽々と扱える“巨大ファイル コントローラー”の組み合わせにより、専用のCSVエディター機能を凌駕するポテンシャルを秘めており、エムソフト社がビッグデータの編集を売りにするのも納得ができる。

 すでに次期バージョンの開発も進められており、マルチスレッド化によるフィルターの処理速度向上や、CSVデータで選択した“列”を抽出して新規ドキュメントを作成する[列の抽出]コマンドの追加といった改善が施されているようだ。今後もCSVエディター機能の充実に期待がかかる。

 v15では64bit版のポータブルアプリも用意されているので、自分のパソコンにインストールして使うだけではなく、USBメモリなどに入れて持ち運ぶことでさまざまな環境で利用できるのもよい。“永久ライセンス”を所持しているユーザーならば無償で最新版へアップデートできるので、「EmEditor」をぜひCSVエディターとしても役立ててほしい。

 なお、新規に購入する場合は18,000円(税込み)の“永久ライセンス”か、4,800円(税込み)の“通常ライセンス”を購入する必要がある。

 “通常ライセンス”は1年間有効で、それ以降は年額2,400円(税込み)の保守プランを購入することで最新版へのアップデートが可能。初期導入コストを抑えたい場合は“通常ライセンス”を選択すべきだが、長く使い続ける場合ならば最新版へのアップデートが保証される“永久ライセンス”の方がお得だ。現在ならば15,600円のキャンペーン価格で購入できるので、購入を検討しているならばこの機会を逃さないようにしたい。

(樽井 秀人)