特別企画

無償で始められる“ハイブリッド”な中小企業向けクラウドストレージ“DirectCloud-BOX”

リモートストレージとオンラインストレージのいいとこどり。ユーザー管理も柔軟に

“DirectCloud-BOX”

 IT業界の技術革新の目覚ましさは、ときに“ドッグイヤー”と表現されることがある。犬の1年は人間の7年に相当すると言われているが、IT業界も犬の成長と同様、たった1年で一般の業界の7年分の技術革新をやってのけるというわけだ。7年ならば、一般の業界の約半世紀分の進化を遂げているということになる。

 さて、この“半世紀”で多くの人々の生活にもっとも影響を与えたIT技術といえば何を思い浮かべるだろうか。これにはさまざまな意見があるだろうと思われるが、“オンラインストレージ”や“クラウドストレージ”を候補に挙げることへ異議を唱える人はいないだろう。

 この分野の先駆けとなった“Dropbox”が設立されたのは、ちょうど7年前。以降、それに追随するサービスが雨後の筍のごとく現れては消えていった。なかには“OneDrive”や“iCloud”などのようにOSに統合され、文字通り“切っても切れない”関係になっているものもある。

 そんななか、“中小企業向け”をコンセプトとするユニークなクラウドストレージがサービスインした。それが“DirectCloud-BOX”だ。

 “DirectCloud-BOX”の特長は、会社単位で1つのアカウントを保有し、そのなかに複数の社員アカウントを設けて権限を柔軟に管理できること。そして、社員のPCをクラウドの一部として利用でき、使い方によってはタダで無制限の容量を使えることだ。

 本特別企画では“DirectCloud-BOX”の仕組みを紹介し、その活用方法を検討する。参考にしていただければ幸いだ。

“DirectCloud-BOX”の特長

 “DirectCloud-BOX”はいわゆる“フリーミアム”なサービスになっており、基本的な機能は無償で利用できる。もっともベーシックな“Free”プランでは、10GBのオンラインストレージが利用可能だ。

“DirectCloud-BOX”の料金体系

 しかし、10GB程度の無償ストレージを提供しているオンラインストレージサービスなど今時ありふれている。では、そのなかから“DirectCloud-BOX”を選ぶべき理由とはいったい何なのだろうか。

「ファイルを会社のPCに忘れちゃった!」を防ぐ“My Desktop”

 その答えの1つが、“My Desktop”だ。この機能を利用すると、専用のデスクトップクライアントソフトをインストールしたPCのストレージへリモートからアクセスできる。

 たとえば、取引先を訪問して商品のプレゼンテーションを行わなければならないのに、うっかりプレゼンファイルをノートパソコンに移しておくのを忘れてしまったといった場合であっても、“My Desktop”機能があればノートパソコンから会社のデスクトップPCへリモートアクセスし、プレゼンファイルを取得することが可能。“DirectCloud-BOX”にはiOS/Android向けの専用クライアントアプリも用意されているので、スマートフォンやタブレットからリモートPCのファイルを閲覧・ダウンロードすることもできる。

“My Desktop”機能のイメージ

 本機能は“DirectCloud-BOX”のサーバーを介して接続される仕組みになっており、NAT環境でも特別な設定なしに接続できるので手軽。また、“Dropbox”などのクラウドストレージと異なりストレージ容量を自分で自由にコントロールできることもうれしい。自分のPCなのだから、ストレージが足りなくなっても気軽に買い足せる。

 なお、この“My Desktop”と同様の機能は、Microsoftがかつて提供していた“Windows Live Mesh”“SkyDrive”(現“OneDrive”)にも備わっていたが、今では廃止されている。“Windows Live Mesh”“SkyDrive”のようなリモートストレージアクセス機能を探していたユーザーがいれば、ぜひ“DirectCloud-BOX”もチェックしてほしい。

“My Desktop”の弱点を補う“My Box”と“Recent Box”

 さて、自分のデスクトップPCを容量無制限の自分専用のクラウドストレージにしてしまえる“My Desktop”は大変便利だが、弱点もいくつかある。

 たとえば、アクセス先のリモートPCは稼働状態で、インターネットにアクセスできていなければならない。PCの電源がオフになっていたり、ルーターがダウンしてアクセスできない場合は、“My Desktop”にもアクセスできなくなる。

 また、リモートPCのファイルはすべてアクセス可能な状態になり(もちろん他のユーザーのフォルダなど権限のないフォルダ・ファイルへはアクセス不能)、特定のフォルダのみをアクセス対象にしたりすることはできない。ディスクドライブを選択してパスをたどりながら目的のファイルを探すのは割りと億劫だ。

 そこで“DirectCloud-BOX”にはこの弱点を補う機能が備わっている。

“My Box”機能と“Recent Box”機能のイメージ

 まず、1つ目の「リモートPCに接続できない場合は“My Desktop”が利用できない」という制限に対しては、“My Box”が用意されている。

 この“My Box”は一般的なクラウドストレージが提供するストレージと同じで、いつでもどこからでもアクセスが可能。リモートPCをシャットダウンして出かける必要がある場合はこの“My Box”へファイルを移しておけば、モバイル端末や他のPCからいつでもアクセスできる。

 また、有料プランでは社員同士で共有できる“Shared Box”や社外メンバーも含め、プロジェクトに関わるメンバーだけで共有できる“Project Box”などを利用することも可能。“My Box”だけでは運用が不便な場合は、有料プランも検討したい。

 2つ目の「リモートPCのファイルすべてがアクセス可能になり、目的のファイルを探すのが億劫」という問題は、“Recent Box”機能で解決できる。これは最近扱ったファイルを自動でクラウドへ保存する機能で、あらかじめ指定した拡張子をもつファイルが対象となる。

 たとえばドキュメントフォルダへ表計算ファイルを作成したり、ダウンロードフォルダへPDFドキュメントを保存すると、それらが自動で“Recent Box”へ送られる。この“Recent Box”はリモートPCの電源がオフになっていてもアクセスが可能なので、1つ目の問題「リモートPCに接続できない場合は“My Desktop”が利用できない」への対策にもなる。初期状態ではオフィスドキュメントやPDFファイルのみが対象となっているが、必要に応じてテキストファイルや画像ファイル、動画ファイル、CADファイルなども対象に含めておけば、客先にファイルを忘れるといったことが防げるはずだ。

 なお、“My Box”や“Recent Box”に使える無償のクラウドストレージは、会社アカウント1つにつき10GB。社員間での利用配分は自由だが、社員アカウントの“クオータ”(割当量、容量制限)を設けることで、管理者側である程度のコントロールが可能となっている。

実際に使ってみよう

 それではさっそくアカウントを取得して、実際に利用してみよう。

アカウントの取得

 “DirectCloud-BOX”は一般のクラウドサービスとは異なり、“会社コード”“ID”“パスワード”の3つを組み合わせてログインする。“会社コード”1つに対して複数のユーザーアカウントが作成可能となっており、その数に制限はない。ユーザーアカウントの数に対して課金されるわけではないので、メンバーの増減があっても契約内容を見直す必要がないのはシンプルでよい。

 利用するには、まず下記URLにアクセスして会員登録を行う。

 この会員登録は無料で、ここで作成するユーザーアカウントが“会社コード”全体を管理する管理者アカウントとなる。

“DirectCloud-BOX”のアカウントを取得

 会員登録が完了したら次に管理ページへログインし、ユーザーアカウントを作成しよう。前述の通り、このユーザーアカウントはいくらでも作成できる。1人で利用する場合でも、念のため管理者アカウント以外のユーザーアカウントを作成して、そちらを常用するようにしたほうがよいだろう。

“DirectCloud-BOX”の管理画面へログイン

 ユーザーアカウントは階層化されたグループで管理できるようになっており、ユーザー単位・グループ単位で各種権限の設定が可能。ユーザーをグループへ割り当てるには、“ユーザー管理”画面でユーザーを当該グループへドラッグ&ドロップすればよい。

“ユーザー管理”画面でユーザーを登録
ユーザーをグループへドラッグ&ドロップ

 権限の管理は“セキュリティ”−“権限管理”画面で行う。ここで作成した権限を、ユーザーやグループへ割り当てる仕組みになっている。

“セキュリティ”−“権限管理”画面

 無償プランではリンクの作成権限の有無しか設定できないが、有償の上位プランでは共有ストレージ“Shared Box”“Project Box”(後述)へのアクセス権限を設定することが可能。

 このWeb管理画面では、そのほかにもさまざまな設定が行える。

 たとえば“セキュリティ”画面では前述の権限管理のほかにも、ログインの試行回数を制限して総当たり攻撃を防ぐロックアウトの設定や、アクセス可能なIPアドレスの制限などが行える。とくに“どこからでも自分のPCへアクセス可能”というこのサービスの性質上、IPアドレスの制限はできるだけ行っておきたい。管理者アカウントによるログインは会社内のIPアドレスからに限るようにしておけば、外部からの攻撃を防ぐことができるだろう。

 また、“設定”画面では“DirectCloud-BOX”の管理を行うアカウントの追加・削除が可能。ロゴイメージを設定できるのも“企業向け”をコンセプトとする“DirectCloud-BOX”らしい機能と言えるだろう。ぜひ自社のロゴを設定しておきたい。

デスクトップソフトの導入

 次に、PCへ専用のデスクトップソフトをインストールしていこう。デスクトップソフトは下記URLからダウンロードが可能。

 このデスクトップソフトは「PC アプリケーション」と呼ばれており、起動して“DirectCloud-BOX”アカウントでログインすると、同じアカウントでログインしたデスクトップアプリやモバイルアプリから当該PCへアクセスできるようになる。また、他の「PC アプリケーション」がインストールされたPC(“My Desktop”)や“My Box”へアクセスにも、この「PC アプリケーション」を利用する。

 「PC アプリケーション」はWindows版とMac版が用意されており、Windows版はWindows 7以降、Mac版はOS X 10.8.6以降がサポートされている(以後はWindows版の利用を前提とする)。

Windows版「PC アプリケーション」のインストール

 ユーザーインターフェイスはツリービューのない「エクスプローラ」によく似ており、ドラッグ&ドロップで相互にファイルのやり取りが可能。たとえば「エクスプローラ」から「PC アプリケーション」へファイルをコピーしたり、「PC アプリケーション」から「エクスプローラ」へフォルダをコピーできる。ファイルの転送状況は、画面下部にある[送受信ステータス]タブで確認が可能だ。

Windows版「PC アプリケーション」のログイン画面
Windows版「PC アプリケーション」の画面
“My Desktop”画面。リモートPCや“Recent Box”へアクセス可能
“Recent Box”の内容。画面下部にある[送受信ステータス]タブで転送状況がチェック可能

 なお、“My Desktop”は読み取り権限のみとなっているようで、書き込みは行えないので注意。“My Box”を介してファイルをやり取りする必要がある。

モバイル端末からPCへアクセスしてみよう

 リモートアクセスの準備ができたら、モバイルアプリからのアクセスを試してみよう。モバイルアプリも、先ほどのダウンロードページからダウンロードが可能だ。

 モバイルアプリはiOS版とAndroid版が用意されており、iOS版はiOS 6.1以降(編集部にてiPhone 5s上の“iOS 8”での動作も確認)、Android版はAndroid 2.2以降に対応している(以後はiOS版の利用を前提とする)。先ほど「PC アプリケーション」で利用したアカウントでログインすれば、“My Desktop”からPCへリモートアクセスできるはずだ。もちろん“My Box”や“Recent Box”にもアクセスできる。

iOS版「DirectCloud-BOX」アプリ
ログイン直後の画面。画面左上のボタンを押すと、“My Desktop”や“My Box”へアクセスできる

 さらに、各ファイルを横にスワイプすればメニューが現れ、メールでの送信、リンクの作成(後述)、リネーム、削除といった操作が行える。テキストファイルや「Microsoft Word」「Microsoft Excel」などのオフィスドキュメント、PDFファイル、画像ファイル、動画ファイルであれば簡単なプレビューも可能だ。

ファイルリスト。スワイプメニューからさまざまなコマンドが実行できる
対応するファイル形式ならばプレビューも可能

 このようにモバイル端末から気軽にリモートPCのストレージやクラウドストレージへアクセスできるのは大変便利だが、そこで気になるのがセキュリティだろう。モバイル端末を紛失して、リモートPCやクラウドストレージにアクセスされては困る。

 こういった懸念にも“DirectCloud-BOX”はしっかり対応。ID・パスワードの他に4桁の数字から成るPINコードが設定可能で、万が一紛失しても簡単にはアクセスできないようになっている。端末を紛失した際は早めに管理者へそれを伝え、“DirectCloud-BOX”から当該端末のアクセスを遮断してもらえば万全だろう。

PINコードを設定しておけば、万が一端末を紛失したときも安心。もちろん、管理者への連絡は早急に

 なお、“DirectCloud-BOX”にはWebのファイル管理インターフェイスが用意されていないので、Windows Phoneなど、ネイティブクライアントが用意されていないプラットフォームからはファイルへアクセスできないので注意。

共有リンクで外部ユーザーとファイルをやり取り

共有リンクで外部ユーザーとファイルをやり取り

 さて、クラウドストレージでもう1つ重要な機能といえば、ファイルの共有機能だろう。ほとんどのクラウドストレージサービスはファイルの公開リンクを作成して第三者と共有できる機能を備えている。外部ユーザーとファイルをやり取りするには必須の機能で、クラウドストレージサービスには必要不可欠な機能と言ってもよいだろう。

 もちろん“DirectCloud-BOX”でも共有リンク機能は利用可能。しかも、クラウドストレージである“My Box”や“Recent Box”だけでなく、“My Desktop”に対しても同様に公開リンクを作成可能。また、フォルダへのリンクも作成できる。

ファイルの共有リンクを作成する“Links”

 また、“企業向け”を謳うだけあって共有リンクの権限コントロールが柔軟に行えるのもポイント。たとえばパスワードをかけたり、有効期限を設けたり、閲覧回数を制限したりすることができる。これらの設定は途中からでも簡単に変更が可能となっており、「PC アプリケーション」の[Links]画面で一括管理できる仕組みになっている。

共有リンクを介して外部ユーザーとファイルを共有
作成した共有リンクは「PC アプリケーション」の[Links]画面で一括管理
もちろんモバイルアプリでも利用可能

有償プランを利用して、“DirectCloud-BOX”のポテンシャルを引き出す

 以上、無償プランをベースに“DirectCloud-BOX”の機能を紹介してきた。これらの機能だけでも十分魅力的と言えるが、有償プランを利用すれば“DirectCloud-BOX”の潜在能力をフルに発揮できる。

社内で共有できるクラウドストレージ“Shared Box”

社内で共有できるクラウドストレージ“Shared Box”
Webインターフェイスでアクセス権限を管理

 たとえば“Shared Box”を利用すると、管理者がクラウド上に共有フォルダを作成できる。いわば他のメンバーと共有できる“My Box”だ。

 それぞれのフォルダにはユーザー単位およびグループ単位でアクセス権限を設定することが可能で、全社で共有したり、部署で共有するクラウドストレージが簡単に実現できる。

 この機能は“Basic”プラン以上で利用可能だ。

社外メンバーを交えたプロジェクトのファイル置場“Project Box”

社外メンバーを交えたプロジェクトのファイル置場“Project Box”

 また、“Business”プラン以上であれば“Project Box”が利用可能。“Project Box”もクラウド上に作成されるストレージだが、“Shared Box”では管理者がアクセス権限を設定する必要があったのに対し、“Project Box”は一般ユーザーが自由に作成し、他のユーザーを招待できるところが異なる。

 “Shared Box”よりも作成・削除が簡単で小回りが利くため、一時的なプロジェクトのための共有ストレージが欲しい場合に便利。社外メンバーを招待することが視野に入れられており、簡単なリアルタイムコメント機能も備える。通知機能や投稿したコメントの編集機能などはなく、あくまでも簡易的なものだが、別途メールなどでやり取りしなくても簡単な伝言ならばこれで事足りるだろう。

 なお、モバイルアプリならばスワイプメニューからファイルを簡単に“Shared Box”や“Project Box”へコピーすることが可能。ただし、デスクトップアプリの場合はファイルの右クリックメニューから“Shared Box”へのコピーが行えるものの、“Project Box”へのコピーはできない。また、コピーコマンドが利用できるのも“My Box”のファイルに限られるようだ。

ユーザーのアクセス統計や警告などをグラフィカルに表示する“ControlCenter”

ユーザーのアクセス統計や警告などをグラフィカルに表示する“ControlCenter”

 有償プランではWebインターフェイスも大幅にグレードアップされ、ユーザーのアクセス統計や警告などをグラフィカルに表示するダッシュボードが追加される。

 この機能は“コントロールセンター”と呼ばれており、ユーザーのログイン履歴やファイルの送受信履歴、ファイルリンクの利用状況などのチェックも可能。不審な行動がないか、管理者側で確認できる。クラウドストレージサービスでここまで至れり尽くせりな管理機能が用意されているのはなかなかないだろう。

 そのほかにも、ストレージの割り当て量(クオータ)を使い切りそうなユーザーや、1週間以上利用のないユーザーやデバイスを一覧表示する機能なども備える。

 加えて、有償版では印刷機能の共有“DirectCloud-PRINT”などの機能が提供される。

まとめ

 “Dropbox”などでは当たり前になったローカルフォルダとオンラインストレージを同期する機能を備えない点など、若干操作性に洗練されていない部分があるのは否めないが、容量無制限の“リモートストレージアクセス”といつでもどこでもアクセスできる“オンラインストレージ”の長所を組み合わせ、短所を補いあう“ハイブリッド”な構成はとても興味深い。

 また“中小企業向け”を謳うだけあり、ユーザー権限のコントロールが柔軟に行えるのもメリット。とくに有償版ではアクセスの可視化とエラー検出、そしてセキュリティといった面まで気を配った設計になっているところに好感が持てる。通信の暗号化はもちろん、クラウドストレージではウイルスチェックも行えるので安心して利用できるだろう。

 コンセプトは“中小企業向け”だが、もちろん個人でも利用可能。家族やサークルなどで使ってみてもよいのではないだろうか。今度の成長に期待したい。