特別企画

まだまだ発展途上? 飽くなき進化をみせる「EmEditor Professional」v11

“マーカー”、“連続置換”、文字参照の変換など、魅力的な新機能を追加

(11/10/13)

「EmEditor Professional」v11.0.1「EmEditor Professional」v11.0.1

 Windows 95が利用されていた1997年から開発が始まった「EmEditor」は、今やWindows用としては押しも押されもせぬ定番の老舗テキストエディターだ。エディターとしての使いやすさはもちろん、高速な起動、軽快な動作、プラグインやマクロによる拡張性をうまくバランスさせている点が、多くのユーザーの支持を受けている。

 そんな「EmEditor」が、先月10回目のメジャーバージョンアップを迎えた。

 v9ではスニペット機能が大幅に強化されたほか、CSV/TSV編集機能、部分編集機能などが追加され、v10では比較機能をはじめとする各機能の強化・改善が施された。

 これでほぼ完成、改善の余地は少ないかと思われた「EmEditor」だったが、v11でも魅力的な機能がいくつも追加されている。本特別企画ではそれをご紹介しよう。

構文色分け機能とは別の、もう一つの色分け機能“マーカー”

 本バージョンの目玉機能は、新たに搭載された“マーカー”機能だろう。

「EmEditor Professional」v11.0.1「EmEditor Professional」v11.0.1

 「EmEditor」にはこれまでも各種プログラミング言語に対応した“シンタックスハイライト(構文色分け)”機能を搭載しており、予め決められたルールに従ってテキストを色分け表示できた。“マーカー”機能はそれとは独立しており、ドキュメントの種類に関わらず、ユーザーが指定したワードを手軽にハイライト表示することが可能。ハイライトは手軽にON/OFFすることも可能で、一時的にテキストの一部を強調表示したい場合に活用するとよいだろう。

“マーカー”機能を利用する

 “マーカー”機能を利用してワードをハイライトさせるには、ハイライトさせたいワードを選択し、その右クリックメニューから[マーカーに追加]項目を選択するだけでよい。ほかにも“マーカーのカスタマイズ”ダイアログでハイライトさせたいワードを追加したり、“マーカー”ツールバーへ選択ワードをドラッグ&ドロップする方法が用意されている。

ハイライトさせたいワードを選択し、その右クリックメニューから[マーカーに追加]項目を選択ハイライトさせたいワードを選択し、その右クリックメニューから[マーカーに追加]項目を選択

マーカーのカスタマイズ”ダイアログでハイライトさせたいワードを追加マーカーのカスタマイズ”ダイアログでハイライトさせたいワードを追加

“マーカー”ツールバーへ選択ワードをドラッグ&ドロップ“マーカー”ツールバーへ選択ワードをドラッグ&ドロップ

 マーカーのカスタマイズは、“マーカーのカスタマイズ”ダイアログで行う。ワードの編集や背景色の変更のほか、大文字・小文字の区別、正規表現の利用といった高度なカスタマイズも可能。

 また、マーカーのON/OFFといったちょっとした設定変更ならば“マーカー”ツールバーの右クリックからでも可能。さらに、このツールバー上にあるマーカーボタンを押せば、当該マーカーがつけられた部分へ順にシャンプできる。よく利用する検索ワードをマーカーとして登録しておけば便利かもしれない。そのほか、マーカーボタンの右クリックメニューにある[挿入]項目を選択すると、カーソル位置にマーカーのテキストを挿入できるので、スニペットとして利用しても面白いだろう。

“マーカー”ツールバー“マーカー”ツールバー

選択したワードやカーソル位置にあるワードを自動ハイライトする“自動マーカー”機能

“マーカーのカスタマイズ”ダイアログの[自動マーカー]タブ“マーカーのカスタマイズ”ダイアログの[自動マーカー]タブ

 さらに、選択したテキストと同じテキストをハイライト表示できる“自動マーカー”機能も新たに搭載されている。ソースコードで同じ名前の変数を探したり、テキスト内で繰り返し利用されている単語や言い回しを見つけたい場合などに役立つ。

 利用するには、“マーカーのカスタマイズ”ダイアログの[自動マーカー]タブで、本機能を有効にしておく必要がある。さらに、“カーソル位置の単語を取得する”のチェックをONにすれば、カーソル位置にあるワードを自動認識して、テキスト内の当該ワードをハイライト表示できるようになり、テキストを選択しなくても単語のハイライト表示が可能になる。

“カーソル位置の単語を取得する”のチェックをONにすれば、カーソル位置にあるワードを自動認識して、テキスト内の当該ワードをハイライト表示可能(標準の背景色は灰色)“カーソル位置の単語を取得する”のチェックをONにすれば、カーソル位置にあるワードを自動認識して、テキスト内の当該ワードをハイライト表示可能(標準の背景色は灰色)

大文字・小文字を区別するプログラミング言語ならば、“大文字と小文字を区別”にもチェックを入れておくとよい大文字・小文字を区別するプログラミング言語ならば、“大文字と小文字を区別”にもチェックを入れておくとよい

印刷の際のマーキングにも便利

 なお、9月27日に公開されたマイナーバージョンアップ版v11.0.1では、“マーカー”機能のハイライト表示が、テキストの印刷時や印刷プレビュー時にも反映されるようになった。印刷時にハイライト表示を反映させたくない場合は、“プロパティ”画面の[印刷]タブにある“色と下線を無効にする”チェックボックスをOFFにしておけばよい。

検索ツールバーの強化

本体へ統合された検索ツールバー

選択テキストをドラッグ&ドロップで検索ボックスへコピー可能になるなど本体との連携が向上選択テキストをドラッグ&ドロップで検索ボックスへコピー可能になるなど本体との連携が向上

 プラグインとして提供されていた“検索”ツールバーが、「EmEditor」本体へ統合された。選択テキストをドラッグ&ドロップで検索ボックスへコピー可能になるなど、「EmEditor」本体との連携が向上している。

 また、“検索”ツールバーが置換に対応したのもうれしい変更点だ。“検索”ツールバーを置換モードにするには、ツールバー右端にある[置換>>]ボタンを押せばよい。ツールバーのテキストボックスが2つになり、検索キーワードと置換テキストを入力可能になる。元の検索モードへ戻したい場合は、再度[置換>>]ボタンを押せばよい。

検索モード。[連続置換>>]ボタンを押すと、ダイアログが“連続置換”ダイアログに検索モード。[連続置換>>]ボタンを押すと、ダイアログが“連続置換”ダイアログに

置換モード置換モード

“連続置換”機能

 “連続置換”機能が搭載されたも大きな変更点だ。“連続置換”機能を利用するには、“置換”ダイアログにある[連続置換>>]ボタンを押す。すると、ダイアログが“連続置換”ダイアログになる。

“置換”ダイアログ“置換”ダイアログ

“連続置換”ダイアログ“連続置換”ダイアログ

 “連続置換”ダイアログでは、複数の置換ルールを登録して、一度に置換作業を行える。たとえば、筆者の場合は間違いやすい表記ゆれを登録して、その確認と置換に利用しているが、なかなか便利だ。ほかにもよい使い方があれば教えてほしい。

その他の機能

HTML/XML入力支援機能――文字参照の可視化、変換、コピーが可能に

 また、文字参照で表された文字をツールチップで表示できる機能が追加された。

 文字参照とは、HTML/XML文書などで文字・記号を“&”“&”といった形式で指定できる仕組み。どちらの文字参照もWebブラウザーでは“&”と表示されるが、それをツールチップで手軽に確認できるのが便利。さらにツールチップの右クリックメニューからは、文字参照を文字へ変換したり、文字をクリップボードへコピーすることも可能だ。

“»”にカーソルを合わせると“»”がツールチップで表示“»”にカーソルを合わせると“»”がツールチップで表示

ツールチップの右クリックメニューから“»”へ変換したりクリップボードへコピーできるツールチップの右クリックメニューから“»”へ変換したりクリップボードへコピーできる

一部ユーザーから要望の多かったコマンドを追加

 一部ユーザーからの要望が多かった[重複行の削除]コマンドや、閉じたタブを開きなおす[最近閉じたファイル]コマンドなども追加された。また、韓国語IMEに対応し、ハングルからハンジャ(漢字)への変換が可能になったほか、Unicodeの異字体シーケンス (IVS) に対応するなど、日本語以外での利用に関しても機能の強化が施されている。

おわりに

 本ソフトはv10.1.0より体験版と製品版が同一のプログラムになっており、試用中に登録キーを入力することによって製品版として利用できる。興味をもった人は、ぜひ体験版を試用してみてほしい。

 「EmEditor」v10を利用している場合は、[ヘルプ]-[更新のチェック]メニューからv11へ更新可能。2011年10月31日までに購入されたライセンスに関しては無償でv11へアップデートできる。

 また、開発元のエムソフトではユーザー向けの無料説明会も積極的に開催している。

 通算で第4回目となる次回の説明会は、10月15日(東京)および16日(大阪)に開催される予定で、v11の新機能を解説するほか、プラグインやマクロの使い方などを紹介するとのこと。開催まで日数が残されていないが、「EmEditor」に関する質問がある場合や、「EmEditor」をもっと使いこなしたい場合は参加してみてもよいだろう。

【著作権者】
Emurasoft, Inc.
【対応OS】
Windows 2000/XP/Server 2003/Vista/Server 2008/7/XP x64/Server 2003 x64/Vista x64/Server 2008 x64/7 x64
【ソフト種別】
シェアウェア 4,200円(税込み)
【バージョン】
11.0.1(11/09/27)

(柳 英俊)