特集

誰もここまで教えてくれない!?「Thunderbird 3」の新機能を徹底解説

新機能を使いこなせていますか?ちょっとイレギュラーなテクニックも紹介

(09/12/24)

「Thunderbird」v3 「Thunderbird」v3

 12月9日、メールソフト「Thunderbird」v3.0が正式公開された。前バージョンからおよそ2年半ぶりとなるv3.0では、検索機能が大幅に強化されたほか、“Gmail”風の“アーカイブ”機能、スマートフォルダといった魅力的な新要素が数多く追加されている。

 過去のメジャーバージョンアップの内容と比べると、もっとも大きな進化といっても過言ではない「Thunderbird」v3だが、果たしてどの程度便利になったのか、今ひとつ理解できていない人も多いのではないだろうか。本特集では、v3の目玉であるいくつかの新要素をスクリーンショットとともに詳しく解説していく。メーラーの乗り換えを検討している人、バージョンアップを躊躇している人にとって本特集が参考になれば幸いだ。

インターフェイスが一新、タブ切り替え機能が追加されツールバーはシンプルに

タブ切り替え機能が追加されたほか、ツールバーはボタンが厳選されてシンプルなものとなった タブ切り替え機能が追加されたほか、ツールバーはボタンが厳選されてシンプルなものとなった

 v3ではタブ切り替え機能が追加され、メールプレビュー画面やメールフォルダをタブで切り替えられるようになった。これにより、重要なメールを表示させたまま別のフォルダを開くといった操作が可能だ。

 また起動すると一見してわかるようにツールバーがシンプルになり、利用頻度が高いボタンのみが表示されるようになった。[返信][転送][削除]といった受信メールに関連するボタン類はメールプレビュー画面の右上に移動され、各種操作を迷うことなく利用できるようになっている。

ツールバーをカスタマイズすれば必要なボタンを追加できる ツールバーをカスタマイズすれば必要なボタンを追加できる

 前バージョンと比べると大幅にツールボタンが減ることとなったが、ツールバーをカスタマイズすることで前バージョンと同様のボタンを配置することも可能だ。ツールバーをカスタマイズするには、[表示]−[ツールバー]−[カスタマイズ]メニューを選択して表示される画面から、任意のボタンをツールバー上へドラッグ&ドロップすればよい。

検索機能が大幅強化、目的のメールをすばやく探し出すことが可能に

 「Thunderbird」v3でもっとも大きな進化は、検索機能が強化されたことだろう。メイン画面右上の検索ボックスからの全文検索が大幅に高速化され、検索結果が全く新しい画面で表示されるようになった。

高速化された全文検索機能 高速化された全文検索機能

 検索結果は新しいタブに開かれる。左側にはヒットしたキーワードを含むメールの差出人や対象のメールを含むフォルダが一覧表示され、右側はヒットしたメールのタイトルや冒頭数行のプレビューとなっている。メールのタイトルをクリックすると、当該メールとそのメールに関連するスレッドを抽出した状態で新しいタブが開かれる仕組み。

 さらに検索結果を絞り込むことも可能で、絞り込みの条件として自分自身が送信したメール、自分宛に送られたメール、“スター”を付加したメール、添付ファイル付きのメールといった具合で指定できるほか、特定の差出人からのメールのみに絞り込んだり、特定の差出人のメールは対象外とすることも可能。

 また検索結果の表示でユニークなのが、ヒットしたキーワードを含むメールの送受信日をグラフ化されて画面上部へ表示されること。グラフは年別・月別といった具合で表示させることが可能。特定のメールが集中する時期を分析したい場合などに利用できそうだ。

Gmailでお馴染みのアーカイブ機能を利用してメールを効率よく管理

 メールを効率よく管理するには、“受信トレイ”など頻繁に利用するフォルダ内へ不要なメールを溜めないことが一番だろう。しかし、不要なメールとはいっても仕事関連のメールなど、あとから必要になる可能性があるメールは削除することもできない。そこで効果を発揮するのが新たに追加されたアーカイブ機能だ。

 アーカイブ機能とは、あとで読みたいメールや、今は不要だが削除できないメールを特定のフォルダへボタン一発で退避できる機能。Gmailを知るユーザーならばお馴染みの機能で、最近では理想的なメールの管理方法とも言われている機能。ただし残念ながら、Gmailのようにメール受信時にフィルタリングで自動的にアーカイブ化するといったことはできず、選択したメールをツールボタンなどから手動でアーカイブ化する必要がある。

受信トレイなどに不要なメールを溜めないように、アーカイブ化することでメールを効率よく管理 受信トレイなどに不要なメールを溜めないように、アーカイブ化することでメールを効率よく管理

 アーカイブ化したメールは、標準では“アーカイブ”という名前のフォルダ内に年単位で自動保存されるため、必要になったらこのフォルダを開けば目的のメールを閲覧できる。保存先のフォルダはアカウント設定画面で任意のフォルダへ変更することも可能。

 なお、Beta 2公開当時は年単位ではなく年月単位のフォルダに保存されていたが、正式版では年単位でのフォルダ分けに変更されている。アーカイブメールを年月単位で保存したい場合は、「Thunderbird」の“設定エディタ”から変更することが可能。ただし、この方法を利用すると動作保証外となるため自己責任で利用してほしい。設定方法は以下の通り。

  1. [ツール]メニューからオプション画面を呼び出し、[詳細]ページの[一般]タブを開く
  2. 画面下の[設定エディタ]をクリックし、画面上部のテキストボックスへ“mail.server.default.archive_granularity”と入力
  3. 一覧に表示された“mail.server.default.archive_granularity”をダブルクリックして値を“2”に変更する

“設定エディタ”を開いてテキストボックスへ“mail.server.default.archive_granularity”を入力。続いて一覧から項目をダブルクリックして表示されたダイアログ上へ“2”と入力すればよい “設定エディタ”を開いてテキストボックスへ“mail.server.default.archive_granularity”を入力。続いて一覧から項目をダブルクリックして表示されたダイアログ上へ“2”と入力すればよい

スマートフォルダで複数アカウントや異なるフォルダの未読メールを一括管理

複数アカウントの受信トレイを一括管理できるスマートフォルダ 複数アカウントの受信トレイを一括管理できるスマートフォルダ

 v3で新たに搭載されたスマートフォルダとは、複数のメールアカウントを利用している場合などに、すべてのアカウントの受信トレイやごみ箱といったフォルダを統合して一括管理できる機能。たとえば複数アカウントの新着メールを確認する際に、わざわざアカウントを切り替えることなく1つのフォルダ内でまとめて表示させることが可能。

 v3導入直後のスマートフォルダを一見すると、この機能は複数アカウントを使い分けているユーザーしか恩恵を受けることが無いように思われるが、実はカスタマイズすることで単一アカウントのみのユーザーでも十分に効果を発揮できる。

 多くのユーザーは、受信トレイの下へメールの内容に応じたフォルダをいくつも作成し、メッセージフィルター機能でそれらのフォルダに振り分けているだろう。こうした使い方をしていると、各フォルダの未読メールを読むためには当然それぞれのフォルダを開かなければならない。

 スマートフォルダをカスタマイズすれば、振り分けられた特定フォルダ内の未読メールのみをまとめて一覧することができるため、大事な新着メールを見落とす可能性も低くなるわけだ。

 具体的なカスタマイズ方法は、まずフォルダツリー上側の三角ボタンをクリックしてスマートフォルダに切り替える。なお、v3導入直後は標準でスマートフォルダが表示された状態となっている。

 次に受信トレイの右クリックメニューから[プロパティ]を選択して設定画面を開き、[選択]ボタンをクリックしよう。するとチェックボックスつきのフォルダツリーが表示されるので、スマートフォルダへ表示させたいフォルダにチェックを入れればよい。

スマートフォルダへ表示させたいフォルダにチェックを入れる スマートフォルダへ表示させたいフォルダにチェックを入れる

ファイルの添付忘れ防止機能は独自の文字列チェッカーとしても利用可能!?

 仕事で取り引き先の相手へメールを送る際、『プロジェクトの資料を添付しておきます。』などと本文に記述したものの、肝心のファイルを添付し忘れて送信してしまったという失敗をしたことはないだろうか。そんなミスを未然に防げるのが新機能の“ファイルの添付忘れ防止機能”だ。

 ファイルを添付していない状態でメール本文の作成中に『添付』『同封』といった特定のキーワードを入力すると、メール作成画面の下側に情報バーが現れ、ファイルの添付を促してくれる。

 情報バーには、[添付ファイルを追加]ボタンと[後で通知]ボタンという2つのボタンが表示される。[後で通知]ボタンを押すと情報バーが消えて、メールを送信しようとした際に再度メッセージダイアログでファイルの添付を促してくれる仕組みだ。

作成中のメール本文内に『添付』や『同封』といったキーワードがある場合に情報バーで注意を促してくれる 作成中のメール本文内に『添付』や『同封』といったキーワードがある場合に情報バーで注意を促してくれる

[後で通知]を選択すればメールの送信直前にメッセージダイアログが表示される [後で通知]を選択すればメールの送信直前にメッセージダイアログが表示される

 キーワードには前述の『添付』といった単語に加え、“.doc”“.pdf”“.xls”など添付ファイルとしてよく扱われるファイルの拡張子が標準で登録されており、ユーザーが任意の単語を追加したり削除するなどのカスタマイズも可能。

 このキーワードのカスタマイズを利用すれば、テンプレートからメールを作成する際の文字列チェックにも使えるかも知れない。たとえば仕事で頻繁に利用する定型文章の場合は、送信相手の名前部分などを“★★★”や“●●●”としておいてテンプレート化しているユーザーも多いだろう。

 この場合、ファイルの添付忘れチェック用のキーワードへ“★★★”や“●●●”を登録しておけば、情報バーやメッセージダイアログの表示によって、うっかり名前などを入れ忘れるミスを防げる可能性が高くなるというわけだ。もちろん、メッセージの内容は添付ファイルに関するものなので的外れなメッセージとなるが、注意を促すという意味では十分に有効ではないだろうか。

キーワードには任意の単語を追加したり、不要な単語を削除することも可能 キーワードには任意の単語を追加したり、不要な単語を削除することも可能

従来の不満を解消する機能が追加されたほか、Gmailとの連携も強化

アカウントの設定画面で署名を編集可能に アカウントの設定画面で署名を編集可能に

 従来のバージョンでは、メール本文に付加する署名は別途テキストファイルとして用意しておく必要があったが、v3ではアカウントの設定画面上で直接編集できるようになった。ただし、設定できる署名は従来通り1つだけ。

 また新しくアカウントを作成する際の設定方法が簡略化された。まず最初に入力されたメールアドレスのドメインをもとに、Mozillaに登録されているプロバイダーのデータベースを参照し、登録データが見つかった場合はサーバーの設定項目を自動で補完してくれる。

 新機能以外のうれしい要素は、Gmailとの連携が強化されたことだろう。前バージョンでの不具合であった、送信済みメールやごみ箱などの特殊フォルダが正しく認識されなかった点が修正されたほか、IMAPフォルダの同期が大幅に高速化されている。

【著作権者】
contributors to the Mozilla Project
【対応OS】
Windows 2000/XP/Server 2003/Vista/7
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
3.0(09/12/09)

(久保 望)