特集

新機能を再現するフリーソフトで味わう“Windows 7”の魅力

発売日が待てない人、雰囲気だけでも一足先に体験したい人にお勧めの7本

(09/09/10)

10月22日に発売が予定されている“Windows 7”10月22日に発売が予定されている“Windows 7”

 次期OS“Windows 7”の発売まで2カ月を切った。もう予約を済まして発売を心待ちにしている人、現在利用中のWindows XP/Vistaで十分と考えている人、間違って早々と“Snow Leopard”を買ってしまったという人、さまざまな人がいることだろう。窓の杜編集部はというと、動作確認の必要があるOSが増えることに戦々恐々としつつも、やはり新しいOSは楽しみでならない、といったところだろうか。読者の多くも、Windows 7を楽しみにしていることと思う。

 そこで今回は、Windows 7の新しいユーザーインターフェイスを再現するオンラインソフトを通じて、Windows 7の進化にスポットを当ててみたい。今回紹介するソフトの本数はWindows 7の“7”にちなんで7本とした。

 なお、窓の杜では通常、記事で取り上げるソフトに関しては動作・機能を詳細にテストした上で記事を執筆しているが、今回は機能は興味深いものの安定性・動作速度には難のあるソフトも含まれる。お試しの際は、業務などに使用するPCでの利用は避けるとともに、多少の不具合には目をつぶって楽しんでほしい。

Windows 7の目玉・新しいタスクバー“スーパーバー”を再現

 Windows 7でまず目につくのは、デザインが刷新されたタスクバーだろう。新しいタスクバーは“スーパーバー”とも呼ばれ、格好いい見た目だけでなく、これまでのタスク切り替え機能に加え、アプリケーションランチャーの機能も兼ね備えた機能性も魅力的。ならば、Windows XP/Vistaでもぜひ利用したいと思うのが人情だろう。今回紹介する「ViGlance」「SBar」は、そんな願いをかなえてくれるソフトだ。

なめらかなウィンドウサムネイルの表示にこだわるなら「ViGlance」

「ViGlance」「ViGlance」

 ビジュアルにこだわるならば、「ViGlance」がお勧め。タスクバーのボタンがWindows 7流のアプリケーションアイコンのみの状態になる。アイコン上へカーソルを移動させれば、現在開いている当該アプリケーションのウィンドウ全部がサムネイル表示される。そのまま隣のタスクボタンへカーソル移動すれば、サムネイル表示がなめらかに隣のアプリケーションのものに切り替わるところも、Windows 7さながらだ。

 機能としては、“ジャンプリスト”には対応していないものの、任意のアプリケーションを利用中以外も常時タスクバーへ表示しておく“ピン留め”機能は利用可能で、十分Windows 7の雰囲気を味わえる。本ソフトの公開サイトでは、ほかにもWindows Vista/7の“Aero”デザインを再現できるソフトが複数公開されているので、興味がある人は利用してみてはいかがだろうか。

 なお、Windows Vistaでは動作が不安定で、本ソフトが再現するスーパーバーがときどき点滅状態になってしまう。Windows XPでの利用がお勧めだ。

エフェクトだけではない!“ジャンプリスト”までも再現した「SBar」

「SBar」「SBar」

 スーパーバーの魅力は、ビジュアルだけにあるわけではない。タスクボタンの右クリックで表示される“ジャンプリスト”などの機能もなかなか実用的。これはメールソフトならば“メールの新規作成”といったアプリケーションに応じたメニューが現れ、アプリケーションの起動→作業という二手間を、一手間へと短縮できるというものだ。

 「SBar」は、スーパーバーのビジュアルのみならず、ジャンプリストといった機能をも再現しようという野心的なソフト。アプリケーション独自の操作に関しては、自前のデータベースを用意することで対応している。動作は重く不安定で実用するには厳しいが、今後のバージョンアップ次第では面白いソフトになりそうだ。

大幅に強化されたマウスによるウィンドウ操作を体感

 次に、Windows 7で追加されたウィンドウ操作機能を再現するソフトを3本紹介しよう。Windows 7では、ウィンドウをマウスで操作する際の不便を解消するさまざまな機能が追加されている。正直なところ、必須な機能かと問われれば微妙なところだが、使ってみると案外便利。騙されたと思って試してみてほしい。

2つのウィンドウを左右に並べる際に便利な「AeroSnap」

「AeroSnap」「AeroSnap」

 「AeroSnap」は、その名の通りWindows 7の新機能“Aero Snap”を再現するタスクトレイ常駐型ソフト。マウスでウィンドウをドラッグし、デスクトップの右端・左端へ近づけると、それぞれデスクトップの右側・左側へ吸い付くように移動し、ちょうどデスクトップの半分のサイズへウィンドウがリサイズされる。その状態を解除するのも簡単で、ウィンドウをちょっとドラッグするだけでよい。リサイズ前の状態へウィンドウの大きさが復元される。

 高解像度のモニターを利用している場合はとくに便利。広いデスクトップ画面全体を、情報閲覧エリアと作業エリアなどに分けて利用することができる。Webブラウザーやメディアプレイヤーなどをわき見しながら作業を行いたいといった人にお勧めだ。

ウィンドウを振って、邪魔なほかのウィンドウを一発で最小化「Aero Shake」

 長時間PCで作業をしていると、デスクトップがウィンドウだらけになってしまう。そんな経験はないだろうか。使わないウィンドウをついつい開きっぱなしにしてしまい、肝心の作業ウィンドウを見失ってしまうことは少なくない。

 そんなときに便利なのが、Windows 7に搭載された新機能“Aero Shake”だ。デスクトップへ残したいウィンドウのタイトルバーを左右にドラッグして“揺さぶる”と、そのほかのウィンドウがすべて最小化されて画面から消える。ごちゃごちゃした画面をすっきりさせたい場合にとても便利。「Aero Shake」を使えば、Windows XP/Vistaでも同様の操作で“Aero Shake”を体験できる。

ウィンドウを透明表示にしてデスクトップを覗き見できる「AeroPeek」

「AeroPeek」「AeroPeek」

 一方、“Aero Peek”は使いどころの難しい機能だ。Windows 7では、タスクバー右端にあるバンド上へマウスカーソルを移動させると、表示中のウィンドウがすべて半透明化され、デスクトップを透かして見られるようになる。プログラミング言語や各種Wikiエンジンの文法・記法などを記したチートシート(アンチョコ)を壁紙にしている場合は、それをチラ見できて便利かもしれない。

 「AeroPeek」はタスクトレイ常駐型のソフトで、タスクトレイアイコンをクリックすると“Aero Peek”の動作を再現できる。動作速度に少し難があり、一つ一つのウィンドウが半透明化されていく様子が見えてしまうのはご愛嬌といったところか。

慣れればこっちのほうが便利! キーボードだけで自由自在にウィンドウを操作

 最後に、Windows 7スタイルのホットキーによるウィンドウ操作と、それを再現できるソフトを紹介しよう。

 Windows 7では、[Windows]キーと方向キーの組み合わせでもウィンドウを操作できるようになっている。たとえば、先ほど紹介した“Aero Snap”“Aero Shake”“Aero Peek”の各操作にもホットキーが割り当てられており、慣れればマウス操作より簡単にウィンドウを再配置することが可能だ。

  • “Aero Snap”: [Windows]キー+カーソルキー
  • “Aero Shake”: [Windows]キー+[Home]キー
  • “Aero Peek”: [Windows]キー+[D]キー

 そのほか、[Windows]+[Shift]+[↑]キーで、デスクトップの高さ目一杯にウィンドウの高さを広げることも可能。これから紹介するソフトは、インストールしてもOSの動作速度にあまり影響しないのでぜひ試してみてほしい。

[Windows]キーとの組み合わせでウィンドウを自由自在に「Windows 7 Shortcuts」

「Windows 7 Shortcuts」「Windows 7 Shortcuts」

 「Windows 7 Shortcuts」は、[Windows]キーとの組み合わせによる各種ウィンドウ操作のホットキーを、現行Windowsで利用可能にするタスクトレイ常駐型ソフト。初期状態では以下の機能が追加され、カスタマイズすることも可能。

  • [Windows]+[←]/[→]: アクティブなウィンドウをデスクトップ左・右半分の領域へリサイズ
  • [Windows]+[↑]: アクティブなウィンドウを最大化
  • [Windows]+[↓]: アクティブなウィンドウを最小化、最大化したウィンドウを元に戻す
  • [Windows]+スペースキー: “Aero Peek”の動作
  • [Windows]+[Home]: “Aero Shake”の動作

 残念ながら、本ソフトはWindows 7の備えるすべてのウィンドウ操作用ホットキーを網羅しているわけではない。とくに、デスクトップの高さ目一杯にウィンドウサイズの高さを拡大する機能が欠けているのは惜しまれる。しかし、それを差し引いても、ウィンドウ操作がかなり便利になること請け合いだ。

[Windows]キー+数字キーで任意のアプリをアクティブに「ActivateByNum」

「ActivateByNum」「ActivateByNum」

 Windows 7では、[Windows]キー+数字キーで、タスクバーに登録したアプリケーションを起動することができる。たとえば、[Windows]+[2]キーを押すと、タスクバー左端から2番目のアプリケーションが起動する。すでに起動している場合は、そのアプリケーションがアクティブになる仕組み。

 この機能は慣れると大変便利。[Alt]+[Tab]での切り替えではウィンドウをたくさん開いた場合に目的のウィンドウへ切り替える手間が増えてしまうが、Windows 7ならば、ピンポイントで対象のアプリケーションをすばやく起動・切り替えができる。

 「ActivateByNum」は、その機能を再現したソフト。[Windows]+[‐]キーを押せば、5番目以降のアプリケーションにわかりやすく順番が数字で表示される独自機能も備えるので、慣れるまではそれを頼りにホットキーを覚えよう。

 Windows XP/VistaではWindows 7と違い、必ずしもアプリケーションがタスクバーの決まった場所に表示されるわけではないので、本ソフトの効果は限定的。しかし、タスクボタンの順番を任意に変更できる「Taskix」などと組み合わせれば、一定の効果は望めそうだ。

おわりに

 以上、“Windows 7”の機能を再現した7本のフリーソフトを紹介してきた。“ウィンドウ操作”はOSの機能のなかでも最も基本的なものの1つだが、Windows 7ではそのバリエーションがかなり強化されているのがわかる。

 加えて、ソフトを試用して感じたのは、なかでもビジュアルに関する機能を再現するソフトは、動作速度に難があるということ。「ViGlance」「SBar」といったソフトには、実用性よりも、ソフトウェア作家による“もともと達成が困難な難題への挑戦”といった趣が感じられる。

 Windows XPは、発売から今年で8年目となる。機能と速度のバランスの面ではWindows史上最高と言っていいほどの評価を得ているが、機能不足が目立ってきたのも確か。また、Windows Vistaで指摘されていた動作の緩慢さも、Windows 7ではかなり改善されている。本特集で紹介した機能に魅力を感じるならば、Windows 7は乗り換えの対象として十分だろう。

(柳 英俊)