特別企画

「Office 2010」テクニカルプレビュー版レビュー 後編

「Excel」のスパークライン、「PowerPoint」のブロードキャスト機能などに注目

(09/07/31)

 “Microsoft Office”シリーズの次期バージョンとなる「Microsoft Office 2010」(以下、「Office 2010」)のテクニカルプレビュー版を紹介する本特集。前編では、「Office 2010」の各ソフトに共通の使用感、画面デザイン、改善点などを紹介した。

 後編となる今回は、「Office 2010」の代表的なソフトを取り上げ、それぞれの新機能などをスクリーンショットを中心に紹介する。

 なお、本稿はテクニカルプレビュー版をもとにしているため、最終的な製品とは機能・デザインが異なる場合があり得る。あらかじめご了承いただきたい。

「Word 2010」「IME 2010」

「Word 2010」 「Word 2010」

 「Word 2010」では、標準でPDF形式での保存機能が搭載された。Word文書などをPDFへ変換するフリーソフトは、窓の杜でも人気ジャンルのうちの1つだったが、「Word 2010」では追加ソフトやアドインを必要とせず単独でPDF文書を作成可能になる。なお、本機能は「PowerPoint 2010」でも利用可能だ。

 編集機能では、リボンへ[テキスト効果]ボタンが追加され、文字へエフェクトを加えることが簡単に行えるようになったのが便利。リボンのプルダウンリストからエフェクトを選ぶと、ドキュメント上のテキストへ実際の効果がリアルタイムに反映され、出来上がりの様子をプレビューすることもできる。

[テキスト効果]ボタンが追加 [テキスト効果]ボタンが追加

 貼り付けを行う際も、貼り付け方法のメニュー上へカーソルを合わせるだけで、結果がドキュメントへリアルタイムに反映されるようになっている。

貼り付けのプレビューもリアルタイムで可能 貼り付けのプレビューもリアルタイムで可能

 今回新たに搭載された“ナビゲーション ウィンドウ”は、編集中の文書をサイドバーへ表示して、文書内の移動を補助する機能。見出しなどの文書構造をツリー形式で表示したり、印刷ページごとにサムネイルで表示でき、クリックするだけで指定した文書位置へジャンプできる。検索ボックスへキーワードを入力すれば、キーワードの位置がハイライト表示されるのも便利。また、ツリー表示の場合はドラッグ&ドロップで文章の位置を入れ替えることができるので、アウトラインプロセッサーのように利用することも可能。

“ナビゲーション ウィンドウ” “ナビゲーション ウィンドウ”

 “ナビゲーション ウィンドウ”を利用するには、リボンの[表示]タブにある“ナビゲーション ウィンドウ”のチェックをONにすればよいが、少々面倒なのですぐ利用できるようにウィンドウ上部の“クイック アクセス”ツールバーへ登録しておいてもよいだろう。

 そのほか、デスクトップのスクリーンショットを撮って、ドキュメントへ挿入できるスクリーンショット機能が追加された。Webサイトやソフトの操作を説明するドキュメントの作成などに利用できそうだ。

 また、画像編集機能が強化され、ワンタッチでクリップアートなどの背景を取り除ける機能が追加された。せっかく気に入ったクリップアートが見つかったのに、文書の背景色とマッチせず利用できないという場合でも、「Word 2010」ならあきらめずに済む。

ワンタッチでクリップアートなどの背景を取り除ける機能が追加 ワンタッチでクリップアートなどの背景を取り除ける機能が追加

 「IME 2010」では、“検索プロバイダー”機能と“オープン拡張辞書”機能が搭載された。

 “検索プロバイダー”機能では、変換中に[Ctrl]+[F9]を押すことで、変換中の語句をWeb検索したり、オンライン翻訳サービスで翻訳できる。IMEとWebサービスを連携できる機能だ。

 “オープン拡張辞書”機能では、辞書ファイルのダブルクリックで簡単に辞書を追加できる。辞書の形式は既存のものとは異なる独自形式で、今後対応する辞書が増えれば簡単に外部辞書を追加していくことが可能になるだろう。

ダブルクリックで簡単に辞書を追加できる“オープン拡張辞書” ダブルクリックで簡単に辞書を追加できる“オープン拡張辞書”

「Excel 2010」

「Excel 2010」 「Excel 2010」

 「Excel 2010」ではデータの分析機能が強化されている。たとえば、新しく追加された機能“スライサー”は、ピボットテーブルを使った分析で便利。集計対象がボタンとして表示され、ボタンを押すだけで集計対象を切り替えることが可能。グラフなどもリアルタイムで切り替わる。

“スライサー”機能で集計対象をボタンで切り替え “スライサー”機能で集計対象をボタンで切り替え

 また、新たに追加された“スパークライン”機能にも注目したい。“スパークライン”とは、セルに埋め込むタイプの小さなグラフ。全国の気温や、多数の銘柄の株価といった比較的変動の激しい時系列データを大量に扱う場合、数値を羅列するだけでは変化を把握しにくい。しかし、それぞれにいちいち大きなグラフを用意したり、1つのグラフに多数のデータを詰め込むのも現実的ではない。そんな場合に、場所を取らない“スパークライン”を各データに添えておくと、表の一覧性を損なわずに数値の変化を視覚的に表現することができて効果的だ。

セルに埋め込むタイプのマイクログラフ“スパークライン” セルに埋め込むタイプのマイクログラフ“スパークライン”

「Outlook 2010」

「Outlook 2010」 「Outlook 2010」

 「Outlook 2010」はユーザーインターフェイスがリボン化されたのが最大の変化。それに伴い、前回紹介した“クイック操作”機能といった使い勝手を向上させる機能は取り入れられているが、機能上はあまり大きな変更がない。

「Outlook 2007」のツールバー 「Outlook 2007」のツールバー

「Outlook 2010」のリボン 「Outlook 2010」のリボン

 そんななかで目立つのが、メールのやり取りをスレッドとしてまとめて表示できるようになったこと。内容が似ていたり、返信の応酬が行われて内容的に連続したメールがスレッドとしてまとめられる仕組みで、展開したり折りたたんだりして閲覧することが可能。“Gmail”などでもおなじみの機能だ。

内容が似ていたり、返信の応酬が行われて内容的に連続したメールをひとまとめに 内容が似ていたり、返信の応酬が行われて内容的に連続したメールをひとまとめに

「PowerPoint 2010」

「PowerPoint 2010」 「PowerPoint 2010」

 「PowerPoint 2010」の注目機能は、“ブロードキャスト”機能。インターネットを介して、複数のユーザーへ一斉にプレゼンテーションを配信できる。

“ブロードキャスト”機能 “ブロードキャスト”機能

 ブロードキャスト配信を開始すると、プレゼンテーション独自のURLが生成され、それを受け手へ通知する仕組みになっている。受け手はWebブラウザーから配信したプレゼンテーションを視聴することが可能。プレゼンターがページ送りなどの操作を行うと、それが受け手側にも反映される仕組みで、プロジェクターがなくてもインターネットに接続されたPCさえあれば、手軽にプレゼンテーションを行えるのが特長。Webを介した遠隔での会議などにも適しているかもしれない。

ブロードキャスト配信されたプレゼンテーションを「Firefox」で全画面表示 ブロードキャスト配信されたプレゼンテーションを「Firefox」で全画面表示

 そのほか、プレゼンテーションファイルへ埋め込んだ動画に再生コントロールをつけられるようになった。動画の編集機能も強化されており、「PowerPoint」上で動画のトリミングなどが可能になっている。

動画の編集機能も強化 動画の編集機能も強化

 また、“Backstage”では、ファイルに埋め込んだメディアの品質を指定して圧縮保存できる。圧縮直前のファイルへワンクリックでロールバックすることも可能なので、メールでプレゼンファイルを送る際などに活用しよう。

ファイルに埋め込んだメディアの品質を指定して圧縮保存 ファイルに埋め込んだメディアの品質を指定して圧縮保存

おわりに

 2回にわたって次世代“Office”を紹介してきたが、いかがだっただろうか。第一印象としては、派手な追加機能に欠けるものの、とくに操作性という点でよく練られていると感じた。また、各ソフトのリビジョン管理機能や「PowerPoint 2010」のブロードキャスト機能など、Webとの連携をにらんだ機能の整理・追加がみられるのも特徴と言えるだろう。テクニカルプレビュー版でこの品質であれば、“Web版”との連携についても大いに期待できるのではないだろうか。

(柳 英俊)