本当にWindows 10って使えるの?

Windows 10時代のアプリ“UWP”は、『スマホで動作』も考慮済み?

 Windows 10への無料アップグレードが、今年7月29日で終了する予定だ。また、Windows 7の延長サポート期間も残り4年を切っており(*1)、“その後”をどうするか、そろそろ考えたいところ。

 そこで本連載では『Windows 10にすべきか悩む……』という人向けに、“Windows 10って使えるのか?”を紹介している。

*1Windows 7の延長サポート期間は2020年1月14日まで

スマートフォンでも同じ操作感で利用できる“UWP”

既に見飽きた感はあるかもしれないが、UWPを一言で表すには最も適したMicrosoftのスライド。ちなみに“Build 2016”ではほとんど使われていなかった

 Microsoftは本気で“UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)”の拡充を目指している。Windows 8で実装したWindowsランタイムをもとにすべてのデバイスで同じUXを提供する仕組みだ。平たく述べるとディスプレイサイズが異なるWindows 10はもとより、Windows 10 MobileでもSurface HubやXbox Oneでも同一のアプリケーションを使用し、シームレスな利用環境を提供するのが目標である。

 2015年はUWPの基盤を作り、2016年は足りない部分を補ってUWPの広がりを少しずつ見せてきた。もちろんUWPアプリケーションがWindows 10への移行をうながすアドバンテージと述べるつもりはない。だが、日常的にWindows 10を使うユーザーにとって、UWPアプリケーションがそのまま動作するWindows 10 Mobileのアドバンテージが大きいのは事実だ。

 もっとも、まだ初期の段階であり、Microsoftが提唱するようなUXを実現しているとは言えいにくいのが現状だ。これを目的にWindows 10に移行すべきとは筆者も述べることはできないが、同じUIでPCとスマートフォンを利用する感覚は非常に快適であることだけは強く強調したい。特にWindows 8.1までのWindowsストアアプリから、UWPアプリケーション(中身は似て非なる存在)に移行したことで、前者はフル画面またはそれに準じたサイズでの利用のみだったが、Windows 10からは普通のデスクトップでも使えるようになって現実性が上がった、と言えよう。

 他方でMicrosoftはクロスプラットフォームにも注力している。改めて述べるまでもなく、「Visual Studio」の無料化やiOS/Androidアプリケーションの開発を実現する「Xamarin」の買収&無償提供など多角的な展開を行っている最中だ。また、Win32/.NETアプリケーションをUWPのAppX形式に変換し、システムファイルやレジストリを汚さない「Desktop App Converter(旧Project Centennial)」も執筆時点でプレビュー版に達した。このようにWindows 10を中心にアプリケーションの利用環境も大きく変化している。

“Build 2016”で披露した「Desktop App Converter」のデモンストレーション。デスクトップアプリ版の「Evernote」をUWPアプリケーション化する様子

 さらに“Build 2016”では、UWPレイヤーでアプリケーション同士の連携をサポートする“Project Rome”を発表。現在Windows 7/8.1をお使いの読者も、iOSやAndroidを搭載したスマートフォンを使っていると思うが、Windows 10ならば今後はデバイスをまたいで作業を続けることが可能になる。この点からもWindows 10を利用するアドバンテージを理解できるはずだ。

複数のデバイス間によるコミュニケーションやデバイス同士の連動、アプリケーションデータの連係を実現する“Project Rome”

(Cactus:阿久津 良和)