週末ゲーム

第614回

オープンワールド“海鮮”アクションシューティング「ACE OF SEAFOOD」

食って育てて繁殖して、最強の海産物チームですべての魚礁を支配せよ!

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、海を舞台にしたアクションシューティングゲーム「ACE OF SEAFOOD」をご紹介する。

 なお本作は有償の同人ゲームとして頒布されており、ダウンロード版およびパッケージ版が購入可能。作者サイトでは体験版も公開されている。

海産物を操作して戦うオープンワールドTPS

光線を放つ海産物を操り、他の海産物と戦う

 「ACE OF SEAFOOD」は、魚類や甲殻類を操って海中を冒険するアクションシューティングゲーム。遥か未来、光線を放つまでに進化した“海産物”(作品の仕様に則った呼び方)。プレイヤーはその中の一匹となり、他の海産物を倒しながら仲間を増やし、海産物のエースの座を目指す。

 自機(海産物)の後方からの三人称視点で、3Dで描かれた海を泳いで移動しながら他の海産物と戦う、サードパーソンシューティング(TPS)スタイル。魚なら水中を上下左右自由に移動できるので、感覚としてはフライトシューティングに近い。それでいて壁や障害物に激突してもダメージがないので、手軽な操作感覚だ。操作はマウスとキーボードの組み合わせ、または各種ゲームパッドを選択できる。

 ゲームではまず、イワシ、鮭、伊勢海老の3つの中から、自機となる海産物を選択する。イワシは単体だと弱いが数で押すタイプ。鮭は少数でもそこそこ強力。伊勢海老は基本的に海底を歩くことになるが硬い甲殻が魅力だ。自機を選び、基本操作を学べるチュートリアルが終わると、いよいよ海へと出られる。

 最初は拠点となる魚礁からのスタートとなる。海に出ても、これといってガイドやストーリーが示されたりはしない。オープンワールドなので、どこでも好きなところへ行けばいい。魚礁は回復ポイント兼自動セーブポイントとなっている。

 基本的な操作はキーボードとマウスの場合、[W][A][S][D]キーで移動、マウスで視点変更、左クリックで光線による攻撃というベーシックなもの。またスペースキーを押せば、噛みつきなどによる近接攻撃も可能だ。攻撃方法は海産物によって異なり、タイプの異なる複数の光線攻撃を持つものもいる。

 とりあえず、近場にいるものを攻撃してみるといい。岩に張り付くヒトデなどは攻撃しても反撃される心配はないが、魚や甲殻類はこちらの攻撃に対して反撃してくる。お互いに上下左右へ縦横無尽に泳ぎ回るので狙いが難しく、止まっていると撃たれ、噛まれてすぐにやられてしまう。やられると、魚礁で自動セーブされたデータに戻る。

初期機体ならぬ初期海産物の3匹。最初は魚類が操作しやすいのでおすすめ
チュートリアルで基本的な操作を覚えたら……
すぐに大海へ放り出される。オープンワールドならぬオープンシーなゲーム
魚礁に入るとHPなどが全快し、自動セーブされる。行動の拠点となる場所
最初の魚礁の近くには、岩に張り付いた小さな水棲生物がいる
魚なども遊覧している。うかつに攻撃すると反撃してくるので注意

海産物を狩って養殖し、6匹の最強チームを編成せよ

他の海産物と戦うことで成長していく

 ゲームの目的は先に言ったとおり、海産物のエースになること。そのためには、自分を鍛え、強力な仲間を従えてチームを作る必要がある。

 まず自機の強化は、単純に他の海産物を倒せばいい。経験値を得て、少しずつ最大HPが増加する。また他の海産物を倒すと有機資源が手に入り、これを消費することでも経験値が得られる。最初は弱そうな敵を倒して、少しずつ力を貯めていくのが基本だ。

 次はチーム編成。魚礁では、最大5匹の海産物をチームとして連れていける。最初は自分が選んだ海産物数匹でチームを組んでいるが、他の海産物を“養殖”し、仲間にすることができる。同種の海産物を複数倒し、一定量の“遺伝子”を得ることで、養殖できる海産物のリストに追加される。それから魚礁で、海産物ごとに定められた量の有機資源を消費することで、即座に新たな仲間が手に入る。

 仲間となった海産物は、魚礁でチームに組み入れられる。自機のほかに5匹の海産物を編成でき、計6匹のチームとなる。先頭の海産物が自機となるので、プレイヤーキャラクターを養殖した海産物に変更することも可能だ。またチームは海中でフォーメーションを変えることで、自機がターゲットした敵を集中攻撃したり、自機の盾となるよう動いたりという、おおまかな指示ができるようになっている。

 ただし、チーム編成には制限がある。各海産物にはコストが設定されており、チームの合計コストは魚礁容量以下にしなければならない。魚礁容量は新たな魚礁に到達することで増加する。

 以上をまとめると、他の海産物を倒して経験値を得つつ、遺伝子と有機資源を手に入れチームを強化しながら、新たな魚礁を探して海のあちこちを泳ぎ回る……というのが本作のゲームの流れになる。

 ただし新たな魚礁には大抵、先住民(先住海産物?)がおり、魚礁に近付くとこちらに攻撃してくる。魚礁を守る海産物を倒さないと、新たな魚礁に入ることはできない。

入手した有機資源は経験値に変換できる
他の海産物を倒して遺伝子を集めると、その海産物を養殖できるようになる
養殖できる海産物は魚礁でリストアップされ、有機資源を消費して養殖できる
養殖した新たな仲間で最大6匹のチームを編成
未到達の魚礁はレーダーに黄色い丸で表示される。魚礁を守る海産物がいることもある
新たな魚礁に到達できれば、チームコストの最大値が増加する

魚群、巨大魚、軍艦、深海……危険ばかりの海を生き抜きエースを目指せ

最弱のイワシも群れでやってくるので最初は強敵だ

 続いて本作の華となる海産物バトルについて紹介したい。本作に登場する海産物は、基本的に何かしらの光線を放って攻撃する。光線はレーザーのように一直線に延びるもの、四方八方にばらまくもの、敵を追尾するものなどさまざまで、海水の青い色の中、赤や黄色の光線が飛び交うビジュアルは独特な美しさがある。

 とはいえプレイ中は美しさに見とれている暇はない。右も左もわからない序盤は、海を泳ぐ他の海産物はすべて脅威の存在だ。近場の魚礁まではさほど遠くないものの、到達した途端に複数の敵から猛烈な攻撃を受けて倒されてしまう。『いつか勝てる日が来るのだろうか……』と遠い目をしながら、岩に張り付くフジツボ(反撃してこない)を刈り取る時間もあった。

 操作に慣れて、近場にいる海産物に喧嘩を売って勝てるようになっても、ちょっと遠くに出ると見たこともない海産物に蹂躙されることもある。見たことはないが弱そうな小魚だと思って攻撃したら、複数がまとまって猛烈な攻撃を仕掛けてきたりする。巨大なサメを攻撃したら光線を撃ってこないので、油断していたら噛みつかれて一発で昇天したりもする。

 さらに魚礁を探していたら、どう見ても海産物ではない軍艦に出くわすことも。こちらの光線は硬い装甲に阻まれてすべて弾き返され、敵からは無数の魚雷や爆雷が放たれて近付くことさえできずに爆死。しかし必死に食らいついて撃破できれば、彼らの遺伝子を入手し、養殖してチームに加えることもできる。本作は遠い未来の話であり、そもそも軍艦と言ってもサイズが魚並みなので、細かいことは考えない方が幸せだ。

海産物によって攻撃パターンは異なる。小さくても強力な海産物がいるので注意
大きな海産物は大抵HPが多いので倒すのが大変。集中力を切らすとあっという間に食われる
魚雷などの兵器をばらまいてくる軍艦も登場。しかもちゃんと養殖して仲間にできる

 しかし常識外れの軍艦相手よりも怖いものがある。深海だ。水面近くは光が入って明るく、周囲もそれなりに見渡せる。しかし10mも潜るとだんだんと暗くなり、50mまで行けばすぐそばも見えないような暗黒の世界になる。わざわざ行きたくないが、そんなところにも魚礁が見つかる。深い深い魚礁を目指して潜っていたら、いきなり真横にダイオウイカが現れることもある。圧倒的に巨大な体躯から繰り出される無数の光線でハチの巣にされるか、恐ろしく長い複数の足に絡め取られて食いちぎられるかの2択を迫られる。

 設定はネタ臭がありすぎる作品だが、遊んでみるとかなり真面目なTPSで、弱肉強食のシビアな海洋世界が実感できる内容になっている。圧倒的な力を持つ海産物に対して、小さな魚が力を合わせて食らいつき、何度も何度も挑戦して見事勝利を収めた時の喜びは格別だ。考えるべきことは海産物の成長とプレイヤーの成長だけでなく、海産物間の戦いの相性もある。チーム編成と戦略まで思考を巡らせるようになると、いよいよゲーム世界にハマりこみ、新たな遺伝子を求めて未開の海を探索し続けてしまう。

 ゲームとしてはとても硬派なので、TPSやフライトシューティングに不慣れな人は苦労するかもしれない。ただ成長によってぐっと難度が下がる作品でもあるので、探索と同時にレベリングも楽しむのがいいだろう。まずはネタゲーだと思って体験版から気軽に遊んでいただきたい。すぐに海産物達の生きざまに魅せられてしまうはずだ。

深海は視界がなく、それだけで恐怖感がある。ダイオウイカにいきなり襲われた時の恐ろしさはすさまじい
新たな海産物の遺伝子と魚礁を求め、さらに広い海へと泳ぎ出そう
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ソフトウェア情報

「ACE OF SEAFOOD」
【著作権者】
Nussoft
【対応OS】
Windows 7/8/8.1/10
【ソフト種別】
ダウンロード販売 1,380円(税込み)など(体験版あり)
【バージョン】
1.02.1

(石田 賀津男)