週末ゲーム

第574回

サクサク遊べるノンフィールド・ダンジョン探索RPG「ベスカの昏き迷宮」

装備品と“顕霊”によるキャラカスタマイズが魅力。無限に潜れるおまけダンジョンも

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、ノンフィールド型のダンジョン探索RPG「ベスカの昏き迷宮」をご紹介する。

ひたすらダンジョンを探索していくノンフィールドRPG

メイン画面はシンプル。ワンキーでサクサク探索を進めていく

 「ベスカの昏き迷宮」は、とある村に突然現れたダンジョンを“宝探し屋”の少女ベスカが探索していくRPG。ダンジョンはフィールドがなく、どれだけ進んだかが“進行度”で表されるノンフィールドタイプで、ワンキーでサクサク探索を進めていけるシンプルな作りが特徴だ。

 戦闘やアイテム収集などもテンポよく進行し、プレイ時間は本編終了まで5~6時間程度。難易度もほどほどで、ダンジョン制覇の達成感を気軽に味わえる、コンパクトにまとまった作品となっている。

豊富な装備品と“顕霊”によるキャラクターカスタマイズが醍醐味

 ダンジョンは階層構造となっており、ある程度進むと次のフロアへの階段が出現する。どれだけ進むと階段が出現するかはフロアごとにランダムだ。ダンジョンからはアイテムによって脱出することができ、次回探索時は到達したフロアから再開できる。

 また、アイテムやお金の取得、敵との遭遇などもランダムに発生。回復アイテムなどは普通に進めているだけで余るくらい手に入るほか、武器やアクセサリといった装備品もどんどん増えていく。

 アクセサリは攻撃・防御・魔力・速度の能力値やHPやAP(MPに相当)の最大値などのうち2~3種類が突出して上がるような物が多く、2つまで装備できる。ベスカは1人でダンジョンを探索するので、物理攻撃重視、魔法重視など戦闘スタイルに応じた装備のカスタマイズは結構重要。とくにアクセサリの組み合わせは悩ましくも楽しいところだ。

消費アイテムや装備品がどんどん手に入る
上昇(赤字)、下降(青字)する値を見ながら装備をカスタマイズしていく

 もう1つ、キャラクターカスタマイズを特徴付ける要素が“顕霊”。これはざっくりと言えば守護霊のようなもので、ダンジョン探索中にランダムに遭遇し、その力を宿すことが可能。種類によって異なる能力値がアップするほか、特定の属性攻撃への耐性といった特殊能力をもつ顕霊も登場する。また、特定の顕霊を出現させられるアイテムもまれに入手できる。

 顕霊も戦闘によってレベルアップし能力値が上がっていくが、1体しか宿すことができず、別の顕霊に出会ったときは今の顕霊から乗り換えるか、吸収して経験値にするかの選択を迫られる。顕霊は乗り換えると育て直しになってしまうので(ベスカのレベルに応じてある程度初期レベルは上がるが)1体を大事に育て続けるのが得策だが、さまざまな種類が存在しており、一度逃すと同じ顕霊とまた出会えるとは限らない。色々な顕霊を試しつつ、お気に入りを見つけていくのも本作の醍醐味だ。

顕霊はベスカと一緒に成長し、強くなっていく
新たな顕霊に出会ったときは、今の顕霊との能力値の違いが表示される。基本的に乗り換え先の顕霊はレベルが下がるので、瞬間的には能力値が下がることが多い。将来性も見越した判断が必要になる

 また、魔法は一部を除き、“教本”を装備して覚える方式。装備した状態で戦い続けると魔法をマスターし、教本がなくても使えるようになる。教本は拠点となる村で買えるほか、敵からのドロップにより村で買えないものが手に入ることも。こちらは最終的には全魔法が使えるようになるが、奮発して先に強力な魔法を覚えたりなど習得の自由度は高い。

 またダンジョンでは、村では買えない掘り出し物が並ぶショップもときおり出現。ただし装備品の効果は事前にわからないので、説明文から効果を予想したり、とりあえず買える中で一番高いものを買ってみるなど、お金の使い道にもなかなか気を遣う。

 そのほかにもダメージや毒などを受けるトラップなど、さまざまなイベントによりシンプルながらほどほどにバラエティに富んだ探索を楽しめる。数フロアごとに背景とBGMが変化し、徐々にダンジョン最奥へと近付いているのを感じられるのもなかなか雰囲気がある。

魔法の習得度はメニュー画面から確認可能
アイテムの自動販売機。ボッタクリ価格だったり、逆に安すぎる場合はトラップが仕掛けられていることが多い。だが、まれに激レアな装備品や顕霊が売られていることも

戦闘もサクサク進行、強敵撃破でレアアイテムゲットも

戦闘画面。敵の特徴は名前のほか、色やサイズでもある程度判別できる
ユニークモンスター戦ではBGMも変わり、一気に緊張感アップ

 戦闘はオーソドックスなターン制のコマンド選択型。プレイヤー側が1人パーティであること、またベスカの武器は標準で2回攻撃が可能なこともあり、こちらもサクサク進行する。ボタンの押しっぱなしによる高速化も可能だ。

 また、ザコ敵には“力自慢の~”“すばしっこい~”“鉄のような~”“火炎の~”“~のリーダー”など、必ず何らかの特徴が付与されており、大ダメージを食らいそうな敵から優先して狙う、効果が高そうな属性魔法を使う……といった状況判断により戦闘を有利に進めることが可能。同じ事の繰り返しになりがちなザコ戦にちょっとしたアクセントを加えてくれている。

 とはいえザコ戦の難易度自体は基本的に低め。さらに2体以上の敵との戦闘終了後はHPやAPがある程度回復するボーナスが発生するため、ほとんどの場合そのまま立ち止まらず探索を続けることが可能となっており、サクサク倒してサクサク進みながら自然とレベルアップしていく、というバランスとなっている。

 一方、低確率で遭遇する“ユニークモンスター”は強敵で、明らかに当該フロア到達時点の強さでは勝てなさそうな場合も。ユニークモンスターからは100%逃げられるようになっているので諦めてスルーしてもよいのだが、倒すと限定レアアイテムをゲットできるので、ここぞとばかりにAPやアイテムをフル投入して倒し切るのもアリ。ユニークモンスター戦ではBGMも変わり、撃破時の達成感はなかなかのものだ。

本編クリア後のおまけダンジョンではやり込み要素もたっぷり

ベスカの相棒“ラカッラ”。無口で落ち着いた風のベスカと対称的に強気な性格で、交渉にも強い
おまけダンジョンの奥は強敵揃い。戦うか逃げるかの見極めも重要となる

 ダンジョンは一定フロアに到達するとボス戦ののちクリアとなり、ストーリーが進んで新しいダンジョンが出現していく。突然現れたダンジョンの謎を追う物語は探索のよいフレーバーになっており、村で情報収集や交渉を担当する相棒“ラカッラ”とベスカの、お互いの信頼が感じられるやり取りもちょっとした見所だ。

 また本編クリア後はおまけダンジョンが出現し、こちらは無限に潜り続けることが可能。おまけダンジョンの奥ではザコ敵の攻撃もかなり激しくなり、少し気を抜くと負けてしまうことも。戦闘に負けるとほとんどのアイテムと宿していた顕霊、お金の半分を失うので、時には逃げるのも重要だ。逃走率は逃げる度に100%から落ちていき戦闘に勝つと回復する仕組みなので、敵に付与されている特徴などもチェックしつつ、勝てそうな敵を見極めていくのも戦略となっている。

 とはいえベスカもどんどん強くなるため行き詰まることはなく、最強アイテムの収集といったやり込み要素も十分。ノンフィールドRPGというと限られたリソースをやり繰りしつつ、ギリギリの意志決定が求められるような玄人向けの作品が多い印象だが、本作はもう少し緩く、気軽に遊べる作品だ。進行時のカチッカチッというSEも心地よく、気分転換にちょっとひと潜り、という感覚で少しずつ進めていくのもよいだろう。サクっと楽しむのもとことんやり込むのもプレイヤー次第、アイテム集めやレベル上げが好きな人にお勧めの作品だ。

プレイ動画
本動画では見やすいように比較的ゆっくりプレイしているが、慣れればさらにサクサク進めることが可能

ソフトウェア情報

「ベスカの昏き迷宮」
【著作権者】
ペンフェン(Pen-phen) 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.32(14/05/23)

(中村 友次郎)