週末ゲーム

第516回

“第三回ウディフェス”お勧め作品ピックアップ

“週末ゲーム”担当が趣味で選んだ11作品を紹介

 「WOLF RPGエディター」を使って制作されたゲームを集めるイベント“第三回ウディフェス”が、2月14日から開催されている。作品展示期間は3月14日で終了し、執筆時現在は作品修正期間となっているが、作品詳細ページと掲示板へのリンクが切れるだけで、ダウンロード自体は当面可能。また、作者のWebサイトなどで公開が継続されている作品もある。

 第三回ウディフェスには、第二回の55本を超える65本の作品が集まった。そこで今回の“週末ゲーム”では、その中から筆者がプレイしてとくに面白かった11作品をご紹介する。第四回“WOLF RPGエディター コンテスト”特集に続き、今回もあくまで1プレイヤーの主観によるピックアップだが、作品選びのひとつの参考になれば幸いだ。

RPG

スキル連携で強敵を倒せ! コミカルでハードな短編RPG「Partners 旅する兄妹と無鉄砲猫」

連携攻撃が決まると追加ダメージのほか、HP回復などの効果も

 大陸を旅する“ディオ”と“シィリア”の兄妹と、成り行きで出会った猫の獣人“アカネ”の3人で、アカネが故郷へ帰る資金を稼ぐため魔物狩りに奔走するRPG。プレイ時間1時間半ほどの短編となっている。

 本作の戦闘は、敵・味方入り交じって行動が順次巡ってくるCTB方式のコマンド選択型。特徴は、タイミングを合わせてスキルを発動させることで、追加ダメージなどの効果が得られる“連携攻撃”システムだ。

 スキルの中には発動までに準備時間が必要なものがあり、発動するタイミングが行動順の一覧に表示される。これにタイミングを合わせて別のキャラクターがスキルを発動し、連続してスキルが発動すれば、連携攻撃が成功。追加ダメージのほか、HP回復などスキルごとに設定された効果が発生する。パーティ全員による3連携も可能で、連携時のカットイン表示や、畳みかけるように連続ヒットする攻撃エフェクトも見所だ。

 また、スキルには敵の行動を遅らせるものもあり、いかに敵に邪魔されず、味方同士でスキルを繋いでいくかが戦闘を有利に進めるポイント。そのほか、敵からダメージを受けると溜まる“RP”が満タンになると、一時的にキャラクターを強化する“開放”が可能になり、攻撃力の向上などに加え、スキルの使用に必要なSPが一気に回復し、すばやさが上がってより多く行動できるといったシステムもある。

 本作のボス戦は、こうしたシステムを活用することが前提の少しハードな難易度となっており、チャレンジしがいがある。短い中にもRPGのバトルの面白さが詰まった作品だ。また、シナリオ面では飄々として掴み所のないアカネとマイペースのシィリア、ツッコミ役のディオによる会話が楽しいコミカルな内容となっている。

スキルの使用時は、対象ごとに使用後の行動順の変化を確認できる
ディオとシィリアの兄妹はアカネの資金稼ぎに協力することに。しかし当のアカネは軽いノリ……
「Partners 旅する兄妹と無鉄砲猫」
【著作権者】
あるぅ 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.04

敵のスキルを覚えてキャラクターを強化する短編RPG「魔王姉妹の憂鬱」

“ラーニング”コマンドを選択することで、次に敵が使ったスキルを習得できる

 ザコ戦などは一切なく、3人の主人公達が“彼女”と呼ばれる謎の敵と戦い続ける、独自の雰囲気をもった短編RPG。プレイ時間は1時間から3時間程度となっている。本作の特徴は、敵のスキルを覚える“ラーニング”システムだ。

 戦闘はコマンド選択型で、敵・味方入り交じって行動が順次巡ってくるCTB方式。敵が次に使うスキルがわかるようになっており、“ラーニング”コマンドを先に選んでおくと、そのスキルを自分が覚えることができる。

 ラーニングで覚えたスキルはただ使うだけでなく、戦闘終了後に、拠点となる場所で別のスキルや装備品・アイテムに変換することが可能。本作では経験値によるレベルアップはなく、装備やスキルでキャラクターを強化していく。装備欄は両手およびポケット2つの計4つと少なめで、僅かな装備欄でどの能力を延ばすか悩むのも楽しいところだ。

 敵は非常に強く、一度の戦闘で倒すことは到底不可能。負けてもペナルティはないが拠点に戻され、最初から戦い直しになる。しかし、スキルによって味方を強化し、より多く敵のHPを減らすと、敵は徐々により強いスキルを使うようになってくる。これをラーニングしてさらに味方を強化し……というサイクルでキャラクターを強化していくのが、本作の醍醐味となっている。

 また、負けた際はそこまでに減らすことができた敵のHPに応じてポイントを入手でき、これによって交換で失ったスキルや消費したアイテムなどを再取得できる。そのため、戦い続けていればいつかは敵を倒せるが、どれだけ効率的にキャラクターを強化し少ない戦闘回数で敵を倒せるか、チャレンジしてみるのも面白いだろう。

 語りすぎないテキストや幻想的なイラストによる、独特の世界観の演出も魅力。ゲームの開始時は見知らぬ世界で“彼女”との戦闘が突然始まり途方に暮れるが、プレイを進めることで断片的に挿入される回想シーンなどから、“彼女”とは何者なのか、この場所は何のために存在するのか明らかになっていく。

ラーニングしたスキルは別のスキルやアイテムに変換できる
モノトーンのイラストと共に語られる回想シーン
「魔王姉妹の憂鬱」
【著作権者】
1bit
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.03(13/03/08)

目押しでクリティカルを狙え! ゲージによる攻撃が特徴の短編RPG「ジャッジウォーカー」

ゲージ目押しでクリティカルを狙う
パーティメンバーには信頼度というパラメーターが。高いと控えメンバー時に支援攻撃をしてくれる

 独自の権限をもって事件を解決する“士官冒険者(ジャッジウォーカー)”が主人公の短編RPG。最初は村の倉庫に住み着いたモンスターを退治する簡単な依頼から、徐々に大きな事件へと発展していく。

 戦闘は基本的にはターン制のコマンド選択型。特徴は、タイミングよくキーを押すことでクリティカルとなる独自の攻撃システムだ。攻撃や特技の使用時には横長のゲージが表示され、左右に動くカーソルが色のついた領域と重なったときに決定キーを押すとクリティカルが発生。攻撃が必ず命中する。

 慣れるまでは若干手間取るが、慣れるとクリティカルを確実に出せて便利。また、クリティカルとなる領域の幅は最初は狭いが、アイテムによって広げることができる。さらに武器によって攻撃回数が違い、ゲームを進めるにつれ回数は全体的に増えていく。ゲージは攻撃回数の数だけ用意されており、タイミング良く決定キーを連打してクリティカルを連発するのはなかなか爽快だ。

 そのほか、ゲームを進めることでパーティメンバーがどんどん増えていくのも特徴で、このうち戦闘に参加する3人を随時入れ替え可能。各メンバーは特技やステータスなど戦闘スタイルの違いがハッキリしており、役割を考えながらパーティを編成する楽しみがある。

 本編クリアまでのプレイ時間は約1時間だが、クリア後のやり込み要素も充実。パーティメンバーは皆かわいらしい女の子で、会話イベントやちょっとしたお色気要素もあり、色々な意味で満足度の高い作品だ。

「ジャッジウォーカー」
【著作権者】
クリロウ 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
(13/03/05)

キャラカスタマイズが楽しいRPG「ファルクメイデン EP ZERO Refine 体験版!」

さまざまなデバイスでキャラクターをカスタマイズ
戦闘はオーソドックスなコマンド選択型だが、キャラクターごとの必殺技も用意されている

 平和だが停滞している世界で、冒険を通じて人々に希望を与える使命をもった冒険者“ファルクメイデン”となった少女“ルクレリーナ”が主人公のRPGの体験版。本編は30分ほどの短編で、相棒“ゼルフィス”との出会いと最初の冒険を描いた導入編となっている。そのほか本編クリア後は、ひたすらバトルとキャラクター育成を楽しめる“ロマンシングモード”をプレイ可能。

 本作の醍醐味は、自由度の高いキャラクターカスタマイズ。なかでも一番の特徴が、“アタッチメントデバイス”によるキャラクターの強化だ。デバイスは武器に対して1個、防具に対して2個、そのほか2個の計3種類5個をセットでき、これによりクリティカル率上昇、通常攻撃に魔力を上乗せ、特定属性の攻撃や状態異常への耐性付与といった多様な効果を得ることができる。

 デバイスはダンジョンの宝箱などから入手するほか、戦闘終了時に発生する“トレジャールーレット”でも入手できるため、さまざまな種類のものが豊富に揃う。付け外しは自由なので、敵に応じて適切な装備を整えるのがポイントだ。

 そのほか、レベルアップ時などに増加する“グレイスポイント”というポイントを消費することで、任意のステータスを向上させたり、特殊能力を得ることが可能。長所を伸ばすのも弱点を補うのも自由だが、こちらはやり直しが効かない。そのほか、レベルアップ時のステータス向上率を制御するデバイスもあり、先を見据えた成長戦略が必要だ。

 ストーリー面では、食いしん坊で豪快、色々な意味で一直線な性格のルクレリーナをはじめとする個性的なキャラクター達によるテンポのよい会話も楽しく、短いながら内容の濃いシナリオが展開する。ルクレリーナがファルクメイデンとして今後どんな大冒険を繰り広げて行くのか、完成版が楽しみな作品だ。

戦闘後のトレジャールーレットによりさまざまなデバイスを入手可能
まっすぐ洞窟の奥を目指せと言われたルクレリーナは……
「ファルクメイデン EP ZERO Refine 体験版!」
【著作権者】
SeeYou(ROWProject) 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】
1.0

テンポがよくてシナリオ重視、今後が楽しみなRPG「白地図物語 前編」

紳士アルトゥールは、助けた少女アンジェリカの手助けをすることに

 帽子で顔を隠した謎多き紳士“アルトゥール”と、天使の名をもつ少女“アンジェリカ”が、とある宗教国家で起こる事件を解決していく物語を描いたRPG。前編となる本作のプレイ時間は1時間半ほどとなっている。

 ゲーム開始時に主人公をアルトゥールとアンジェリカから選択可能で、今回のバージョンではシナリオの大筋は変わらないものの、完成版ではマルチエンドが予定されている。また、“紳士度”というパラメーターがあるのもユニーク。賞金首を華麗に(短いターンで)倒すと上昇しやすかったり、町中の宝箱を漁ると下がったりと、紳士らしい行いが重視される。これもシナリオの展開に影響があるようだ。

 ワールドマップは1画面に町やダンジョンなどの移動先が表示されてすぐに移動できる方式で、ダンジョン内では高速なダッシュ移動が可能。サイドビューの戦闘では敵・味方の行動はスピーディに表示されるなど、全体的にテンポがよく、サクサクプレイできる印象だ。

 オープニングムービーや戦闘中および一部イベントシーンでのボイスなど、演出面に力が入った作品。戦闘中、ピンチのときだけ発動できる強力なスキルでは、カットインが表示されるのもポイントとなっている。

 ストーリーは、明るく元気だが意外と毒舌なアンジェリカと、どんなときでも紳士な態度を崩さず超然としているアルトゥールのやり取りが楽しいライトなノリながら、アルトゥールの過去に関わるエピソードなど、切ない展開を予感させる場面も垣間見える。今後の展開が楽しみな作品だ。

戦闘はサイドビュー。キャラクターのドット絵も見所
起動時はオープニングムービーが流れる
「白地図物語 前編」
【著作権者】
卜部 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】
0.24(13/02/21)

テキストオンリーのゲームブック風RPG「迷宮航路グラナドア」体験版

最初に生い立ちなどを選択してキャラクターメイキングを行う
確率ロールによりさまざまな行動の成否が決まっていく

 捨てられた地“グラナドア”をひたすら旅していくRPG。グラフィックはなくテキストを読み進めながら行動を選択し、確率ロールで成功・失敗を判定をしながら探索を続けていくという、ゲームブックやTRPGのような雰囲気をもつ作品だ。体験版とされているが、作者によると事実上の完成版とのこと。

 最初に生い立ちや目的、所属する勢力などを選んでキャラクターメイキングを行い、これによってステータスなどに変化がある。なかでも冒険に一番影響があるのは所属勢力だ。正義のために力を振るう“ブルネイア騎士団”、日々研究を重ねる“レヴァノイア魔法組合”など4つの勢力があり、所属していればそれぞれの施設などで同志として迎えられ、敵対勢力であれば戦闘になってしまうことも。グラナドアでの生き方を決める重要な選択だ。

 冒険を開始すると、1日ごとにほかの冒険者との遭遇や各種施設への到達、不思議な現象の発見といったさまざまなイベントがランダムに発生。探索や交渉、戦闘によってアイテムや所持金を得ていく。そして本作には決まったエンディングはなく、HPが尽きたところでゲームオーバー。生き延びた日数と、冒険の足跡が記録されていく。1回のプレイはどれだけ生き延びるかにもよるが、数分から数十分といったところだ。

 また本作は、「WOLF RPGエディター」の最新ベータ版で実装されているネットワーク通信機能が活用されており、冒険中に出会うほかのキャラクターは、かつてグラナドアで死んでいった別のプレイヤーのデータが使われる仕組み。リアルタイムでの協力要素はないが、かつてこの地を旅した別のプレイヤーを仲間に加え、NPCとして共闘することもできる。

 世界の最果てのような荒寥とした世界観で、明日生き延びられるかどうかもわからない殺伐とした冒険の日々が、淡々としたテキストで綴られるのが趣深い。善行や悪行によって上下する“カルマ”などの値も冒険に影響するので、プレイする度にさまざまな方針で冒険を楽しめる。さらに、到達日数のネットランキングも用意されているほか、ほかのプレイヤーの行動記録を読めるのも面白いところだ。

各勢力の施設では、その勢力に所属しているかどうかで扱いが変わる
ほかの冒険者と戦いになることも
「迷宮航路グラナドア」
【著作権者】
ふぇ 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】

カードゲーム

完成度の高いデッキ構築型カードゲーム「KNIGHTGEIST(ナイトガイスト)」

カードを引いてデッキを構築していく
魔物の戦闘力はダイスロールで決められる

 ゲーム中にカードを集めて自軍のデッキを強化し魔物の襲撃を撃退していく、1人プレイ専用のデッキ構築型カードゲーム。画面付きの丁寧なルール説明が付属するほか、難易度が初級から上級まで3段階用意されており、デッキ構築型カードゲームが初めての人でも2~3回のプレイでルールを把握できるだろう。

 本作は対戦型のデッキ構築型カードゲームと異なり、デッキを構築するのはプレイヤーのみ。ゲームはターン制で、ターンごとにダイスを振って決まった魔物の戦闘力と、自陣のカードの戦闘力を比較して戦うという流れ。これを20ターン繰り返し、魔物に負けると減る“士気”を守り切ればゲームクリアだ。相手プレイヤーとのカードの読み合い、場のカードの奪い合いといった要素はないため、自分だけの最強デッキの構築をじっくり楽しめる。

 各ターンではまずデッキから3枚のカードが自陣に、新しい5枚のカードが“サプライエリア”にオープンされる。プレイヤーが行うのは、サプライエリアから1枚好きなカードを引いて自陣およびデッキに加えること。戦闘力が足りなければ“士気”を1つ消費してデッキのカードを引くことも可能だ。ターンが進むと魔物の戦闘力を決めるダイスの数が増えるため、プレイヤー側もそれに備えていいカードを引き、デッキを増強しておくというのが基本的な流れだ。

 また、カードにはさまざまな特殊能力があり、士気を回復したり、特定の状況で戦力をアップさせたりできる。特殊能力には“自陣のカードが○枚以下”といった使用条件が決められている場合もあるため、カードを引いたり使う順番を考える戦術と、使い所を想定してどの程度デッキに組み込むかという戦略が重要だ。

 1プレイは必ず20ターン(初級は15ターン)以内に終わるためそれほど時間がかからず、クリアすると士気や戦力の最高値などをもとにスコアが算出されるため、繰り返しプレイする楽しみもある。マウス操作のインターフェイスは直感的でわかりやすく、カードめくりや戦闘力比較時のエフェクトといった演出面や、落ち着いた雰囲気に整えられたカードイラストなど全体的にまとまりがよい作り。完成度の高さを感じる作品だ。

「KNIGHTGEIST」
【著作権者】
ねじまきれい 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.01(13/03/14)

シューティングゲーム

サブウェポンの使い分けが楽しい縦シューティング「THUNDER BROOM」

さまざまな武器を使い分けて敵を撃破していく
ステージの最後にはボスが待ち構える

 ホウキに乗った魔女が主人公の縦スクロールシューティングゲーム。特徴は、正面に直進するメインショットのほかにさまざまな種類のサブウェポンが用意されており、切り替えながら利用できること。

 サブウェポンは、一部の敵を倒した際などに出現するアイテムを拾うことで、同時に3つまで持つことが可能。このうち1つを任意に切り替えて利用できる。サブウェポンの種類は5つで、大量の弾を前方へやや広がるように連射する“ラピッド”、単発で出が遅いものの威力が高い槍を真っ直ぐ飛ばす“ジャベリン”、敵を貫通する“レーザー”、扇状に広がる“スプレッド”、近接武器の“ソード”となっている。

 サブウェポンにはそれぞれ残弾数が設定されており使い切るとなくなってしまうが、アイテムはどんどん出現し、所持しているサブウェポンと同じものを拾うと残弾が補充されるので、使い惜しむ必要はほとんどない。また、すでにサブウェポンを3つ持っている状態で別のサブウェポンを拾うと、使用中のものと入れ替わる仕組み。自分のスタイルや敵に合わせて、使いたいサブウェポンを選んでいくのもポイントだ。

 自機は人型だが、いわゆる弾幕系のようにギリギリの弾避けを楽しむタイプではなく、さまざまな攻撃を駆使して速攻で敵を倒していくのが醍醐味の作品。弾数が多く使いやすいラピッドで押し切るもよし、ジャベリンで狙いをつけて一撃必殺を狙うもよし、レーザーで薙ぎ払うのもよしと攻撃スタイルは自由だが、どの武器を使っていても、しっかり狙って撃ち込むという、攻めのプレイが楽しい印象だ。撃ち込みの手応えを感じられるエフェクトやSEも爽快感に一役買っている。

 全3ステージで各ステージの長さも短めのため、クリアまでのプレイ時間は10分程度。全体的な難易度はそれほど高くないがラスボスは結構な歯ごたえがあり、気軽に遊べつつも確かな達成感が得られる作品だ。

「THUNDER BROOM」
【著作権者】
ud 氏
【対応OS】
Windows 2000/XP/Vista/7
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.1(13/03/05)

パズル・ミニゲーム

言語不要の面白さ!? “うぇーい”ばかりのアクションパズルゲーム「way」

アクションと謎解きの両方が求められる
隠されたヒントを読み解き、正しい“うぇーい”を選ぼう

 面クリア型のアクションパズルゲーム。悪しき存在により言語が封じられてしまった世界を救う勇者となり、囚われた“言霊の女神”のもとを目指す。道中には触れるとミスになる“マモノ”が居るほか、さまざまなトラップが仕掛けられており、これを回避しながらステージをクリアし先へと進んでいく。

 ステージは、マモノから逃げるアクションが求められるもの、画面上に隠されたヒントを見つけるもの、パターンを覚えて対処するものなどさまざま。発想の転換を必要とするものが多く、頭の体操にもピッタリだ。ミスをすると画面左上に表示される星印が減り、3ミスでゲームオーバーとなる。ただしコンティニューは何度でも可能だ。

 選択肢を選ぶ場面もあるが、この世界では言語が失われているため、選択肢はすべて“うぇーい”のみ。一見途方に暮れてしまうが、どこかに必ずヒントはあるので、正しい“うぇーい”を選んで道を繋いでいこう。なお唯一の例外として、ゲームオーバー時に女神が表示されたとき“しゃんとしゃべれ”を選択すると、ヒントをもらうことができる。どうしてもクリアできないステージでは活用しよう。

 全体的にコミカルなノリだが、アクションも謎解きも難易度は高め。いやらしいトラップに悔しい思いをすることも多いが、それだけにクリアできたときの達成感はひとしおだ。

「way」
【著作権者】
katarazu 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】

慎重かつ大胆に飛べ! シンプルながらハマるミニゲーム「アフターバーター」

どんどんスピードを上げながら大空を飛んでいく
プレイ後にはどのように飛んだか軌跡が表示される

 マウスの左クリックのみで遊べる横スクロール型のミニゲーム。ルールはシンプルだが慎重かつ大胆な操作が要求される、チャレンジしがいのある作品だ。

 主人公は、「WOLF RPGエディター」のサンプルゲームでもお馴染みのニワトリ“夕一”。海を越えてお使いに出たが買い物で所持金が尽きてしまった夕一は、家までの距離2,000kmを飛んで帰ることを決意する。

 操作は、マウスの左ボタンを押している間は夕一が上昇し、離すと重力によって落下するというもの。画面は自動スクロールで、空中に浮いているパンを夕一が食べるたびに夕一の速度がどんどん上がっていく。

 画面の上下端を超えるとゲームオーバーとなってしまうが、最初は速度がゆっくりのため、ゲームオーバーの危険はほとんどない。しかし、ある一定のスピードを超えると夕一にロケットブースターがついたような状態になり、操作への反応が過敏になっていく。最終的には時速数万から数十万kmにに到達し、一瞬のミスが命取りの緊張状態が続く。

 また、上下端ギリギリを夕一が通過しつつも生還すると、“Cool!!”という表示とともに“イェー”という歓声が起こる。無事2,000kmを飛び終えてクリアした際は、クリア時間や“イェー”の数でスコアが算出される仕組みだ。

 スコアアタックに加え、プレイ後にはどのように飛んだかグラフが表示されるなど、やり込みが楽しい作品。画面右上には実際の時刻ベースで帰宅予定時刻が表示され、無限大から数時間後、数分後へと一気に縮まっていく演出も面白い。

「アフターバーター」
【著作権者】
南天 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.10(13/03/03)

脱出ゲーム

理不尽さがじわじわ癖になる? 一発即死系の脱出ゲーム「たいたん」

タイトル画面
あまりにもぞんざいな選択肢

 探索によりアイテムを入手して仕掛けを解き、建物からの脱出を目指す、いわゆる“脱出ゲーム”の一種。だたし、作者自身がReadmeに“理不尽”“意味不明”と書いているように、論理的に考えても解きようがない謎や、突然の一発死に満ちた“理不尽ゲー”となっている。なお、作者によると本作は前半のみの体験版とのこと。

 舞台は謎の建物。主人公の“ジル子”を操作して脱出を目指すが、それ以上の説明はない。建物の中を調べることによりアイテムを得たり行ける場所が増えていくが、基本的に調べる対象と起こることに因果関係はなく、理不尽な理由でゲームオーバーになる箇所が異常に多い。

 選択肢を選ぶ場面もあるが、選んだ内容と結果は一致せず、中にはどれを選んでもゲームオーバーの3択なども。そのほかアイテムについても、入手時に表示されるアイテム名と実際のアイテム名が違う、説明文が意味不明かつ不気味といった特徴があり、どこで使うものか全く想像がつかない。ここまで徹底していると、この理不尽さがだんだん癖になってくる……かもしれない。

 一見可愛らしいが解釈に困るイラストや、コミカルだが聞き続けていると不安になってくる不協和音めいたBGMなどによる、子供の頃に見た悪夢のような世界観の演出は秀逸。何が起こるかわからない分、びっくり箱を開けるような楽しさがあるのも確かだ。不謹慎なネタもままあり、人によって合う、合わないは分かれそうだが、クリアを目指すかはともかく、一度は体験してみてほしい独特の雰囲気を持った作品だ。

 なお、“実はクリア不可能な仕様”といった根本的な理不尽さはなく、その気になればクリア可能であることは、GOOD ENDへ到達できた筆者が保証する。筆者の場合、セーブデータに記録されたクリア時のプレイ時間は23分だが、ゲームオーバーとロードを軽く見積もって100回以上は繰り返しており、実際のプレイ時間は1時間以上だった。“セーブして総当たり”が基本だが、ちょっとした発想のひらめきが必要な場面もあり、クリア時には謎の達成感がある。万人にはお勧めしにくいが、忍耐力に自信がある方はチャレンジしてみてほしい。

「たいたん」
【著作権者】
赤木どらこ 氏、tachyon 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】
1.0+(13/03/09)

(中村 友次郎)