週末ゲーム

見下ろし型・全方位シューティングゲーム「超戦車戦アドベンティア」

多砲塔の戦車を操り、実在&架空の敵戦車を撃破しまくるアクションシューティング

(12/06/08)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、実在&架空の戦車をモチーフとしたアクションシューティングゲーム「超戦車戦アドベンティア」をご紹介する。

個性的な武器を活かして戦う、痛快な戦車戦

戦車ならではのアクションで、戦いが全方位に展開する 戦車ならではのアクションで、戦いが全方位に展開する

 「超戦車戦アドベンティア」は、同人ゲームサークルASTRO PORTによる有償ソフトで、架空の多砲塔戦車“アドベンティア”を操って悪の秘密結社と戦車戦を繰り広げるアクションシューティングゲームだ。本作は同サークルが2009年にリリースした横スクロールシューティングゲーム「蒸気活劇アドベンタム」の続編で、美少女キャラクターが搭乗する架空戦車が活躍する世界観はそのままに、時代設定を進めて実在兵器が多数登場、画面も見下ろし型へと変更されている。

 本作はパッケージ版が1,890円(税込み)で委託販売されているほか、ダウンロード版も1,575円(税込み)で購入できる。購入方法の詳細はサークルのWebサイトを参照してほしい。無料の体験版もあるので、気になる人はまず体験版をプレイしてみよう。

 設定上の時代と場所は、第二次世界大戦直後の某国某所。本作のヒロインである見習い記者のルーシィは、世界各地で続出した“空飛ぶ円盤”目撃事件の真相を追う。そのさなかに出会ったのは、地球防衛を研究するアマモリ博士。ルーシィは世界征服を企む“R党”の陰謀を阻むべく開発された超戦車“アドベンティア”を強引に託されるのだった。

 というわけで、本作はアドベンティアを操り、ステージクリアを目指して戦うというゲームだ。移動と砲撃の操作が独立しているのが戦車を操る本作ならではの特徴で、基本操作はFPS風味。[W][S][A][D]キーで移動、マウスで照準して弾丸を発射という形だ。そのほか、ゲームコントローラーでの操作にも対応しており、方向キーで移動のほか、砲塔の旋回や射撃などを各ボタンに自由に割り当ててプレイできる。

キャラクターごとに用意された個性的な攻撃方法を選ぼう キャラクターごとに用意された個性的な攻撃方法を選ぼう

 プレイヤーが操作するアドベンティアという架空戦車の面白いところは、搭乗するクルーの選択に応じて砲塔の機能が変化するところだ。通常砲塔である“戦車砲”を担当するメインヒロインのルーシィのほか2名のヒロインが搭乗可能で、そのキャラクターに応じて“散弾砲”、“榴弾砲”、“火炎砲”、“電光砲”という個性的な武器が使用可能になる。搭乗するクルーはゲーム開始時に選択し、ゲーム中はルーシィと選んだ2人の計3人からいつでも砲手を切り替えられる。

 たとえば“散弾砲”は複数の弾丸が放射状に飛んでいくため、多数のソフトターゲットを迎撃するのに便利だ。“榴弾砲”は障害物を超えて攻撃できるため、敵の前に身をさらすことなく戦闘を続けることができる。“火炎砲”は近距離のハードターゲットをすばやく撃破できる攻撃力をもち、“電光砲”は弾体が障害物を突き抜けるため、死角への攻撃などトリッキーな活用が可能だ。

 これらの武器は局面に応じて得手・不得手があって、プレイ中は局面を判断しながら最適な武器に切り替え、敵を撃破していくという流れになってくる。とくにゲーム序盤はあまり硬い敵戦車が出てこないこともあって、各武器の特徴を活かしつつ、次々に敵を撃破していく痛快なプレイが楽しめる。

基本となる“戦車砲”は前方の単一目標撃破に最適 基本となる“戦車砲”は前方の単一目標撃破に最適

“榴弾砲”を使えば障害物越しに敵を攻撃できる “榴弾砲”を使えば障害物越しに敵を攻撃できる

 グラフィックは完全2Dだが、実在戦車をベースとする敵戦車のデザインや、爆発などのエフェクトなどがしっかりと作り込まれている。それらに混ざって要所に登場する架空戦車もとても個性的で、変化に富むゲーム性が生まれているのが良い部分だ。

ステージをまたいだ戦略性の高さに注目

ステージクリア後のレベルアップ画面 ステージクリア後のレベルアップ画面

 本作の構成は典型的なステージクリア方式で、全20を超えるステージを連続的にプレイしていくスタイルだ。そこにスパイスを加えるのが戦車のレベルアップ要素。各ステージで敵を撃破して得た“GP”を消費して、3種の砲塔、装甲、機動力を向上させることができるのだ。

 それが活きてくるのはゲーム中盤以降。序盤のステージはどんな構成でも楽勝でクリアできるものの、やがて敵戦車の種類が豊富になり、地雷や固定砲台など各種のギミックも多数登場するステージになってくると、プレイヤー側にもそれなりの作戦が必要になってくる。

 たとえば、障害物に身を隠して戦う戦法をメインにするなら“榴弾砲”のレベルアップを優先したり、あるいは敵の弾幕を華麗に避けつつ接近戦を挑むというのであれば機動力にリソースを配分するなど、戦車の性能を向上させる方法にもさまざまなスタイルがある。

HPがゼロになると、選択中の砲塔が使えなくなる HPがゼロになると、選択中の砲塔が使えなくなる

燃料低下の警告。枯渇するとその時点でゲームオーバーだ 燃料低下の警告。枯渇するとその時点でゲームオーバーだ

 もうひとつ、長期的な戦略性をもたらしているのは、3種の砲塔のヒットポイント(HP)と戦車の燃料が、ステージをまたいで持ち越される点だ。

 アドベンティアは被弾した際、そのときに選択している砲塔がダメージを受け、HPがゼロになるとその砲塔が使用不可能になる。すべての砲塔が使用不可能になったらゲームオーバーだ。ほかの砲塔を使って次のステージに進めば再度使用可能になるが、ステージ間で回復するのは最大HPの半分程度なので、少々の被弾でまた壊れてしまう。全方位に注意を向け、なるべくダメージを抑えてクリアしていかないと、苦しい展開がいつまでも続くというわけだ。

 さらに厳しいのが燃料だ。アドベンティアは移動したり砲を撃つことで少しずつ燃料を消費していくのだが、もし燃料がゼロになってしまったらその場でゲームオーバー。ステージクリア時に補充される燃料の量は最大量の半分程度になっているため、あるステージを燃料ギリギリでクリアしてしまうと、次のステージで絶対的に燃料が足りず、詰んでしまうことも。

 というわけで本作の中盤以降では、次のステージでの展開を見越しつつ、被弾を避けたり、燃料消費を抑えて戦っていく必要がある。『次のステージはマップが広いから、ここはなるべく動かず、棒立ちで戦おう』といった判断が要求されるあたり、単なるアクションゲームというよりはパズルゲーム的な面白さもあるわけだ。

ボリュームはそれほど多くないが、独特の味わいが印象に残る作品

 本作は比較的ラクにプレイできる序盤〜中盤と、突然難易度が上がって数度の再チャレンジを要求する終盤近くとで、ほとんど別のゲームになっているのが特徴的だ。

 終盤近くのステージでは、スタート時の燃料が少ない場合などは完全に詰むこともあって、初回プレイでは非常に手強い。とはいえ、各ステージのクリア後にセーブができるので、ゲームオーバー後に任意の地点までさかのぼってやり直せば、いずれ攻略可能だ。厳しい局面では数ステージさかのぼって、作戦を立て直そう。

 各ステージの構成もなかなか凝っている。要所で登場する大型のボス戦車との戦闘、あるいは警報装置が散りばめられた基地の中をこそこそと動きまわるスニーキングアクション。絶対に勝てない相手から全力で逃げつつ戦うというハラハラドキドキの展開や、完全に弾幕シューティングと化す展開もありだ。戦車戦というテーマに縛られず、色々な遊びをよく詰め込んだものだと感心する。

強力なボス戦車との戦闘では被弾に注意。次々に攻撃手段を奪われてしまう 強力なボス戦車との戦闘では被弾に注意。次々に攻撃手段を奪われてしまう

敵のセンサーを避けながら進む、スニークアクション的な展開 敵のセンサーを避けながら進む、スニークアクション的な展開

猛烈な弾幕や地雷原を避けつつ、テクニックを駆使して戦う 猛烈な弾幕や地雷原を避けつつ、テクニックを駆使して戦う

ステージ間にはヒロイン達による会話シーンも ステージ間にはヒロイン達による会話シーンも

 本作はゲーム開始時に難易度を選択可能で、難易度により登場する敵や一部の地形が変化する。一度全ステージをクリアしても、腕に覚えがあれば標準の“NORMAL”より上の高難易度“HARD”、“ULTRA”に挑戦してもよさそうだ。あるいは、効率プレイを追求して特定の武器のレベルを最大にまで上げてみる(通常のプレイではGPが足りず上げきれない)、最初とは違った武器構成で再度プレイしてみる(戦術が変わるほか、ステージ間の会話シーンにも変化が現れる)など、数回通してプレイさせるだけの材料は用意されている。

 とはいえゲーム全体のボリュームはそれほど多くなく、やや食い足りない印象も残った。単純にもっと多くのステージというよりは、本作の基本システムを使った別のゲームモードがあってもよかったように思える。たとえば無限に湧き続ける敵戦車をいつまで撃破し続けられるか?といったスコアアタックモードなどがあれば、本作のゲームシステムをもっと深く味わえたかもしれない。

 以上、本作は戦車戦をテーマとしつつ、それ以上の、独特の味わいをもつアクションシューティングゲームに仕上がっている。ゲームに多大なコストパフォーマンスを要求する人には向かないが、サクッと攻略の手応えを与えてくれるモノを求める方には、本作のピリッと個性的なひと味が楽しい時間を提供してくれることだろう。

【著作権者】
ASTRO PORT
【対応OS】
Windows 2000/XP/7
【ソフト種別】
ダウンロード販売 1,575円(税込み)ほか
【バージョン】
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(佐藤 カフジ)