週末ゲーム

面白さが濃縮されたRPG「魔界王伝Ⅱ-異界の十二騎士-」

選択により変換する展開やキャラクターカスタマイズが魅力。周回プレイも快適

(12/03/09)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、やるべきことがスッキリまとまった遊びやすいRPG「魔界王伝Ⅱ-異界の十二騎士-」を紹介しよう。

主人公は十二星座の騎士。ほかの騎士を仲間にするか、吸収するかで物語が変化する

時空の狭間から始まるアリフの探索。“盾”とは何者なのだろうか?時空の狭間から始まるアリフの探索。“盾”とは何者なのだろうか?

騎士と出会うと、吸収するか仲間にするかを選ぶことに騎士と出会うと、吸収するか仲間にするかを選ぶことに

行き先はどんどん増えてマップがにぎやかになっていく行き先はどんどん増えてマップがにぎやかになっていく

 「魔界王伝Ⅱ-異界の十二騎士-」は、仲間を増やし、ダンジョンを探索しながら進行するRPG。物語は魔界の王に仕えていた十二星座の騎士の一人“アリフ”が時空の狭間に飛ばされ、獣人界に辿り着く所から始まる。アリフは幽閉されている王のために魔界へ戻る方法を探し、ほかの騎士や獣人界で出会った者達と共に旅をすることになる。

 十二星座の騎士には、ほかの騎士を吸収して強い力を得る能力があり、この力の使い方を巡り騎士はそれぞれ異なる考えで行動している。主人公のアリフもほかの騎士を吸収するか、しないかを選択することになり、それが物語の行く末を左右していく。なお、本作は「魔界王伝」の続編で世界観を継承しているが、舞台や主要登場人物は前作から一新されている。

 アリフは最初に時空の狭間でしゃべる盾という不思議な存在に出会い、共に獣人界へ。獣人界は砂漠化が進み、原因不明の霧に覆われて近いうちに滅びるとされている。アリフにはほかの騎士を探知する能力があり、それによってほかの騎士と出会うことで物語は進行していく。最初に出会う乙女座の騎士“アイラ”は瀕死の重傷を負っていて、まずは彼女を助けて仲間にするか、吸収するかを選択することになる。

 騎士を仲間にした場合は、最大4人のパーティを組むことができる。4人以上仲間がいる場合は、戦闘要員の入れ替えが随時可能。吸収した場合は、その騎士の特殊能力をアリフが得ることができる。騎士以外にも魔法で動く不思議な鎧の“魔導鎧”や空を飛ぶ謎の“タコ”など、仲間になるキャラクターはいるので騎士を吸収しても人材不足になることはない。それよりも物語をどう展開させたいかで選ぶといい。

 画面構成は、まず世界全体を俯瞰できるトップビューのフィールドマップがあり、そこに拠点となる“浮遊城”や獣人の街が存在する。さらに、アリフが騎士の存在を感知した場所などがマップ上に“ダンジョン”として出現。それらの目的地へカーソルを動かすことで、すぐに移動できる。

 ダンジョンではフロア全体がマス目状のマップとして表示されており、マップ上には宝箱や回復の泉、次のフロアへの階段などの位置が示される。ダンジョンでの移動はマス目を一歩ずつ進んでいく方式で、ダンジョンの最深部に到達すると騎士と出会うなどのイベントが発生し、ダンジョンクリアとなる。なお、ダンジョンは画面上部に表示される“探索”の数字の回数だけ入ることができ、この数字がゼロになったら浮遊城に戻って休養する必要がある。

浮遊城が行動の拠点。困ったときは“休養する”を選択してみよう浮遊城が行動の拠点。困ったときは“休養する”を選択してみよう

獣人の街では買い物ができる。金は惜しまず使っていい獣人の街では買い物ができる。金は惜しまず使っていい

戦闘ではスキルの使いこなしと属性の相性がポイント

ダンジョン内は1歩ずつ移動。つるはし印は採掘ポイント、赤い印は固定の敵だダンジョン内は1歩ずつ移動。つるはし印は採掘ポイント、赤い印は固定の敵だ

ダンジョン内で敵と遭遇。“あぶない魔物”は通常より強敵だダンジョン内で敵と遭遇。“あぶない魔物”は通常より強敵だ

 ダンジョンでは、画面中央上に表示される“行動力”を消費して探索を行うことになる。移動、宝箱を開ける、戦闘から逃げるといった行動で消費し、フロアを移動すると10ポイント回復する。ゼロになると探索終了となるので、それより先にダンジョンの次のフロアへ進まねばならない。戦闘はランダムエンカウントと、特定の場所に配置された敵アイコンの地点で発生。ランダムエンカウントの際は戦闘開始前に敵の種類が表示され、“避けて通る”を選択すると戦闘を回避することも可能。敵の種類には“ふつうの魔物”と強めの敵が出る“あぶない魔物”、特殊な敵が出る“めずらしい魔物”がある。行動力を消費するが確実に逃げられるので、無用な戦闘は回避してもいい。

 戦闘はターン制のコマンド選択型。コマンドは武器を使った“攻撃”とダメージを軽減する“防御”、そしてスキルがある。スキルの使用にはSPを消費する仕組みだ。SPは各キャラクターごとに最大値が8~11となっており、消費した場合は“防御”を選択すると1ポイントずつ回復できる。スキルの使用には1~3ポイントのSPを消費するので、戦闘ではうまくSPを回復しながらスキルを使うことが重要だ。

 もうひとつ戦闘で重要となるのは属性の相性だ。キャラクターおよびスキルごとに属性があり、相性は火→地→風→水→火という関係になっている。たとえば火属性の攻撃は地属性の敵に対して強く、与えるダメージが大幅にアップするという具合だ。逆に弱い属性に対してはダメージをほとんど与えられず、同じ属性同士はお互いに与ダメージが半減してしまう。無属性はどの属性とも相性がなく、安定したダメージが見込める。さらに、場の属性という概念もあり、火属性のダンジョンでは火属性のキャラクターとスキルが非常に強く、地属性は弱くなる。このことから、パーティメンバーの属性は偏らせず、なるべく4属性それぞれ1名ずつを用意しておいた方がいい。

戦闘における敵は最大3体。アリフの通常攻撃は全体攻撃となっている戦闘における敵は最大3体。アリフの通常攻撃は全体攻撃となっている

スキル“銀氷河”は威力こそ低めだが、敵全体にスタン効果がある有力な攻撃だスキル“銀氷河”は威力こそ低めだが、敵全体にスタン効果がある有力な攻撃だ

 また、ダンジョン内で使用する“ダンジョンスキル”というものがあり、ダンジョン内が変化する“変化の術”、すぐにダンジョンから出られる“脱出”、HPとSPを全回復する“完全回復”、行動力を20プラスする“行動力回復”といった便利なものがある。これらは使うと使用可能な回数が減っていくもので、獣人の街で購入すると回数を増やせる。

 また、ダンジョン内の岩を破壊する“爆破”、採掘場所を掘る“採掘”、鍵のかかった宝箱を開ける“解錠”、深い場所に潜る“潜水”というスキルもあり、これらは獣人の街で購入すると何回でも使用可能。探索の幅を広げることができるだろう。

武器・防具、スキルなどキャラクターの成長項目は豊富。自由にカスタマイズしよう

編成画面。パラメーターの伸びはキャラクターごとに違う編成画面。パラメーターの伸びはキャラクターごとに違う

武器の強化は重要。急所率のアップは必要強化力が多いが……武器の強化は重要。急所率のアップは必要強化力が多いが……

 マップ上から呼び出せるメニュー画面では、セーブや戦闘に参加するキャラクターの編成、これまで得たスキルの一覧を見ることなどができるほか、現在の目的も確認可能。また、編成画面からは各キャラクターの詳細なステータスを表示し、ここで武器、防具の強化、スキルの設定、戦闘での役割を明確にする“ロール”の変更、“力のかけら”の配分によるステータスアップ行う。

 武器、防具の強化は“強化力”の数だけ可能で、強化力は浮遊城に戻って休養すると1つ増加するほか、ダンジョン内で移動中に発見したり、宝箱や採掘で入手できる。また、ダンジョン探索などで入手できる“魂”を10個消費して強化力を1つ入手する方法もある。

 武器の強化項目は威力、命中率、魔力、急所率の4項目、防具は防御力、回避率、俊敏性の3項目があり、それぞれ強化力を1~2つ消費してアップさせる。重要なのは強化を8段階行うと、武器や防具の真の力が引き出され、大幅なパワーアップが見込める点だ。とくに武器の場合は“EXスキル”という固有のスキルが解放されるので、武器を優先的に強化するといい。

 戦闘時にコマンドとして使うスキルは、各キャラクターごとに最大3つまで設定できる。スキルは仲間にしたキャラクターが所有していたものを全員が使用可能となるほか、ダンジョン内の鍵がかかった宝箱や採掘ポイント、潜水で潜れるポイントなどから入手したり、獣人の街で購入する。ただし、各キャラクターの属性と相性の悪いスキルは使用できない。また、武器には弓、槍、剣などの種類があり、弓で斬撃系のスキルは使えないなどの制限がある。

 スキルの種類は、物理攻撃系、魔力攻撃系のほか、各キャラクターの属性と一致していないと使えない属性専用系、“治癒”など回復や強化を行うサポート系、ダメージは与えないが敵にバッドステータスを与える変化系、キャラクターの能力値を底上げするがコマンドは増えない装備系と、数も種類も豊富にある。どんなキャラクターに育てていくか、武器や防具の強化と合わせて自由にバリエーションを考えてみよう。

 ロールの変更というのは、戦闘時の役割をより明確にするためのものだ。最初は特殊効果のない“ノーマル”となっていて、攻撃力と命中が上がり魔力が低下する“戦士”や、魔力が増加し2ターンだけ敵に狙われなくなる“僧侶”など6種類が用意されている。何回でも変更できるので、試しながら最適のロールを探していける。

 “力のかけら”は、戦闘やダンジョン内の宝箱、浮遊城での仲間の騎士との会話時などに入手できるステータスアップアイテムで、キャラクターに与えることができる。キャラクターの能力値はHP、攻撃力、防御力、魔力、俊敏性の5項目があり、これらはレベルアップや武器、防具の強化で上がっていくが、力のかけらを使うことでプラスアルファの成長ができる。各キャラクターは長所がどんどん伸びていくので、弱い部分を補っていくといい。

テンポがよく周回プレイも快適。さまざまな展開やパーティを楽しもう

 全体的な難易度は決して高くないが、うまく進めていくコツは主力となるキャラクターの強化を早めにしてしまい、武器の真の力を解放することだ。とくに通常攻撃が全体攻撃のアリフは強化しておくと序盤の戦闘がかなり楽になるのでお勧め。また、ダンジョンでの採掘は強化、金、魂を稼ぎやすいので採掘スキルは優先して入手するといい。

 1回のプレイ時間は10時間はかからない程度だが、騎士を吸収するかによってシナリオが変化するため繰り返しプレイできることも考えると、ボリュームは充分。パーティの組み方を変えて楽しむこともできる。グラフィックもなかなかで、イベント絵まで用意されている。レベルも上がりやすく、戦闘のきつさでプレイが滞ることもほぼない。周回プレイを想定したゲームはテンポのよさが命だが、その部分はしっかり意識して制作されていると感じた。最後まで快適に遊べる一作だ。

【著作権者】
メガネ 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.5(11/08/28)

(藤井 宏幸)