週末ゲーム

攻略対象がすべて鳥類の乙女系ノベルゲーム「はーとふる彼氏」

ハートフルな恋愛だけじゃない!? 題名に似合わぬシリアスな展開も魅力

(11/09/09)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした良作を毎週紹介していく。今回は、攻略対象となるキャラクターたちが全員鳥類という、一風変わったノベルゲーム「はーとふる彼氏 〜希望の学園と白い翼〜」を紹介する。

攻略対象がすべて鳥類の乙女系ノベルゲーム

ハトばかりが通う名門校“聖ピジョネイション学園”を舞台にした恋愛アドベンチャー ハトばかりが通う名門校“聖ピジョネイション学園”を舞台にした恋愛アドベンチャー

ゲーム初日に主人公のクラスへと転校してくる“銀=ル・ベル=朔夜”。フランス鳥貴族を父にもつ ゲーム初日に主人公のクラスへと転校してくる“銀=ル・ベル=朔夜”。フランス鳥貴族を父にもつ

 「はーとふる彼氏」の物語の舞台となるのは、世界中から優秀なハトばかりが集まる名門校“聖ピジョネイション学園”だ。平凡な生活から一転して鳥類ばかりの学園に通うことになった人間の主人公が、ようやく周囲の環境に馴染み始めた2年生の初日から物語はスタート。1年間にわたる学生生活を通して、幼なじみで心優しいカワラバトの少年“華原 涼太(かわら りょうた)”や、転入生でプライドの高い貴族のクジャクバトである“銀=ル・ベル=朔夜(しろがね る べる さくや)”といった美少年(?)たちとの交流が描かれる。

 本作は、画面上に表示される文章をマウスクリックで読み進めていくノベルタイプの恋愛アドベンチャーゲーム。攻略対象キャラクターが男性のいわゆる“乙女ゲー”と呼ばれるジャンルの作品だが、この作品は主人公を除きすべての登場キャラクターがハト科を中心とした“鳥類”で、キャラクターの立ち絵が実写の鳥なのが最大の特徴だ。ゲーム中の選択肢によって物語の展開や結末がさまざまに変化していくほか、何度かある選択授業を数学、体育、音楽から選ぶことで、主人公のパラメーターが変化するという、恋愛シミュレーション的な要素もプラスされている。なお、本作の主人公の名前はユーザーによる自由入力で、デフォルト名は“十坂 ひよこ”となっている。

 恋愛シミュレーションというと攻略が大変そうと感じてしまうかもしれないが、その点は安心してほしい。一部のキャラクターの攻略時に選択必須の教科があったり、後述する有償版でパラメーターが関係するエンディングがある程度なので、どうしても攻略に失敗してしまうキャラクターが出てきたときに意識すれば十分だ。

物語を彩る個性豊かな登場“鳥物”たち

クラスメイトの“尾呼 散”。ほかの生徒より野性を強く残しており、よく“あらぶっている”ことで有名 クラスメイトの“尾呼 散”。ほかの生徒より野性を強く残しており、よく“あらぶっている”ことで有名

ヒナの頃から主人公の近所に住む“華原 涼太”。各キャラクターの初回登場時には、このように擬人化イラストを表示することも可能だ ヒナの頃から主人公の近所に住む“華原 涼太”。各キャラクターの初回登場時には、このように擬人化イラストを表示することも可能だ

 物語に登場するキャラクターたちは個性的な“鳥物”ばかりだ。幼なじみと転校生のほかにも、人気者だが雌雄関係にちょっとだらしがない先輩でクジャクバトの“坂咲 優夜(さかさき ゆうや)”、いつも図書室にいる無口な下級生でナゲキバトの“藤代 嘆(ふじしろ なげき)”、陸上部部長にしてプリンを求めて毎日“あらぶっている”駿足のクジャクバトと思われるハト“尾呼 散(おこ さん)”、目を離すとすぐにうたた寝を始めてしまう担任教師でヒメウズラの“七姫 一明(ななき かずあき)”、怪しげな雰囲気をもつ謎めいた保険医でイワシャコの“岩峰 舟(いわみね しゅう)”といった総勢7羽ものキャラクターが登場し、全員攻略可能となっている。

 ゲーム中に表示されるキャラクターの立ち絵は前述の通り鳥の写真ばかりだが、それでは感情移入が難しいという人のために、登場時の最初の1回に限って各登場“鳥物”たちを擬人化したイメージイラストを表示するかどうかを、ゲームスタート時に選択することが可能だ。また、各キャラクターの紹介には、“NS3=脳内再生シンクロシステム”と称して作者のイメージする声優名が添えられているので、声優に詳しい人は脳内で声をイメージすることで、より物語を楽しむことができるだろう。

これがホントに“はーとふる”?シリアスでシビアな展開も。「完全版」に期待!

教師陣をはじめ、ハト以外の鳥類も登場する 教師陣をはじめ、ハト以外の鳥類も登場する

保険医の“岩峰 舟”。鳥体実験をしているという噂もあるほどの、怪しげな雰囲気をもつ。鳥の実写ながらイメージにピッタリ 保険医の“岩峰 舟”。鳥体実験をしているという噂もあるほどの、怪しげな雰囲気をもつ。鳥の実写ながらイメージにピッタリ

 本作は一見すると、主人公以外の登場キャラクターが鳥類ばかりという一発ネタ的な側面に目がいきがちだが、オーソドックスな恋愛ゲームとしてしっかりと作り込まれているのはもちろん、それに留まらない展開も魅力のひとつだ。ゲーム中では主人公が『今朝はなかなか獲物が見つからなかった』と口にしたり、主人公の家がどう見ても横穴式住居レベルのシロモノだったりと、物語の端々におや?と思わせるシーンが登場する。こうした謎の一端は、何羽かのキャラクターのシナリオで明かされることになるが、想像以上にシリアスかつシビアな展開に驚かされることになるはずだ。

 「はーとふる彼氏」は、今回紹介した無料で遊べる“フリー版”のほかに、有償のパッケージ版「はーとふる彼氏Plus」が同人誌即売会にて頒布され、執筆現在は同人ショップなどで委託販売されている。「Plus」では、新たな攻略可能キャラクターとして“邪緋眼”持ちのヒムネバトである“緋紅 アンヘル(ひぐれ あんへる)”が追加されているほか、“銀 朔夜”、“尾呼 散”、“岩峰 舟”の3羽のエンディングにフリー版とは異なる結末を追加した“アナザーエンド”や、フリー版では存在しなかった新たなイベントが12個も追加挿入されるなど、フリー版を読んで本作を気に入った人にはたまらない追加要素が満載だ。

 さらに、10月下旬に「完全版」のリリースも予定されており、「Plus」の購入者は無償で「完全版」へのアップデートが予告されているのも見逃せないポイント。「完全版」ではこれまで語られなかった真実が描かれる、サスペンス系長編シナリオの“BBLルート”が追加される。これに先立ち「Plus」では、新たなエンディングにたどり着くたびに開放されていく“アーカイブモード”が用意されており、「完全版」で語られるはずの展開の一端を、一足早く体験することが可能となっている。

 なお、エピローグなどの一部要素は省略されるものの、フリー版でも“BBLルート”の追加が予定されている。

“邪気眼”ならぬ赤く染まった胸の“邪緋眼”を持つ「Plus」の追加キャラクター“緋紅 アンヘル”。痛い言動が特徴 “邪気眼”ならぬ赤く染まった胸の“邪緋眼”を持つ「Plus」の追加キャラクター“緋紅 アンヘル”。痛い言動が特徴

「Plus」では新たなエンディングを見るたびに、真相の断片を記したメモが開放されていく“アーカイブモード”や、エンディングごとの“エンドカード”などの追加要素が用意されている 「Plus」では新たなエンディングを見るたびに、真相の断片を記したメモが開放されていく“アーカイブモード”や、エンディングごとの“エンドカード”などの追加要素が用意されている

ネタゲーだと思ってスルーしていた人にこそオススメしたい作品

 「はーとふる彼氏」は、“攻略可能キャラクターが鳥類”ということがネット上で大変な話題となり、パッケージ版は即売会や同人ショップでも即完売するほどの人気となった作品だ。しかし、実際にプレイしてもらえればわかることだが、本作は単にキャラクターを人間から鳥類に置き換えてみましたというネタだけの作品ではない。もしあなたがノベルゲーム好きにも関わらず本作をネタゲーとして敬遠しているのだとしたら、騙されたと思ってフリー版を2周してみることをおすすめしたい。

 そしてもちろん、鳥好き、ハト好きの人にもおすすめだ。作者のハトに対する深い愛情に共感できることだろう。

お詫びと訂正:記事初出時、主人公の名前について“デフォルト名は用意されていない”と記載しておりましたが、実際には“十坂 ひよこ”という名前が用意されています。お詫びして訂正いたします。なおデフォルト名は名前入力時に表示されますが、編集部にて確認したところ、環境によっては表示されない場合があるようです。

「はーとふる彼氏 〜希望の学園と白い翼〜」フリー版

【著作権者】
玻都もあ 氏
【対応OS】
Windows XP(Mac OS X版あり)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.0.0

(霧島 煌一)