週末ゲーム

“歩数制限つき”3DダンジョンRPG「ブルーバレット」

歩数制限や戦略性の高い戦闘が生み出す緊張感は抜群!戦う少女達の物語も魅力

(10/06/11)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、歩数制限などユニークなシステムが光る3DダンジョンRPG「ブルーバレット」を紹介しよう。

閉じ込められた兵器工場は化け物の巣窟!?

人工生命兵器があふれる地下工場からの脱出を目指す3DダンジョンRPG人工生命兵器があふれる地下工場からの脱出を目指す3DダンジョンRPG

 「ブルーバレット」は、自衛隊が軍隊となった近未来の日本が舞台の3DダンジョンRPG。訓練生の“リオ”“タマオ”“リョウコ”“トモコ”という4人の女の子と指導教官の“キョウ”で構成される自衛軍所属137分隊は、“エノモト”教授と共に鳥取県の兵器工場へ見学にやってきた。そこで救難信号を受け取った137分隊は地下8階で化け物に襲われそうになっている女の子“ミキ”を発見するが、ミキを助けるためにリオが撃った銃弾が原因で工場設備にトラブルが発生し、地上に戻れなくなってしまう。

 しかも、ミキが対人工生命体用の弾丸“ブルーバレット”を持っていたことによって、工場で秘密裏に兵器用の人工生命体が開発されていることが判明。外の大雨と設備のトラブルによって水没の危機にある地下から徒歩にて地上を目指すことになるが、工場内には多数の人工生命兵器が待ち受ける……というのが序盤のストーリーだ。

剣による攻撃が得意で防御系のスキルを多くもつ指導教官のキョウ剣による攻撃が得意で防御系のスキルを多くもつ指導教官のキョウ

剣と銃の両方を扱え、攻撃力の高いスキルをもつリオ剣と銃の両方を扱え、攻撃力の高いスキルをもつリオ

拳による攻撃と状態異常を与えるスキルが得意なタマオ拳による攻撃と状態異常を与えるスキルが得意なタマオ

行動速度は遅いが射撃が得意で高い攻撃力をもつリョウコ行動速度は遅いが射撃が得意で高い攻撃力をもつリョウコ

 ゲームの目的はシンプルで、3Dグラフィックで描かれたダンジョンを進み、上の階に移動するための階段を探していくというもの。ダンジョン内の人工生命兵器と戦い、レベルを上げながらクリアを目指すという流れは普通のRPGと同様だが、本作では水没するまでの時間が決められているのが大きな特徴だ。残り時間はゲーム中では“カウント”という単位で表現され、ダンジョン内で1歩くごとにカウントが1つ減っていく。じっくりとダンジョン探索をしていると、カウントがゼロになってゲームオーバーとなってしまうのだ。

 ゲーム開始時のカウントは250。移動のほかに、HPや、スキル使用で消費するSPを回復させるための“休息”で100も減る上、パーティーに1人でも戦闘不能のメンバーが居ると休息にかかるカウントが150に増加する。そのため、移動も戦闘も慎重さが求められるのだ。なお、カウントは敵を倒したりダンジョン探索で入手できる“結晶”を使って工場設備を修理することなどにより増加するものの、それでも1回で200~300程度の増加にとどまる。なるべくダメージを受けないように戦闘し、移動も効率よく……と頭を使わなければいけないのが、難しくも面白いところ。常にドキドキ感が味わえるのが本ゲーム最大の魅力と言える。

 なお、休息は地下8階に設けられた拠点でのみ行え、セーブも拠点でのみ可能となっている。到達したフロアと拠点はエレベーターなどで行き来できるが、カウントを節約するにはなるべく拠点に戻らず探索を続けるのも重要だ。ちなみに、ダンジョンは自動的にマッピングされ、画面上に付近のマップが常時表示されるほか全体マップもすぐに呼び出せるので、“自分の居場所がわからない”という事態には陥らない。3DダンジョンRPGが苦手という人でも、移動については快適にプレイできるハズだ。

戦闘では敵・味方の行動順を常に意識しよう

戦闘では敵、味方ともに画面左側にあるアイコン順で行動する戦闘では敵、味方ともに画面左側にあるアイコン順で行動する

ボスにはそれぞれ特徴があるので個別に戦略を立てる必要がある。倒すとレア装備を入手可能だボスにはそれぞれ特徴があるので個別に戦略を立てる必要がある。倒すとレア装備を入手可能だ

 戦闘はダンジョンを歩いているとランダムに発生する。基本はコマンド選択型だが、キャラクターごとに設定された行動速度に応じて行動順が回ってくる方式で、敵・味方の行動順が画面の左側にアイコン表示されるのが特長だ。敵の攻撃が続きそうなら防御を優先するなど、さまざまな戦略を立てられるのが面白い。さらに、攻撃時は対象を選ぶと予想ダメージと命中率が表示される。各キャラクターは敵を一時的に行動不能にしたり攻撃力や防御力を下げるといったスキルが扱えるが、その成功率も表示されるため、どの敵にどのタイミングでスキルを使うのが有効かといった駆け引きも楽しめる。

 行動順に関してもう1つ重要なのが、敵がスキルによる強力な攻撃を仕掛けるときには、攻撃の準備動作から実際に発動するまでの順番待ちが発生すること。敵の攻撃スキルをキャンセルできるスキルもあるので、順番待ちの間にそれを実行すれば被害を回避できる。スキル発動前に倒したり、防御コマンドや防御系スキルで備えるのも有効だ。各キャラクターともHPが少ないため戦闘は全編通してシビアだが、攻撃やスキルの効果を確かめ、敵の強力な攻撃をしっかりと回避すれば、簡単にはやられなくなる。

 ちなみに、各フロアにいるボスだけはマップ上に三角形のアイコンで表示される。次の階へ行くための階段はボスの近くにあることが多いので、そこを目指して移動するのが最短ルートへの道だ。ただし、ボスは非常に強いため苦戦は必至。ボスはほとんどの場合倒さなくても迂回すれば先に進めるため、わざと遠回りして次の階へ移動するのもアリだ。

 クリアまでの戦略に大きく関わる要素として、拠点で行える開発と生産もある。これは結晶を消費して実行できるもので、回復アイテムや攻撃補助アイテムの所有数を増やしたり、武器や防具の生産、ダンジョンで拾ったアイテムの修理、キャラクターを強化するアイテムの精製など内容は多彩だ。歩数制限により、戦闘を繰り返して結晶を貯めるという作業が難しいため、現在どのアイテムや強化が必要なのか見極めることも重要となる。

施設の開発によって所持できるアイテムが増えたり、生産できる武器や防具が強化される。なお、トモコは探索には参加せず拠点で開発を担当する施設の開発によって所持できるアイテムが増えたり、生産できる武器や防具が強化される。なお、トモコは探索には参加せず拠点で開発を担当する

武器などの生産はエノモト教授が担当。ダンジョンで拾ったアイテムを修理して装備できるようにすることも可能だ武器などの生産はエノモト教授が担当。ダンジョンで拾ったアイテムを修理して装備できるようにすることも可能だ

 このほか、各階のクリア時には、歩数、戦闘内容、アイテムの収集数に応じてボーナス経験値がもらえるのも大きなポイント。なかでも歩数が重要で、少ないほど多くの経験値を獲得できる。つまり戦闘を回避して最短ルートでクリアしても、レベルはしっかり上がるので次の階で戦闘が厳しくなる心配はそれほどない。多くのRPGにありがちな“敵との無駄な戦闘で経験値稼ぎ”をしなくていいのも、本ゲームがもつ特徴の1つだ。また、これらのプレイ実績はスコア化され、オンラインでのスコアランキングも用意されている。

 本作は歩数制限とキャラクターのHPの少なさから移動、戦闘ともに緊張感が常にある。もう少し無理してでも進むか、一度拠点に戻って装備を整えるか、ドキドキしながらプレイする感覚が最後まで続くのが楽しいところだ。また、人工生命兵器を開発する工場の真の目的など、緊迫したストーリー展開も見どころ。さらに、部隊のメンバーは若い女の子ばかりなので、青春時代ならではの悩みが随所に出てくるのも面白い。2周目以降のやり込みに向けて、登場キャラクターが若干変化するアナザーストーリーが用意されていたり、一度行った場所がすでにマッピングされているので効率をさらに上げられるといった要素もある。難易度は高めだが、それだけに戦略がはまったときの満足度も高い1本だ。

各階クリア時にはボーナス経験値がもらえる。歩数が少ないほど獲得値は大きい各階クリア時にはボーナス経験値がもらえる。歩数が少ないほど獲得値は大きい

10代の女の子らしい会話も随所で楽しめる10代の女の子らしい会話も随所で楽しめる

【著作権者】
プチレア
【対応OS】
Windows XP/Vista
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.03
【ファイルサイズ】
153MB

(芹澤 正芳)