週末ゲーム

ストーリーも戦闘も充実の本格派RPG「月夜に響くノクターン Rebirth」

ダンジョンに設定された目標クリアレベルがヤル気を刺激する

(09/11/20)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、王道ストーリーと充実の成長システム、テンポのいい戦闘が魅力の本格派RPG「月夜に響くノクターン Rebirth」を紹介しよう。

小さな村にやってきた謎に満ちた主人公

 「月夜に響くノクターン Rebirth」は、森の中にある小さな村“アルギズ”を舞台としたファンタジーRPG。修羅の化身にして、恐るべき能力をもつ魔剣士である主人公“レヴェエル”は、ヒロイン“ルナ”を追っていた野盗を成り行きから追い払う。ルナはお礼としてレヴェエルをアルギズの村に招くが、その周囲で吸血鬼が現れるなどさまざまな事件が起こり始める……。

 これが序盤のストーリーで、プレイヤーはレヴェエルを操作することになるが、彼が本当は何者で、何のために村にやってきたのか最初はわからない。人を超えたキャラクターや謎めいたダンジョンの登場によって、状況が少しずつ見えてくるのがストーリーの醍醐味となっている。

レヴェエルとルナの少しずつ変化する関係にも注目レヴェエルとルナの少しずつ変化する関係にも注目レヴェエルとルナの少しずつ変化する関係にも注目

行動ゲージが溜まると攻撃可能なアクティブバトル

フィールド上の魔物に触れると戦闘画面に切り替わるフィールド上の魔物に触れると戦闘画面に切り替わる

戦闘では、足元のゲージが溜まると行動が可能になる戦闘では、足元のゲージが溜まると行動が可能になる

強力なスキルを使ったときの派手な演出も見どころだ強力なスキルを使ったときの派手な演出も見どころだ

 戦闘は、フィールド上にいる魔物に触れると画面が切り替わるシンボルエンカウント方式を採用。戦闘画面はサイドビューのアクティブバトル方式となっており、各キャラクターの足元にある行動ゲージが時間経過で増えていき、それが満タンになったキャラクターから攻撃や道具の使用などが可能になる。

 戦闘においては、この時間経過が行動順以外にもさまざまな影響をもたらす。まず、回復アイテムのなかでは安価な“薬草”類は使用してもすぐに回復せず、時間経過によって徐々に回復する仕組みのため、早めの対応が必要だ。

 このほか、戦闘時に利用できるスキルも時間経過が関わってくる。強力な攻撃力をもつ“剣技”系スキルの使用には、行動ゲージと同じく時間経過で溜まっていく“錬気”が必要。錬気が溜まるとキャラクターの上にスキル名が表示され、使用が可能になるという流れだ。なお、錬気はスキルごとに独立して溜まる仕組みで、複数の剣技系スキルをもっていれば、連続して発動することも可能だ。このほか、自動でHPが回復する“リジェネレーション”、同じくMPが回復する“メディテーション”といったスキルも一定時間ごとに発動する。

 さらに、スキルには“魔術”もあり、敵全体に攻撃できるものから、回復系まで便利なものが揃っている。魔術は発動に錬気が必要なかったり、必要な場合もほとんどは剣技より少ない錬気で発動できるが、即座に効果がある剣技系のスキルと異なり詠唱時間が必要となる。詠唱の長さは魔術によって異なるが、敵の行動ゲージのほうが早く溜まりそうなときは、使うのを見送るなど的確な判断が必要だ。

剣士系か魔術系か、育て方を悩むのが楽しい成長システム

スキルの成長はツリー状に分岐する。どう伸ばすかは自由だスキルの成長はツリー状に分岐する。どう伸ばすかは自由だ

 主人公であるレヴェエルの成長における自由度が高いのも、本作の特長だ。敵を倒すことで獲得できる経験値を消費してさまざまなスキルを獲得できる仕組みとなっている。スキルは大きく分けて、攻撃力の高い“剣技”、広範囲への攻撃を得意とする“魔術”、逃走など特殊な効果をもつ“邪眼”、自動で発動する“受動”と4つの系統があり、どれを伸ばしていくかはプレイヤーの自由だ。

 剣士として鍛えるのもアリだし、魔術使いとして育てるのもいいだろう。なお、アイテムの1つ“五輪書”を使うと、すべてのスキルを経験値に戻せる。スキルの伸ばし方に失敗してもやり直せるワケだ。これにより、ボスと戦う前に単体攻撃を重視したスキルに組み直すといった戦略も可能となる。

 なお、魔術には6種類の属性があり、それぞれ特徴をもっている。具体的には、安定した能力とさまざまな特性をもつ“光”、攻撃力の高い“闇”、大範囲の攻撃に特化するが詠唱時間が長い“火”、威力は低いが消費MPが少ない“冷”、小・中範囲の攻撃が得意で詠唱時間の短い“風”、単体への攻撃に特化している“雷”という内容だ。この属性は敵にもあり、特定の属性に対して耐性をもつ、または逆に非常に弱いといった形で表れる。ボスなどの難敵に対しては、弱点となる属性を探るようにしたい。

 また、受動系スキルは先述の“リジェネレーション”や“メディテーション”などのように、自動で発動するもの。特定の攻撃に対する耐性をアップさせるものもある。なお、覚えたスキルは装備して使う仕組みで、剣技、魔術、邪眼系のスキルは合計で8種類まで、受動系スキルはほかのスキルとは別に8種類まで同時に装備できる。

戦いを助ける使い魔とダンジョン攻略にも注目

使い魔はソーサリーを付与して強化できるのがポイント使い魔はソーサリーを付与して強化できるのがポイント

陣形は能力に補正や特殊効果が発生する。状況に合わせて選ぼう陣形は能力に補正や特殊効果が発生する。状況に合わせて選ぼう

 そのほか本作で特徴的なシステムが“使い魔”だ。敵がランダムで落とす“コア・オブジェクト”を使用すると、その敵を使い魔として召還し、戦闘のパートナーにできる。ボス以外は使い魔にできるため、強敵も味方にできるのが楽しい。ただし、使い魔の強さはコア・オブジェクトを落とした敵とまったく同じなので、最初はそれほど強くはない。そこで登場するのが同じく敵が落とす“ソーサリー”。これは使い魔をパワーアップさせるアイテムで、使い魔ごとに3つまで装備できる。ソーサリーは攻撃力や防御力を上昇させるものなど数多くの種類があり、うまく組み合わせればかなりの強化が可能だ。

 使い魔は、同時に4体まで召還が可能で、2体まで戦闘に参加させられる。ここで面白いのは、使い魔を含めパーティのメンバーが複数いるときは、陣形によってパーティの能力が変化すること。防御力はアップするが敏捷性が減る“ディフェンダー”などの陣形があるので、利用する使い魔の種類にマッチしたものを選ぶようにしたい。また、使い魔は敵と戦い、経験値を溜めることでレベルアップする。じっくりと同じ使い魔を育てるのもよし、どんどん強い使い魔に乗り換えるのも自由だ。

 非常に役立つ使い魔ではあるが、HPがゼロになると消滅してしまい、ダンジョンの特定箇所にあるレッド・クリスタルに触れないと再度召還できなくなる。レヴェエルは一人で戦うことが多いため、使い魔は非常に重要な存在だ。ダンジョン攻略をする上では、あっさり倒されないように注意が必要となる。

仕掛けは経験値などを使って強引に解くことも可能仕掛けは経験値などを使って強引に解くことも可能

 また、ダンジョン攻略も楽しい。頭を使わないと進めないトリックが散りばめられているが、経験値などを引き替えに突破する方法も用意されている。そしてゲームを盛り上げるのが、ダンジョンにはクリアの目標レベルとなる“Brave Clear”という値が設定されていること。指定されたレベル以下でダンジョンをクリアすると、報酬としてアイテムなどがもらえるようになっている。レベルを上げてクリアするのは確かに簡単だが、報酬がなくなってしまう。レベルを上げずにスキルを駆使して戦い方を工夫をするように自然と誘導しているのは、うまい作りだ。

 本作は際だった新しさはないが、丁寧に描かれたグラフィックに先が気になるストーリー、充実の成長システムにテンポのいい戦闘と、RPGの面白さが凝縮されている。秋の夜長にじっくりと遊べるゲームを求めているなら、ぜひともプレイしてほしい。

【著作権者】
ショウ 氏
【対応OS】
Windows 98/Me/2000/XP
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
1.22
【ファイルサイズ】
287MB

(芹澤 正芳)