週末ゲーム

超ド級クオリティの2D対戦格闘「ヴァンガードプリンセス」

美しいグラフィックと完成度の高いシステムでプレイヤーを魅了

(09/07/10)

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、美しいグラフィックと完成度の高いシステムを併せもつ2D対戦格闘ゲーム「ヴァンガードプリンセス」を紹介しよう。

無料とは思えない高品質で描き込まれたグラフィックが魅力

美しいグラフィックと凝ったシステムが魅力だ

キャラクターは14人の可愛い女の子から選べる

 「ヴァンガードプリンセス」は、真横から見た2Dのフィールドで、1対1の闘いを繰り広げる対戦格闘ゲーム。まず目を引くのは、個人制作の無料ゲームとは思えない高品質なグラフィックだ。キャラクターは影やライトの表現も盛り込んだ鮮やかなドット絵により8頭身で描かれ、風になびく髪や服といったアニメーションや、派手なエフェクトでプレイヤーを魅了する。しかも、14人も登場するキャラクターはすべて女の子で、強気なキャラから優等生、活動的なタイプなど個性豊かなのも楽しいところ。さらに、キャラクターにはボイスが用意されており、対戦を華やかなものにしてくれる。もちろん見た目だけでなく、2D対戦格闘ゲームとしてシステムの完成度が高いのもポイントだ。

 キャラクターのうちプレイヤーが直接操作できるのは、古代の神剣の使い手“忽那(くつな)ゆい”、魔界からやってきた悪魔の子“リリス”、賞金稼ぎの“ルナ・姫木”、軍人であり諜報員の“ナタリア・グリンカ”など10人。残りの4人は、プレイヤーが操作するキャラの戦いを補佐するサポートキャラで、プレイヤーとサポートキャラは自由に組み合わせられる。プレイヤーキャラにはそれぞれのストーリーが用意されており、各キャラの戦う理由を垣間見られるのも面白いところだ。

プレイヤーと一緒に戦ってくれる“サポートキャラ”を使いこなそう

サポートキャラの攻撃はバリエーション豊富で楽しい

必殺技も投げ技からバリアーまで実に多彩

 操作はキーボードのほかゲームパッドにも対応しており、それぞれ割り当てを自由にカスタマイズ可能。プレイヤーのアクションはオーソドックスなもので、左右移動とジャンプ・しゃがみ、弱・中・強の攻撃、相手と逆方向へ移動ボタンを入れてガード、移動ボタンの連続押しで前後へのステップ移動など。このほか、相手に密着して左右の移動ボタンと強攻撃を押すと投げになる。

 本作最大の特長でゲームを面白くするのが、サポートキャラの存在だ。基本は1対1の戦いだが、画面の下部には“サポートレベル”というゲージが表示されており、これを消費することでサポートキャラが戦いを助けてくれる。たとえば、サポートレベルが1以上でサポート攻撃用のボタンを押すとサポートキャラが弱攻撃を繰り出し、相手方向に移動ボタンを入れてサポート攻撃ボタンを押すと中攻撃。レベル2以上では移動ボタンとサポート攻撃ボタンの組み合わせで強攻撃やさらに強力な“超攻撃”を発動できる。サポートキャラと同時に攻撃を仕掛けて大ダメージを狙ったり、サポートキャラで相手の攻撃を迎撃するなど使い方はいろいろだ。なお、サポートレベルは時間経過で回復していく。

 もちろん、各キャラクターごとにも必殺技が用意されており、特定の操作で繰り出せる。技の出し方はゲームの配布ファイルに付属するコマンド表で確認可能だ。対戦格闘ゲームでおなじみの飛び道具や対空迎撃をはじめ、ワープしたり、バリアーを張ったりとユニークなものが揃っている。各キャラの必殺技とそのグラフィックを一通りチェックするだけでも楽しい。

 また、必殺技を繰り出したり、相手にダメージを与えることで“スペシャルゲージ”が増えていき、ゲージが溜まると“リバティアーツ”と呼ばれる超必殺技を発動できる。リバティアーツの威力は凄まじく、ライフゲージの半分近くを減らすことが可能だ。一発逆転が狙えるだけに、ゲージの状況はマメにチェックしておきたい。

スタナーなどプロレスファンがニヤリとする技も

一発逆転が狙える超必殺技“リバティアーツ”はド派手だ

充実のシステムで熱い駆け引きが楽しめる

ガードばかりしていると“カルシウムブレイク”で無防備に

連続して攻撃を受けると気絶してしまうことも

 攻撃を回避するためのテクニックが多数用意されているのも本作のポイント。投げられる直前に移動ボタンと強攻撃で“投げ抜け”、吹き飛んでいる最中にいずれかのボタンを押すと“受身”、サポート攻撃ボタンを押しながらのガードで飛び道具や敵サポートキャラの攻撃を受け流す“プロクシガード”など、どれも戦いを有利に進められるものなので、実践を繰り返して身につけてほしい。

 対戦が硬直化しないためのシステムも用意されている。ガードを続けると画面上部にある“カルシウムアイコン”が赤く光り、この状態でさらにガードし続けると“カルシウムブレイク”が発生してガードが解かれてしまう。ガードを固めて相手のミスを待つというセコイ戦法が取りにくくなっているのだ。このほか、同じく画面上部にある“スタンアイコン”が赤く光った状態で攻撃を食らうと、気絶して無防備になってしまう。どちらも相手にチャンスを与えることになるので、戦いながらアイコンの状態を見るクセもつけておきたい。

 ゲームモードは、コンピューター相手に勝ち抜き戦を行う“STORY MODE”とプレイヤー同士の対人対戦となる“VS MODE”の2つ。STORY MODEは難易度が3種類用意されており、初心者向けのEASYと中級者向けのNORMALは全7試合の勝利でクリア、上級者向けのHARDは全11試合の勝利でクリアとなっている。それぞれ最後にはボスが待ち構えているので、ぜひともその強さを自分で味わってほしい。

ゲームの進行に応じて挿入される会話シーンも見どころの1つ

 グラフィック、アニメーション、システムとも実に丁寧に作り込まれており、無料のゲームでよくぞここまで、と思わせる完成度だ。作り込まれたグラフィックゆえに、キャラクターと背景の見分けがつきにくい場面が見られるが、あえて粗を探せばというレベル。ジャンプ攻撃から着地して弱攻撃、そして必殺技といった格闘ゲームではお約束のコンボもスムーズに決められるため、2D対戦格闘ゲームをプレイしたことがある人ならすんなりと遊べるのもうれしい。もちろん、2D対戦格闘ゲームの楽しさを味わってみたいという人にもオススメできる。現在も細かい調整が進められており、今後の展開が楽しみなタイトルだ。

【著作権者】
スゲノトモアキ 氏
【対応OS】
Windows 98/Me/2000/XP
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
-(09/06/30)
【ファイルサイズ】
167MB

(芹澤 正芳)