どれ使う?プログラミング教育ツール

Android/iPadOS用の無料プログラミングツール「ScratchJr」 ~直感的な操作で楽しく学べる

「ScratchJr」

 子ども向けプログラミングツールの中で非常に広く使われている「Scratch」(スクラッチ)をご存知の方は多いでしょう。ただ、「Scratch」は、文字で命令の書かれたブロックを組み合わせてプログラムを作るので、使用するには文字が読める必要があります。

 文字がわからない子ども達にもプログラミングで作品作りを楽しんで欲しい! というときに便利なのが「ScratchJr」(スクラッチジュニア)です。

 プログラミングの基本的な考え方自体は「Scratch」とよく似ていますが、見た目や操作方法、できることの範囲は全然違います。迷わないように機能は厳選され、記号が書かれた正方形のブロックをつなぐだけで直感的に使えます。

アイコンが描かれたブロックを組み合わせるだけ!

 「ScratchJr」はiPadOS版Android版の無料アプリで提供されていて、対象年齢は5才~7才です。小さな子ども達をターゲットにしたプログラミングツールは、キャラクターをゴールに連れて行くようなパズル系のものが多いのですが、「ScratchJr」は「Scratch」同様に、自分の想像力で好きな作品を作ることができます。

「ScratchJr」の画面。フレンドリーな操作画面で扱いやすい。「ScratchJr」は「Scratch」の低年齢向け簡易バージョンとして開発された。タフツ大学のDevTech研究グループ、MIT メディアラボのライフロング・キンダーガーテン・グループ、プレイフルインベンションカンパニーによる共同制作

 対象年齢の発達段階にあった工夫があちこちにあり、小学校低学年くらいまでのプログラミングでのもの作りにはぴったり。記号が書かれたプログラム用ブロックのおかげで、文字による論理思考ができない年齢でも、プログラミング的な考え方を使って自分の作りたい仕組み作ることができます。また、プログラムブロックのサイズや形などUI各所が、小さな子ども達の手でもドラッグ&ドロップやタップしやすいように十分配慮してデザインされているのもポイント。小さな子ども達が自分の意志で無理なく使えます。

動く&インタラクティブ絵本を作る感覚!

 画面に配置したキャラクターにプログラムを作成していきます。例えば、ねこのキャラクターを右に10マス進ませて、高さ2マス分ジャンプさせて「げんき?」と喋らせる……というのはこんなプログラム。すぐにできそうですね!

緑の旗を押すと実行されるプログラム。どんどん好きな動きのブロックをつなぐだけでも楽しい。背景はページごとに設定できる。好きなブロックをどんどんつないで動きを試しながら感覚的に作れる

ループで動きを工夫、タップされたら……でインタラクティブな作品が作れる

 使い方ムービーやプロジェクトサンプルも用意されています。最初、何を作っていいかわからなかったら、サンプルのプログラムを見てアイデアを応用してみるのがおすすめです。

ホーム画面から「?」メニューを選ぶとたくさんのサンプルプログラムを開ける

 繰り返しを使って効率よく動かしたり、動きっぱなしにしておく演出もできます。

サンプル「うみのなか」のプログラム。「ScratchJr」はキャラクターが画面端までいくと自動的に反対側から登場してくれる感覚的なシンプル構造

 これだけでも簡単なアニメーションが作れて楽しいですが、さらに、キャラクターをタップすると何かが起きるという仕組みを入れると、インタラクティブな作品になります。

サンプル「のうじょう」のプログラム。動物をタップすると違う鳴き方と動きをする。声を録音してプログラムに使うことができる

 [キャラクターにほかのキャラクターがぶつかったら……]というブロックがあるので、例えば「馬をタップしたら馬が動いて豚にぶつかったら豚が逃げる」というようなインタラクティブなアニメーションも作れます。ただ見るだけの作品よりはるかに楽しい仕掛けのあるムービーになります。カラクリを作るのがプログラミングの面白さなのでぜひインタラクティブな要素をいれてみてください。

ページ転換でデジタル紙芝居も簡単!

 背景の異なるページを複数持てて、ページ転換を簡単にさせることができるのも楽しいポイント。

 また、「Scratch」同様に「メッセージ」という考え方があり、あるプログラムのまとまりからメッセージを発して、そのメッセージを受け取ったら別のプログラムが動き出すという仕組みが作れます。最初は個別の動きだけ作って楽しんで、慣れてきたらメッセージを使って動き同士が関連しあう大きな仕組みに挑戦してみるといいでしょう。ただキャラクターを動かすだけでなく、こんな風に全体の構造を組み立てるようなプログラムを文字を使わずに作れるというのは「ScratchJr」の大きな特徴です。

メッセージを使って動きを関連させる例。ねこのキャラクターからかにのキャラクターにメッセージを渡している。ページの転換はページ転換用のブロックで簡単にできる

 シンプルに、「キャラクターを押すとどんどん大きくなる!」という単純な仕掛けだけでもけっこう楽しいので、ぜひいろいろなものをお子さんと作ってみてください。キャラクターは自分で好きな絵を描いて使うこともでるので絵を描くのが好きなお子さんなら自分で絵を描いた絵を動かすのがおすすめ。

 ちょっと作り方がわかると子どもは自分でどんどん作り始めるますよ。できあがった作品は全画面表示できますので、家族で見たり触ったりして楽しんでください!