杜のVR部

第57回

2016年の始まりを飾ったCES 2016のVR展示をレポート

ヘッドマウントディスプレイ、360度カメラ、コントローラーまでさまざまな機器が大集結

 製品版のVRヘッドマウントディスプレイが発売となる2016年はVR元年とも呼ばれている。年明け早々にラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市“CES 2016”でもVRに関する展示がさまざまななブースで行われた。会場を歩いていると、VRに関係のない企業でもプロモーションのためにVRを使用している例もあり、いよいよVRが社会に実装されつつあることが実感できた。

 会場の中で見かけたVRに関する展示を厳選してご紹介していこう。

安定して注目を集めるOculus、ソニー、HTC、サムスン

 CESの開始日の朝、Oculus Riftは製品版の予約を開始した。会場の中の“Gaming and Virtual Reality”エリアにひときわ大きなブースを構えたOculus。ブースの周りにできる待機列が途切れることはなかった。展示されたコンテンツはこれまでも筆者が体験してきた「EVE: Valkyrie」などのローンチタイトル、そして「Toybox」などのOculus Touch向けのコンテンツだ。

 また、PS4向けのPlayStation VRを開発するソニー・コンピュータエンターテインメント(SCE)はソニーブースの中に3作品を展示。ギャングに捕まる「London Heist」、4人でだるまさんが転んだのようなパーティゲームが楽しめる「Playroom VR:Cat & Mouse」、ホラー×ジェットコースター×FPSという要素を詰め込んだ「Until Dawn: Rush of Blood」の3作品を展示。こちらも常に列ができていた。

行列の絶えないOculusブース
SCEブースのPlayStation VRコーナー

 HTCはブースではなく、会場そばの広場に専用のトラック“Vive Truck”を設置。HTC Viveの新型プロトタイプ“Vive Pre”でさまざまなコンテンツを体験することができたが、こちらも常に3時間待ちといった状況だった。

 すでに発売中のGear VRを展示したサムスンは、会場ホールに至る人通りの多い目立つところで、“Gear VR Theater With 4D”と題した28人が同時にGear VRで体験する4Dジェットコースターを展示。実写のジェットコースターの360度映像を見ながら、座席がまるでジェットコースターに乗っているかのように映像と同期して揺れるというもの。そのリアルな感覚に歓声が絶えず、通路を通り過ぎる人々の注目を集めていた。

サムスンの4Dコースター

大量に展示されるモバイルVRヘッドセット

 一方、手持ちのスマートフォンを装着して気軽に体験できるモバイルVRヘッドセットも会場では多数展示されていた。いずれも段ボール製の簡易なGoogle Cardboardをベースに、プラスチック製にしたり、さらにオリジナルの機能を搭載したりと特長を持たせようとして、まさに群雄割拠というような様相だ。たとえばPC周辺機器メーカーのCreativeは、スマホゲームを360度動画として録画し共有するサービスとともに、閲覧用のVRヘッドセット“Blaster X VR”を発表。またuSensは、VRだけでなく現実に情報を付加するAR、そしてジェスチャーコントロールの機能を加えた“Impression Pi”を展示していた。

CreativeのBlaster X VR。360度プレイ動画共有サービス“Blaster Zone”も合わせて発表された
uSensのImpression Pi。スマホだけだが、精度はなかなか。2016年第1四半期に開発者版の出荷を目指している

VRにいかに関わるか?入力装置も多く展示

 またVRヘッドセットだけでなく、VR用のコントローラーも多く展示された。VRではやはりゲームコントローラーではなく、実際の手の動きを反映させたいもの。とくにGear VRやモバイルVRヘッドセットにはそのようなコントローラーが存在せず、そこを狙うかのようにコントローラーが展示された。

Gear VRやモバイルVRヘッドセット向けの“Ximmerse”。ステレオカメラをGear VRに装着し、棒状のコントローラーと組み合わせて手の位置とプレイヤーの位置を検出する。操作性はかなり良好だ
サムスンのR&Dチームが開発中の“Rink”。こちらもGear VRやモバイルVRに使用可能。赤外線センサーにより、指の開閉をトラッキングする。精度がいまいちだが、装着感は非常に自然
Oculus Rift用のフットコントローラー“3DRudder”。座ったまま、足を傾けるだけで移動を可能にする。意外と直感的な操作がポイント

360度の世界を収める360度カメラ

 VRで体験できる実写コンテンツの撮影に必要なのが360度カメラだ。すでに販売されているリコーの“THETA S”を始め、大小企業がオリジナルの360度カメラを展示していたのも印象的だった。ただし残念ながらその半数程度がモックだけということで、実際に撮影された映像も展示されておらず、まだ製品化は遠いのではないかと思わせられる。

リコーブースには等身大サイズのジャイアントTHETA Sのモックが登場
CESで発表されたニコンの4Kアクションカメラ“KeyMission 360”は参考出展のためガラスケースの中に
フランスのGiroptic社の“360Cam”。カラフルでおしゃれな外見だ。防水を謳っている
プロ用の4K解像度の動画撮影が可能な“Sphericam 2”
超小型かつマグネットで装着する“Luna”。非常に小さい外見で丸い。落としても耐衝撃だという
ステレオ撮影により立体視が可能になる360度カメラ“Vuse”。映像を合成する際のスティッチの溝が気になった

プロモーションに活用されるVR

 VRを利用した展示も各企業でみられた。たとえばインテルはHTC Viveのお絵描きソフト「Tilt Brush」を展示。ルームスケールの範囲で体験者が絵を描いていく様子を展示した。

 また、自動車メーカーのアウディは招待者限定公開だが、VR内に構築したショールームをOculus RiftやHTC Viveで見ることのできるVRショールームを展示。デンソーもOculus Riftを使って同社の提供するシステムを紹介する展示を行った。

インテルのブース展示。非常に人通りの多い通路で展示
デンソーのOculus Rift DK2での展示。トラッキングカメラを組み込むため前方まで突き出す近未来的な構造になっている。

 また、オーディオメーカーのゼンハイザーは同社の3Dサウンド・システムをアピールするためにGear VRと同社の没入度の高いヘッドホンHD630 VBを展示。奥行きがあり、音の方向がわかるピアノ・コンサートを展示していた。

 また、NASAも積極的にVRを活用しており、ロケットの打ち上げを体験するOculus Riftのコンテンツや、Gear VRで見ることのできる火星の実写360度静止画(火星探査機Curiosityが実際に撮影したもの)を見ることができた。

NASAのブースの様子

 VRは新技術としてさまざまな企業が取り組んでいるだけでなく、着実に展示にも応用されていることが実感できるイベントとなった。1年後のCESではどの程度利用が進んでいるのか、非常に楽しみなところだ。