杜のVR部

第51回

これがVRのシューティングだ!思わず見とれるスペースSTG「Gunjack」

2Dから3D、そして一人称視点のVRへ。シューティングゲームを”体験”せよ

 Oculusとサムスンが共同開発しているVRヘッドマウントディスプレイGear VR。PCに接続するOculus Riftには及ばないまでも、かなり没入感の高いVR体験が可能となっている。

 本連載ではこれまでもGear VRで体験できるさまざまなコンテンツを紹介してきた。今回は、筆者が配信開始をずっと心待ちにしていたタイトルがついに公開されたので紹介しよう。それが宇宙を舞台にしたシューティングゲーム「Gunjack」だ。

 11月20日、北米ではコンシューマー版のGear VRが発売されたが、それと時を同じくして「Gunjack」が配信された。ローンチタイトル的な位置付けだ。なお、本ゲームはGear VR側面のタッチパッドでも操作できるが、シューティングゲームということで激しい操作が伴うため、ゲームパッドを使用することをおすすめしたい。

Gear VRのすべてを引き出すために生み出されたVRゲーム

 レビューに入る前に、なぜ筆者がこの作品に注目していたか、2つのポイントを説明しておきたい。

 まず1つ目のポイントは、制作を手掛けるアイスランドのCCP GamesがVRゲームの開発においては十分な実力を備えているデベロッパーだということ。CCP Gamesは宇宙を舞台にしたオンラインゲーム「EVE ONLINE」を開発・運営している。そして2年ほど前からVRゲームの開発を始め、Oculus Rift、PlayStation VR向けのシューティングゲーム「EVE: Valkyrie」を開発している。ハードの性能的には劣るといえど、Gear VR向けタイトルでもしっかりとした作り込みが期待できた。

「EVE: Valkyrie」プレイ動画

 そして2点目は、ティザーでも明らかになっていたように、Gear VRの性能を十二分に活かして実現したグラフィックだ。「EVE: Valkyrie」と同様、開発するゲームエンジンにUnreal Engine 4を使い、細部に至るまで表現されている。Gear VR向けのゲームは、グラフィックに関しては比較的フォトリアルなものは無かったが、「Gunjack」は真っ向から挑戦している。Gear VRでどの程度のグラフィッククオリティが実現されているのか楽しみだったわけだ。

「Gunjack」トレイラー

期待を裏切らない完成度と、Gear VRの限界を逆に活かした見事な没入感

 実際にプレイしてみての感想は、とにかく圧倒的だった、ということだ。ゲームを起動すると流れるムービーは宇宙空間から味方戦艦のドックまでカメラが引きの視点で移動していくのだが、ついつい見とれてしまうし、メニュー画面でステージを選択した後に出撃するまでのムービーも必見だ。(もちろんタップないしコントローラーのボタンでスキップすることも可能。)

タイトル画面からのムービー。ついつい見てしまう
メニュー画面。ステージを選択しよう
出撃シーン。このシーンも飛ばせるのだが、つい見てしまう

 プレイヤーは味方戦艦の砲塔から敵を迎撃する砲手だ。まるで映画『スター・ウォーズ』の1シーンのごとく、頭を動かして狙いを定め、編隊を組んで来襲する敵を撃ち落としていく。Gear VRではOculus Riftのようにポジショントラッキングがないため、頭の360度の動きのみ認識され、移動することはできない。そこで固定砲台という設定で、プレイヤー自身が動こうと思わないようにする設計はGear VRの限界を逆にうまく活かして没入感を深めている。

砲台から見える宇宙は美しいが、敵は容赦なく攻めてくる
頭を動かして照準を定めよう

激しさを増す敵との攻防。これはまるでVR版グラディウスだ!

 敵は編隊を組んでさまざまな方向から出現する。正面から、左から右から、数機が連なって出現してくるのでうまく撃ち落とそう。緑色の敵はアイテムを落とす。アイテムは、敵を狙い撃てるホーミング・ミサイル、通常攻撃のマシンガンがレーザーに変化、また一定範囲を爆撃するアルケミー・キャノンなどさまざまなものがある。アイテムをここぞというタイミングで駆使しながら対処していこう。なお通常攻撃のマシンガンには弾数が決められており、リロードが必要となる。敵の襲撃が収まった瞬間にリロードすることを忘れないように。

敵が落とすアイテムを手に入れると強力な武器を使えるようになる。画面は一度に範囲攻撃ができるキャノン砲を手に入れたところ
巨大戦艦との戦いも

 用意されたステージは20。後半に差し掛かるとかなり厄介な敵も増えてくる。たとえば登場してからしばらくすると姿を消すステルス能力を持つものなど。リロードをする隙も限られてくるほか、アイテムを使うタイミングもより慎重に選ぶ必要がある。

 筆者はプレイしながら、かの名作シューティングゲーム「グラディウス」などの世界を体験している感覚になった。VRというこれまでと違う次元のメディアでの体験だが、シューティングゲームの機体に自分が乗っている一人称視点というのはこういうものだろうか、そんな気分になれるのだ。

 横や縦方向のシューティングから三次元のシューティングになり、そして体験するシューティングへ。シューティングゲームの進化を確かに感じられるゲーム「Gunjack」。有料ではあるが、Gear VRをお持ちの方にはぜひ体験していただきたい。

ソフトウェア情報

「Gunjack」
【メーカー】
CCP Games
【開発者】
CCPGamesShanghai
【対応ハードウェア】
Gear VR Innovator Edition for S6
【ソフト種別】
ダウンロード販売 9.99米ドル
【バージョン】
1.0

(もぐらゲームス:すんくぼ)