寝そべりながらVR内の大画面で映画やアニメ、実況を手軽に楽しめるGear VR

　11月にコンシューマー版が発売されることが明らかになったサムスンのVRヘッドマウントディスプレイGear VR。サムスンはOculusと共同開発してきたこのデバイスを、これまではイノベーターエディションと銘打ち、開発者やガジェット好き向けの製品として販売していた。しかし、いよいよ一般層に向けた展開を開始することになる。

　サムスンはこの新型の発売に向けて、あらゆる面で一般層への展開を意識した戦略をとっている。価格や対応機種に関しては第44回でカバーしているので、今回は、Gear VRの新たな展開の例である動画配信プラットフォームの対応を詳しく紹介していきたい。

一般消費者が体験したくなるカジュアルなコンテンツの増加、その筆頭Netflix

　たとえ、自分のスマートフォンへ手軽に装着できるアクセサリーが1万円強で手に入るとしても、それによって体験できるものが魅力的でなければ購入には至らないだろう。これまでのGear VR向けのコンテンツはまだまだ数も少なく、ゲームが中心だった。

　しかし、VRはゲームだけのものではない。好きな姿勢でVR内の大画面で動画を見ることもできるようになるのではないか。そんな期待に応えるかのように、Gear VRには各種動画プラットフォームが対応した。

　その筆頭は、映画・ドラマ・アニメなどを配信するNetflixだ。2015年に日本に上陸したばかりだが、アメリカではすでに4,000万人以上の会員がおり、全世界の会員数は6,000万人を突破。月額650円から定額制で数々のコンテンツを楽しむことができる。Gear VRでは専用アプリがすでにリリースされており、無料でダウンロードして視聴が可能だ。

Netflixアプリ。ログインもGear VRを外さずに可能

VR内のソファーに座り、大画面でコンテンツを楽しむことができる。解像度は普通に楽しめるレベルだ

字幕、音声の切り替えも

　Netflixでは、名作と名高い映画やドラマ、アニメが多数配信されており、きっと多くの人が見てみたいと思うコンテンツが揃っているのではないかと思われる。そのサービスをGear VRで、VR内の大画面で見ることができるわけだ。最大の特徴は、“家にいながらにしてホームシアターを用意しなくても、大画面で楽しめる”ことと、ヘッドマウントディスプレイだからこそできる、“どんな姿勢でも見られる”ということだ。ヘッドホンの着用はぜひおすすめしたい。

コンテンツはジャンルごとに探しやすくなっている。検索もあるため目当ての動画も見つけやすい

VRがテーマのアニメ『ソードアート・オンライン』も

TwitchやVimeoなど対応サービスが拡充。さらなる対応にも期待

　また、他にも動画を楽しむことのできる初期アプリ「Oculus Video」（旧：Oculus Cinema）内では、ゲーム実況配信サービスTwitchや動画共有サービスVimeoにアクセスし、コンテンツを映画館やホームシアターなど好みのシチュエーションでストリーミング再生して視聴ができる。この際Voidと呼ばれる、周囲に何もなく映像しか表示されない暗黒空間を選択すると、映像を拡大・縮小することができるようになり、より大画面で見ることも可能になる。

　このOculus Videoでは、映画などの有料の映像コンテンツも視聴可能になる予定だが、記事執筆時点では、米国以外には配信されていない。Oculus Connect 2では、20世紀フォックスなどによるコンテンツの配信が発表されており、近日中に世界中で楽しめるようになるようだ。他にも、動画配信サービスのHuluなども対応することが明らかになっており、VRで好きなように楽しむ映像コンテンツはカジュアルにVRで体験できるコンテンツとして、一般受けしやすく魅力的だと言える。

　新型Gear VR、11月に発売されてからどの程度売れるのか非常に注目したいVRデバイスだ。

14日追記：日本国内でも、ドワンゴがニコニコ動画、ニコニコ生放送をGear VRで楽しめるアプリを開発中だ。東京ゲームショウでも展示されていたが、ニコニコの最大の特徴であるコメントが画面いっぱいに流れる様子は圧巻で、開発担当者もまさに『寝転びながらニコニコを楽しめるようにしたい』という想いで開発しているという。秋から冬にかけてリリースしたいとのことで、こちらも期待したい。VRで好きなように楽しむ映像コンテンツはカジュアルにVRで体験できるコンテンツとして、一般受けしやすく魅力的だと言える。