杜のVR部

第17回

VRの最先端が集結した“GDC 2015”体験レポート

映画の主人公になれるOculus Riftの最新デモから全身トラッキングデバイスまで!

 先週3月2日から6日まで、米サンフランシスコにてゲーム開発者向けカンファレンス“GDC(Game Developer's Confference) 2015”が開催された。

 現地にて各種発表や展示に参加してきたので、今回はそのレポートをお送りする。なお、本連載はOculus Riftがテーマではあるが、今回注目すべき機器が非常に多いため、Oculus Riftに限らずVRに関連する展示を広くご紹介したい。

 会場ではPS4向けVRヘッドマウントディスプレイ(VR HMD)“Project Morpheus”製品版の発表などもあり、いよいよVR HMDの一般販売と本格的なVRの実現がここ1年くらいのところまで迫ってきたことを感じさせられる。

ソニーのPS4用VR HMD“Project Morpheus”の製品版プロトタイプ。描画速度が120fpsと驚異の描画性能を実現している。DUALSHOCK 4やPlayStation MoveをPlayStation Cameraを使って認識し操作。2016年上半期の発売を予定している

 そして、3日目から開催されたエキスポでは、各社の最新デモに加えて開発中のソフトウェアやコントローラーなどの周辺機器を体験できた。その中からVRの可能性が特に感じられる、夢にあふれるものをピックアップして紹介しよう。

Oculus VRは新型プロトタイプ“Crescent Bay”を使った最新のデモを展示。さらに進化したOculus Rift

 Oculus Riftを開発するOculus VR社は、昨年9月に発表した新型プロトタイプ“Crescent Bay”を展示。合計15分程度のデモを体験することができた。Crescent Bayの性能は正確には明らかになっていないものの、解像度は2Kレベル、描画は90fpsと大幅な改善が図られている。また、視覚だけでなく聴覚の没入感を深めるために3Dサウンド対応のヘッドホンがヘッドマウントディスプレイに付随している。

 デモの内容は最初は1分程度の短い映像が続き、徐々に長くなっていく。ビルの屋上から高層ビル群を眺めるシーンや廃屋敷で恐竜が歩いてくるシーン、ロボット同士が闘うシーンなどが続き、最後に3分くらいの少し長めのデモを体験して終了となる(デモの内容はランダムになっている可能性がある)。いずれもCrescent Bayの性能をフルに活かした、滑らかで美しい描画と3Dサウンドを体験することができた。

Oculus Riftの新型プロトタイプ“Crescent Bay”。従来のモデルに比べ軽量化が図られている。また、両耳の場所にヘッドホンが備わっている
装着した様子を正面から見たところ

美麗なグラフィックがVRで映える!Unreal Engine 4で作られたコンテンツ

 ゲームエンジンUnreal Engine 4を提供するEpic Gamesのブースでは、同社のゲームエンジンをフル活用した2つのデモが体験できた。1つは、前述のCrescent Bayを使った「Thief in the Shadows」だ。映画『ホビット』シリーズで邪竜と対峙する緊張感のある1シーンを再現したデモで、その迫力はOculus Riftコンテンツの中でもピカ一。全く違和感のない描写に加え、周囲をグルグル回りながら話しかけてくる邪竜の声が3Dサウンドで再生され、映画の再現というよりはまるでその中にいるかのような感覚に陥る。

 もう1つ体験できたのは、スペースシューティング「EVE: Valkyrie」だ。宇宙空間で戦闘機に乗り、ドッグファイトが楽しめる。昨年の東京ゲームショウのOculus VRブースにも展示されたが、今回はEpic Gamesのブースに登場した。使用するOculus Riftは現行のDK2だが、東京ゲームショウの時点からグラフィックや敵AIに改良を施したということで、白熱したドッグファイトを楽しむことができた。

「EVE: Valkyrie」を体験しているところ。操作はコントローラーを併用する。目線でミサイルの照準を合わせて発射!
Unreal Engine 4で描き出されるグラフィックはとにかく非常に美しい

VR対応のインディーゲームも展示。ユニークで挑戦的な作品も

 海外では日本以上にインディーゲームへ注目が集まっており、会場でもさまざまなところにインディーゲームの開発者が自身のコンテンツを展示していた。その中から、VRに対応しており非常にユニークで挑戦的な「MEGATON RAINFALL」と「Pollen」を紹介しよう。

 「MEGATON RAINFALL」はスペインのインディデベロッパーPentadimensional Gamesが制作しているファーストパーソン・スーパーヒーロー・ゲームだ。プレイヤーはスーパーヒーローになり、宇宙から地球に降下して都市を襲うエイリアンの宇宙船を破壊してく。Oculusを装着して大空を自在に飛び回る感覚が非常に気持ち良い。また酔いの防止に取り組んでおり、酔いやすい一人称視点のゲームに関わらず、酔いにくいのが非常に印象的だった。

「MEGATON RAINFALL」。Oculusを装着して大空を飛び回る感覚はまさにクール!!

 もう1つはUnityのブース内で展示されていた、フィンランドのインディデベロッパーMindfield Gamesが制作しているファーストパーソン・アドベンチャー「Pollen」だ。酔いやすい一人称視点のゲームで、いかに酔いにくいものを作るかにこだわっているとのことで、非常に挑戦的だ。派手なアクションはなく、近くにある物を手にとって観察しながらストーリーを想像し、キーアイテムを見つけて未来と過去を旅していく。

「Pollen」。文字ではストーリーを語らず、VRにおけるナラティブの表現手法を模索している

VR内で操作をする周辺機器も大集合

 さまざまな周辺機器を開発している会社もブースを出展。Wiiリモコンのような握れる形状のコントローラーを両腕に装着する“STEM System”(Sixence社)や全身ないし腕に装着しモーションキャプチャーが可能な“PERCEPTION”(Noitom社)などがプレイアブルのデモを展示していた。

STEM System。光の剣のような武器を手に取り、浮遊する球体と闘うデモを展示していた。名作映画のキャラクターになったかのような気分が味わえる
PERCEPTION。片腕に装着し、ボールを掴む動作や投げる動作が完全にキャプチャーされる。実際にボールを投げるような自然な動作で投げることができる点が、Leap Motionなどのセンサーで認識するものよりも優れている

 また、歩行型コントローラーの“Omni”(Virtux社)はプレイアブル出展をしないということで、最終デザインの展示のみ確認できた。

VR内での歩行が可能なOmni。専用の靴を履いて利用する

 また、PCアクセサリーメーカーのRazer社がオープンソースを謳って開発しているVR HMD“OSVR”が同社のブースで展示されており、Leap Motionや指輪型コントローラー“Nod”(Nod社)など、さまざまな周辺機器と組み合わせて使用可能とのことで多くのデモが展示されていた。

OSVR。現時点での性能はOculus Rift DK2と同程度だが、ヘッドセットはやや小型
指輪型のコントローラーNod。指輪をこするとアクションが起こせる。非常に簡易なコントローラーだ

日本からもVR関係の出展が

 アメリカでの開催ということもあり欧米の出展者が多い中で、日本企業もVR関連の展示を行なっていた。コロプラは自社の3Dアクションゲーム「白猫VRプロジェクト」を展示。スマートフォンをコントローラーに使う“ぷにこん”で同ゲームを体験することができた。また、産業総合研究所の中村則雄博士らが立ち上げたベンチャー企業のミライセンス社は、VR空間内の触覚等をフィードバックし、実際に体感することができるデバイスを展示していた。

「白猫VRプロジェクト」の展示。日本のゲームメーカーのVR展示は唯一だ
ミライセンス社が開発中のデバイス。VRからの感覚のフィードバックは、大掛かりな装置を使う以外はこれまでゲームコントローラーの振動程度しかなく、可能性を秘めている領域だ

 さて、ここまでGDCで展示されていたさまざまなVRのデモから注目したいものを紹介してきたが、まだまだ語り尽くせないほどの展示があったことは伝えておきたい。今回のGDCは、海外においてゲームにおけるVRがすでにひとつの新たな領域として盛り上がっていることがよくわかるイベントとなったことは間違いない。今後、より多くのデバイス、ソフトウェアが登場することを大いに予感させる。

編集部より:本連載は来週より掲載日を火曜に変更いたします。来週の掲載日は17日となります。