杜のVR部

第5回

ユニティちゃんのライブコンテンツと小林幸子の武道館ライブを目の前で楽しむ

バーチャルアイドルも歌手のライブも360度のVRで楽しむ時代!

 VRの醍醐味として、“その場にいるかのような体験”ができることが非常に大きい。Oculus Rift(オキュラスリフト)は最初はゲームを楽しむためのデバイスとして注目を浴びたが、ゲームにとどまらず、さまざまなコンテンツ分野で応用が進んでいる。

 そのひとつが音楽を楽しむ“ライブコンサート”だ。普段は遠い存在であるアーティストを間近で見ることができる音楽ライブ。そんなライブを会場へ足を運ばずに、家でもその場にいるかのように楽しめたら画期的だ。

 Oculus Riftでライブを見るコンテンツが登場し始めている。今回は2つのコンテンツを紹介しよう。

バーチャルアイドルのライブを目の前で!

 1つ目に紹介するのは、バーチャルアイドルのライブ映像を目の前で見られるというもの。歌って踊るのは、ゲーム開発のためのツール「Unity」のイメージキャラクター、ユニティちゃんだ。

 ユニティちゃんは元々、Unityのイメージキャラクターでもあり、Unityで自由に使うことができるキャラクターアセット(素材)だ。動きやボイスなどもしっかりと組み込まれており、ユーザーはライセンスに従う限り、自分で開発しているゲームのキャラクターとして自由にユニティちゃんを使うことができる。

 そのユニティちゃんのコンテンツとして登場したのが、「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star-」。2014年夏のコミックマーケットのUnityブースにてお披露目された、ユニティちゃんがオリジナルソングを歌って踊るライブ映像だ。カラフルなレーザーが飛び交う舞台の上でユニティちゃんが動き回る。動きも人間の動きをモーションキャプチャーしており、非常に滑らかになっている。

 その後、秋の東京ゲームショウではOculus Riftを開発するOculus VR社のブースで、VRでこのライブを楽しめるようになっており、話題になっていた。

 この「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star」は、先月一般公開されダウンロード可能となった。しかし、ダウンロードできるのはUnityのプロジェクトファイルのみ。Oculus Riftで体験したければ自分で対応する必要がある。

 筆者がもぐらゲームスで対応手順をまとめたので参考にされたい。また、Oculusで楽しめるバージョンをそのままダウンロードすることもできる。

カメラはステージ上に設定されている。最前列よりもさらに近い特等席の位置でユニティちゃんを見ることが可能
こんなに近くで見られる!
「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star-」Oculus対応版プレイ動画
実際にOculusで見るとより間近で見える。ユニティちゃんを独り占めだ!

 バーチャルアイドルのライブコンテンツは他にも制作されており、一般配布はされていないが、初音ミクがライブを行う「Miku Live AX」もイベント等で体験が可能だ。こちらもミクさんが歌って踊るコンテンツに仕上がっている。

目の前でミクさんが笑顔で踊る「Miku Live AX」。感動の瞬間だ

世界初のVRライブ中継は小林幸子の武道館ライブ

 2つ目に紹介するのは実際のライブイベントだ。11月17日、東京・日本武道館で行われた歌手・小林幸子のライブ“50周年記念 小林幸子in日本武道館~夢の世界~”が、Oculus Riftで楽しめるバーチャル・リアリティライブとして配信された。

 配信を手がけたのはニコニコ生放送。専用の再生ソフトをダウンロードして、会場のステージ横で360度撮影されているライブの様子をOculus Riftで体験できる。会場に行かずして、ライブ映像を360度楽しむことができるのは画期的だ。タイムシフトも公開されているので、当日生放送を見ることができなかった人も録画されたものを楽しむことができる。

必要なのはniconicoのIDと、タイムシフト予約、そしてもちろんOculus Rift。プレイヤーもVR仕様で、選びたいメニューに視点を合わせ、Oculus Riftを軽く叩いて選択する
視聴中はこんな感じだ。コメントも流れるので見ることができる

 今回の配信が初回ということもあり、執筆時現在、FPSが足りずカクつく、再生がうまくいかないことがあるなどの課題は多くあるが、この再生ソフトのバージョンは0.01。ライブ配信のページでは近日中のバージョンアップも予告されており、今後改善が進むと考えられる。

 さらに配信技術が向上してより快適な体験になったらどうなるか、考えるだけでもワクワクする。今回の配信でも、視聴者の目の前の画像だけを高画質にするといった手法でデータの軽量化に取り組んでいる。ニコニコ生放送を運営するドワンゴでは、本格的なVR向け配信に向けた施策に今後も取り組むようだ。

 ライブの面白さはアーティストとの距離が近いことだけではない。アーティストや他のファンと同じ場を共有し、一体感を高めることで盛り上がるところにある。バーチャルアイドルのライブも、実際のライブの中継もその一体感をいかに高めるかがポイントになってくるだろう。Oculus Riftを持っている人はぜひ試して、どの程度の一体感が得られるのか試してみてはいかがだろうか。

ソフトウェア情報

「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star- Oculus対応版」
【制作者】
もぐらゲームス
【著作権者】
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社
【対応OS】
Windows 7
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK2
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00
【備考】
Oculus Runtime for Windows 0.4.3以降が必要
「バーチャルリアリティ・ニコニコ生放送プレイヤー for Oculus Rift」
【著作権者】
(株)ドワンゴ
【対応OS】
Windows 7以降
【対応ハードウェア】
Oculus Rift
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
0.01
【備考】
Adobe Flash Player 15以降、 Oculus Runtime for Windows 0.4.3以降が必要

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i790SA1
【CPU】
Core i7-4700MQ 2.40GHz
【メモリ】
16GB(増設)
【グラフィックボード】
GeForce GTX870M
【FPS】
ユニティちゃんライブステージ!:75FPS、小林幸子ライブ:測定不能
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx

(もぐらゲームス:すんくぼ)