杜のOculus部

第2回

もはや“映像”を越えた“体験”! Oculus Rift専用実写コンテンツ「Zero Point」

世界初のOculus専用ショートムービー。その場にいるような360度の体験は衝撃!

 映画館で映画を見る時、どうしても席に座っている自分とスクリーンの中のシーンには距離が生まれる。覗きこんで見ているような距離感。それがOculus Rift(オキュラスリフト)と360度を撮影する全天周動画撮影によって、“本当にその中にいるような体験”に変わりつつある。

 今回の『杜のOculus部』では、世界初のOculus Rift向け実写コンテンツ「Zero Point」を紹介しよう。「Zero Point」は、つい先日、10月28日に公開されたばかり。アメリカのインディデベロッパーCondition Oneが制作した約15分間のショートムービーだ。完全にVR(バーチャル・リアリティ)向けに制作されており、頭を動かして360度の体験ができるというのが最大の特徴。Oculus Rift専用だが、DK1、DK2どちらのバージョンでも視聴できる。

 テーマはVR。VRが今後もたらす影響をテーマにしたドキュメンタリーになっている。内容はOculus VR社の創設者であるPalmer Luckeyや他のデバイスの開発者、専門家の話を聞きながら、VRの可能性を感じさせるさまざまなシーンを体験していくというもの。

半端ない臨場感

 ドキュメンタリーなので、ほぼすべてのシーンが360度の全天周撮影された実写映像になっている。音も位置関係がしっかり反映されているので、ヘッドフォン、可能ならばサラウンドヘッドフォンを使うと、見るだけでなく、耳でもその中にいる感覚を味わうことができる。

 最初は、映画館に座っているシーンからスタート。スクリーンに何かが表示されていくのかと思いきや、スクリーンに自分が吸い込まれていく。そのまま周囲が宇宙空間に変わり、宇宙ステーションの中に吸い込まれるSFチックな体験だ。

タイトル画面では[Ctrl]、スペース、[Esc]以外ならどれでもいいのでキーを押そう。[Ctrl]はカメラ位置のリセット、スペースは一時停止、[Esc]は終了だ
映画館に座っていると……
画面の中の宇宙ステーションに吸い込まれる
小道のイントロ
Palmer LuckeyなどVRに関わる人物のインタビュー。このシーンは広角ではあるものの、全天周ではない。目の前に集中してほしいということなのだろう

 その後、全部で8つのシーンを体験することになるのだが、筆者がとくに印象に残ったものを2つ紹介しよう。

 1つ目は、米軍の訓練の様子を収めたシーン。発砲音や上官の声が四方から聴こえてくる。サラウンドによる音声は、自分が前を向いている時に後ろで話している声は後ろから聴こえ、振り返ると前から聴こえてくる仕組み。もはやこの場に居合わせているのと全く変わらない状況で、訓練とはいえ戦場にいるような感覚に陥り、身体が緊張してくる。

上官の声が聴こえる
右斜め前方からの射撃で仲間が負傷

 2つ目のシーンは、草原を牛の群れが歩いているシーンだ。それだけなら何でもない普通の風景なのだが、この映像は群れの真ん中で撮影されている。そう、自分に牛が寄ってくるのだ。後ろから牛が近付いてきて、鼻息を吹きかけてくる瞬間、びっくりして声を上げてしまった。

牛がいっぱいいるなあ、などとのんきに眺めていると首の後ろの方に鼻息が近付いてきて……
振り返るとこんにちは

 どちらのシーンにも共通しているのは、目と耳の両方で感じる“その場にいる感覚”が非常に強いということだ。それぐらい360度で撮影された映像のクオリティは高く、映像が鮮明で美しい。今まで、実写のVRのコンテンツはあるにはあったが、この「Zero Point」が最初の本格的なものだ。もはや、“映像”というよりは“体験”に近い。今後は、映画のように作り込まれた体験ができるものも、ドキュメンタリーのような現実の場面を体験できるものも出てくるだろう。

実写系VRコンテンツの可能性

 また、今回の映像の撮影に使われているような高解像度のカメラがなくても、個人の手の届く範囲で全天周動画が撮影できる時代になりつつある。現在でも、小型ビデオカメラ“GoPro”を6台組み合わせて撮影することが可能だ。さらに、11月にRICOHが全天周カメラ“THETA”の新モデルを発売し、動画撮影が可能になるというニュースがあった。

 Oculus Riftのような高性能なハードウェアではなくても、スマホに装着して使う“ハコスコ”のような手軽なVRデバイス(販売価格1,000円)と組み合わせれば、撮影した全天周動画をスマホVRで見て楽しむ……といったことが手軽にできるようになるだろう。

すでにハコスコでは、アプリ「ハコスコ」を使って提供されている全天周動画を楽しむことができる。これはグラビアアイドルの撮影現場を録画したもの

 実写のVRは、本格的なものも、手軽にできるものも、今後広がっていくことが非常に楽しみな分野だ。

 今回紹介した「Zero Point」。残念ながら言語は英語のみで字幕もないが、話の内容がわからずとも、この15分間の体験がこれまでの映像作品とは全く異なることは間違いなく実感できる。言葉に抵抗のある方にもぜひ体験して、実写VRコンテンツの可能性を感じていただきたい。そして体験する際は、ヘッドフォンを忘れずに。

ソフトウェア情報

「Zero Point」
【著作権者】
Condition One
【対応OS】
Windows 7以降
【ソフト種別】
ダウンロード販売 1,480円(税込み)
【バージョン】
1.0(14/10/28)
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK1/DK2

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune Netgear note i790SA1
【CPU】
Core i7-4700MQ 2.40GHz
【メモリ】
16GB(増設)
【グラフィックボード】
GeForce GTX870M
【FPS】
75FPS
【ヘッドフォン】
Steelseries 5H v3

編集部より:『杜のOculus部』は月曜日掲載の連載ですが、今回は特別に本日掲載しています。次回掲載は11月10日(月曜日)の予定です。