知られざるNASアプリの世界

 第1回

OneDriveの容量対策にも!オンラインストレージアプリを使ってみよう!

スナップショットも手軽に保存

NAS+アプリで違う世界を体験しようアプリの種類は200近く!

ASUSTOR社のNASにはさまざまなアプリが用意されています。全部でなんと200近くもあるというからオドロキ!
ASUSTOR社はPCやPCパーツで有名な「ASUS」グループのNAS専門メーカー。写真は2ベイの個人向けミドルレンジモデル「AS3102T

 いっぱいになった内蔵ハードディスクのデータを移すために、友人から勧められたネットワーク接続のHDD=NAS(Network Attached Storage)のキットを購入した筆者。

 大容量ドライブを組み込むことで数TBのデータを保存でき、スマートフォンやタブレットからもアクセスできるという優れモノですが、なにより筆者が驚いたのは、さまざまな「NAS専用アプリ」を組み込んで使えること。

 たとえば「OneDrive」のアプリを組み込めば、パソコンを経由せずに直接クラウドとデータを同期したり、音楽・動画アプリを組み込めばNAS内の音楽や動画をスマホで聴いたり観たりと、好みに合わせてNASの機能を自在に拡張できちゃいます。

 さらにWordPressを組み込んでブログを運用したり、メールサーバーを立てたりと、NASの枠にとらわれない使い方もできるのだとか。最近のNASって進んでるんですねー。

 今回から数回にわたり、ASUSTOR社のNASを例に、こんなアプリが使える!NASでこんなことができる!という例を紹介します。ふだんなかなか見られることがないNASアプリの世界をお届けするこの短期連載、よろしくお付き合い下さい。

知られざるNASアプリ:記事一覧
第1回:クラウドストレージ編:OneDriveの容量対策にも! オンラインストレージアプリを使ってみよう!
第2回:ブログ作成編:「自分ブログ」をNASで簡単に作ってみよう、世界標準「WordPress」をインストール
第3回:動画アプリ編:スマホの容量不足も解消OK?NASの動画アプリを使ってみよう
第4回:音楽アプリ編:月額無料の「クラウド音楽」をNASで実現!ハイレゾ音楽も再生OK
第5回:テレビ録画編:「テレビ録画の容量不足」をNASで解決、nasneとNASで録画し放題!
第6回:そのほか編:CD/DVDドライブをNASで共有!PCに無くてもDVDを再生可


NASとOneDriveのデータを同期「DataSync for Microsoft OneDrive」工夫次第でOneDriveの容量対策も

WebブラウザーでADMを開くと複数のアイコンが並んでいます。上段中央の[APP Central]をクリックして開きます

 200近くある「ASUSTOR NAS用アプリ」の中から、今回紹介するカテゴリーは“オンラインストレージ”。

 普通のオンラインストレージは、PCやスマホにアプリを入れ、アップロードしたファイルをどこからでも見られるようにしたり、あるいはスマホからデータをアップロードし、PCなどでダウンロードする……といったふうに使いますが、NASアプリを使えば、NAS単体でクラウドとデータを同期したり、スマホからアップロードしたデータをPCを使わずNASに直接保存する、といったことができちゃいます。

 ASUSTORのNASには、OneDrive、Googleドライブ、Dropboxなど国内でもメジャーなオンラインストレージと同期できるアプリが揃っていますが、今回はその中からMicrosoftが運営するOneDriveとの同期が行える、「DataSync for Microsoft OneDrive」の使い方を見ていきましょう。

 アプリそのものよりも先に、まずはNASアプリのインストール方法を紹介しなくてはいけませんね。

 ASUSTORのNASは、ブラウザー上で製品の初期設定を行う仕組みになっています。この設定画面をASUSTORデータマスター(ADM)と呼びますが、アプリのインストールおよび設定も、このADMの画面で行います。使ってみたいアプリがあれば、ブラウザーでADMを開いてアプリを探し、[インストール]をクリックするだけ。簡単でしょう?

 では早速OneDriveのアプリをインストールしてみましょう。

 アプリのラインアップを見るには、ADMの画面上にある[APP Central]をクリックします。アプリはカテゴリ別に分類されていますので、今回であれば“カテゴリ”−“バックアップと同期”を選びます。その中から「DataSync for Microsoft OneDrive」を探し、[インストール]をクリックすれば、ダウンロードおよびインストールが実行されます。

“カテゴリ”から“バックアップと同期”を選んで開きます
アプリの中から「DataSync for Microsoft OneDrive」を探してクリックします
[インストール]をクリックしてインストールを実行します。完了したらダブルクリックで起動しましょう

使い方に合わせて同期の“方向”を選択できるスナップショットにOneDriveの内容整理、別アカウントへの引っ越しも?

「DataSync for Microsoft OneDrive」。ASUSTOR自らが開発したアプリだ

 インストールが終わったら起動し、同期の設定を行いましょう。手順はPCやスマホから利用する場合と同じで、まずは手持ちのMicrosoftアカウントとパスワードを入力してサインインを行います。

 設定の手順は、まずは同期の対象となるローカル(NAS上)のフォルダーを指定したのち、同期対象になるファイルのサイズおよび拡張子を指定。続けて速度の上限と、同期を行う方向を指定し、終了ボタンをクリックすれば、あとはNASとOneDriveとの間で同期がスタートします。

 ここでのポイントは、同期を行う方向の設定です。同期の方向としては[同期][OneDriveからNASへ][NASからOneDriveへ]の3つの選択肢が用意されており、使い方によって選ぶべき解が変わってきます。

 たとえば、“スマホからOneDriveにアップロードした写真を自動的にダウンロードしたい”場合は[OneDriveからNASへ]が便利です。あくまでOneDrive上のファイルに変化があった時だけNASに反映されますので、ダウンロード後の写真をNASの別フォルダーに移動させても、OneDrive上のファイルは残ったままになります。“NAS上で写真を削除したらオリジナルまで消えてしまった”といったこともなく、NASに写真を転送して分類・整理するのに最適です。

 一方の、NAS上に保存してあるデータを常時OneDriveにバックアップしたい場合は[NASからOneDriveへ]がよいでしょう。これを選択しておけば、NAS上でのファイルの移動や更新は常にOneDriveに反映されますが、OneDrive上でのファイルの変更はNASには反映されません。もしNASに不具合があって停止しても、OneDrive上にある直前までのコピーを使って、作業を再開できるというわけです。

 このほか、NAS上のフォルダーとOneDriveのフォルダーをまったく同一に保つ[同期]という選択肢もありますので、用途に合わせて同期方法を切り替えて使います。

 “同期”の使い方としては、“OneDriveで不要になったデータをNAS上の他のフォルダーに移動する”ことでOneDriveの容量を節約したり、“常に同期しておくことで、手軽にクラウドストレージを引っ越しする”といったことができるでしょう。

 具体的には、まずOneDriveからNASに同期(またはコピー)し、その後同期をオフにしてOneDriveの中を整理すればバックアップになります。また、同様にOneDriveからNASに同期し、その後別のアカウントに切り替えたのち、同期方向を切り替えてNASからOneDriveに同期することで、別アカウントへ引っ越す、なんてこともできます。

 さらに、こうした機能を使えばOneDriveのスナップショットを作る、なんてことも手軽にできます。具体的には、NAS側の同期を停止し、別の新しいフォルダーをOneDriveの同期フォルダーにするだけ。設定次第では、文書や音楽などファイルの種類を指定したスナップショットも作れます。

まずは手持ちのMicrosoftアカウントとパスワードを入力してサインインを行います
初回利用時のみ“このアプリがあなたの情報にアクセスすることを許可しますか?”と許可を求められますので[はい]をクリックします
まずはローカルの同期フォルダーを指定します。NAS上にすでにあるフォルダーを選んでも構いませんし、まったく新しいフォルダーを用意しても構いません
同期するファイルサイズおよび拡張子を指定できます。たとえば大容量の動画ファイルを同期対象から外したいような場合、ここで指定します
アップロードとダウンロードの速度の制限、さらに同期方向を選び、[終了]をクリックします
ファイルの同期が開始されました。一通りのファイルの同期が完了したあとは、追加や変更があるたび自動的に同期されます。ちなみにプラグ印のアイコンをクリックするとNASとOneDriveのリンクが切断されます


NAS上の対象フォルダーを自由に選んで同期できる「Googleドライブ」

「Googleドライブ」では同期対象として任意のフォルダーを選択できるほか、同期の方向も指定できます

 ほかにも本製品は、国内でも著名なさまざまなオンラインストレージをサポートしています。たとえば「Googleドライブ」も、OneDriveと同様、NAS上の対象フォルダーを自由に選んで同期が行えます。そのため、NASのデータをクラウドにバックアップする用途はもちろん、クラウドのデータをNASにバックアップする用途、どちらでも利用が可能です。

 OneDriveとGoogleドライブはもちろん併用できるので、フォルダー構成を工夫すれば、LAN内部からはOneDriveとGoogleドライブを一体的に管理する、といったことも可能です。


クラウド上のデータのコピーをNASに保存しておける「Dropbox」

「Dropbox」は同期対象のフォルダーは決まっており、変更することはできません

 一方、サポートはしているものの、若干使い勝手が異なるオンラインストレージもあります。たとえばDropboxは、データを保存するフォルダーの位置は予め決められており、OneDriveやGoogleドライブのように、対象フォルダーを自由に選ぶことができません。

 そのため、もしNAS上のファイルをクラウドにバックアップしたければ、指定のフォルダーにファイルを丸ごと移動させる必要があります。すでに環境を構築済みの場合は、これはやや不便です。

 逆に、サーバーダウンなどでクラウドへアクセスできなくなった時に備えて、常にクラウドのデータのコピーをNASに保存しておくといった使い方であれば、十分に活用できそうです。ちなみにDropbox以外では、ASUSの運営する“ASUS WebStorage”もこのタイプですので、用途によって選ぶとよいでしょう。

[制作協力:ASUSTOR / ユニスター]

(林田 幸一)