#モリトーク

第122話

Vivaldiが再演するオペラ魂

「Vivaldi」

 Opera社の共同創設者・元CEOであるJon Stephenson von Tetzchner氏が活動を再開し、「Chromium」の“Blink”を描画エンジンとするWebブラウザー「Vivaldi」を公開した。筆者および本コラムは「Opera」の動向を追っていたこともあり、「Vivaldi」の登場にも興味を惹かれる。

 新生「Opera」は当初、描画エンジン“Blink”への移行が中心的で、見切り発車のような印象もあった。そして今でも、「Opera」の方向性が見えてこないと感じるユーザーも少なくないだろう。それだけに、「Vivaldi」へ寄せる期待感は大きいはずだ。

「Vivaldi」の開発チーム(公式ブログより引用)

 Tetzchner氏とVivaldi社の活動は正確に言えば、「Opera」ユーザーが参加するコミュニティサイト“My Opera”の閉鎖が発表された2013年から始まっている。そのとき、同氏は『コミュニティの存在がなければ、それは「Opera」ではない』といった趣旨の考えをブログに綴り、Opera社の決断を批判しつつ、新Webブラウザーの開発も匂わせていた。

 「Vivaldi」の公式サイトでも、「Opera」の方針転換と“My Opera”の閉鎖がそれを開発するに至った理由であるとしている。また、Vivaldi社はユーザーからのフィードバックを歓迎すると同時に、ユーザーが直接的に関わることで「Vivaldi」は改良されると強調。

 その開発には、Opera社で活躍していた冨田龍起氏も共同創設者およびCOOとして関わっており、同じ日本人として応援したくなる理由のひとつだろうか。なお、公式ブログの最新記事によれば、「Vivaldi」のアップデートは毎週実施する予定とのこと。ユーザー志向を謳う「Vivaldi」がどのように進化するのか、そのコミュニティがどれだけ拡大するのか、楽しみながら注目していきたい。

(中井 浩晶)