#モリトーク

第110話

単体でも魅力的な「M+ FONTS」

「Source Han Sans(源ノ角ゴシック)」

 本コラムでもお馴染みの日本語フォント「M+ FONTS」はこれまで主に、派生フォントを制作するための素材として取り上げてきた。そして、オープンソースフォント「Source Han Sans(源ノ角ゴシック)」が登場した今、「Mgen+」のように両フォントを合成するなど、「M+ FONTS」への注目は再び高まることになるだろう。そこで今回は「M+ FONTS」をひとつのフォントとして掘り下げてみたい。

“M+ 1”と“M+ P”を組み合わせた「M+ FONTS」
“M+ 2”と“M+ C”を組み合わせた「M+ FONTS」

 数年前の「M+ FONTS」は収録漢字がJIS第一水準に満たず、文書などに向かなかった。しかし現在は、JIS第一水準までの漢字を網羅し、JIS第二水準漢字の収録も進んでいる。そのため、単体で見た場合の「M+ FONTS」も十分に実用的であり、その価値は素材として使われたときに限らない。

 「M+ FONTS」は無制限に無料というライセンスで広く知られているが、豊富なバリエーションのデザインもそれ以上に魅力的だ。そのデザインは大きく4種類に分かれ、仮名文字の違いが“M+ 1”“M+ 2”と命名されている。どちらも基本的な部分を共有しつつ、“M+ 1”は懐が広くポップな印象、“M+ 2”がシャープでモダンな雰囲気に映る。

 また、英数字も“M+ P”と“M+ C”の2種類が提供されており、前者が仮名文字の“M+ 1”、後者が“M+ 2”に近いコンセプトだと言える。これらを組み合わせた4種類のデザインがそれぞれ7段階のウエイトに対応するほか、英数字には別途、等幅用のデザインも用意されているので、用途や好みに合ったものを見つけられるはずだ。

(中井 浩晶)