#モリトーク

第77話

8.1発売まで数日、XP終了まで半年

 半年前に掲載した第53話では、Windows XPのサポート期限が残り1年になったことを取り上げた。Windows 8.1の発売まで1週間、Windows XPのサポート終了まで半年を切った今、その決断を下すときがついに来たようだ。

 Windows XPユーザーに与えられている選択肢は、Windows 8.1とWindows 7のふたつ。DSP版を購入する場合、どちらもほぼ同額で入手可能だ。一方、プリインストールマシンを購入する場合はその多くがWindows 8.1となる。なお、Windows 7の出荷はパッケージ版が10月末で終了する予定だが、DSP版などの出荷はしばらく継続される見込み。

 Windows 8.1にあってWindows 7にないものとして真っ先に思い浮かぶのは“Windows ストア”のアプリであり、その逆はスタートメニューであろう。そのほかの点については、Windows 8.1のほうが全体的にブラッシュアップされているものの、選択を決定付けるほどの大きな差はない。それに加えて、それぞれのOSに不足した機能をオンラインソフトで補える場合や、マイクロソフト社がWindows 8.1の機能をWindows 7へ提供する場合もある。

 たとえば、Windows 8.1上で旧スタイルのスタートメニューを望むなら、先日バージョンアップした「Classic Shell」を利用すればよい。Windows 7のそれを完璧に再現するモードが搭載されているほか、シンプルなデザインのスタートメニューへ切り替えることも可能だ。

「Classic Shell」
Windows 7のスタートメニューを完璧に再現するモード
Windows 7向け「Internet Explorer 11 Release Preview」の“拡張保護モード”

 Windows 8.1向けのIEである「Internet Explorer 11(以下、IE11)」は、Windows 7にも提供される。先週、IE11への自動アップデートを無効化するツールが公開されており、Windows 7用IE11もまもなく登場するはずだ。ただし、Windows 8.1のIE11とWindows 7のIE11がまったく同じというわけではない。

 IE11の“拡張保護モード”を有効にした場合、Windows 8.1では“AppContainer”と呼ばれるサンドボックス環境が有効になる。一方、Windows 7のそれでは全プロセスの64bit化に止まる。これは本コラムの第49話でも取り上げたように、IE10でも同じ仕様だった。

Windows Updateの不要ファイルをクリーンアップする機能

 先日公開されたWindows 7用更新プログラムによって利用可能になる、Windows Updateの不要ファイルをクリーンアップする機能もIE11と同じく、Windows 8.1から下りてきたものだ。その記事への注目度から推測するに、Windows 7の需要が高いだけでなく、Windows 8およびWindows 8.1の機能があまり周知されていないのかもしれない。

 ちなみに、同機能を利用する上で注意すべき点がある。Windows Updateの不要ファイルを削除すると、適用済みの更新プログラムをアンインストールしたいときには手間がかかる。そのため、特定の更新プログラムが不具合を引き起こす場合に備えて、アップデート直後に同機能を利用することはなるべく避けたほうがよい。

 Windows 8.1を購入するにあたり、DVDビデオの視聴を想定している場合はとくに注意が必要だ。Windows 8.1は標準でDVDビデオの再生に対応していないため、マイクロソフト社製アドオン「Windows 8 Media Center Pack」、もしくはサードパーティ製のDVDプレイヤーを別途購入しなければならない。

 マイクロソフト社はWindows 8を発売した直後に、「Windows 8 Media Center Pack」を期間限定で無償配布していた。しかし、今回はWindows 8.1のキャンペーン価格が発表されていないので、それもあまり期待できないだろう。なお、「Windows 8 Media Center Pack」を導入できるのはWindows 8.1 Proだけであり、Windows 8.1をWindows 8.1 Proへアップグレードする「Windows 8.1 Pro Pack」には「Windows 8 Media Center Pack」も含まれる。

 筆者は当初、かつて“Blue”と呼ばれていたWindows 8.1の出方によって、Windows XPユーザーが取るべき行動も決まってくると考えていた。それと同時に、Windows 8.1がその乗り換え先になることを期待していた。しかし、Windows 8.1の発売が迫った今でも、決定打に欠けているというのが筆者の率直な印象だ。

(中井 浩晶)