#モリトーク

第40話

テキストエディターのススメ

 テキストエディターといえば、有料なら「秀丸エディタ」、無料なら「TeraPad」が鉄板ソフトとして10年以上に渡って多くのユーザーから支持されている。窓の杜で昨年末に掲載された“年間かうんとだうん窓の杜”でも「秀丸エディタ」と「TeraPad」がオフィス部門でしっかりとランクインしており、過去数年間の“年間かうんとだうん窓の杜”を振り返っても、両テキストエディターの年間ダウンロード数はよい意味で大きな変化がない。

 「秀丸エディタ」と「TeraPad」が定番の地位を保っている理由を考えてみると、その機能や使い勝手が優れていることは言うまでもなく、現役ソフトとして開発が続いていることも大きいだろう。ライバルになりえるテキストエディターが過去に存在しなかったわけではないが、テキストエディターという成熟した分野では新作もなかなか登場しにくく、それだけ「秀丸エディタ」と「TeraPad」の存在が偉大だということなのかもしれない。

 それでも多くのユーザーは、新しいテキストエディター、とくに無償のテキストエディターを選択肢として求めており、現状に満足しているわけでもなさそうだ。たとえば、昨年末のメジャーバージョンアップで正式版となった「Mery」と、昨年の“2012年 窓の杜大賞”で銀賞に輝いた「gPad」は現在、フリーのテキストエディターとして高い注目を集めている。

 「Mery」と「gPad」の完成度は「TeraPad」と比べても遜色がなく、高評価かつ現役の無料テキストエディターがこれだけ同時期に揃っているのは意外に珍しいことだ。そのため、「メモ帳」以外のテキストエディターを使ったことがない人や、鉄板ソフトの「TeraPad」をなんとなく使ってきた人にとって、自分に合ったフリーのテキストエディターを見つけるベストタイミングと言えるだろう。

「Mery」
「gPad」

 これら3本の無料テキストエディターを機能の充実度で単純に比較すると、「TeraPad」よりも「Mery」および「gPad」のほうが優れている。わかりやすい例を挙げれば、「Mery」と「gPad」は複数のテキストをタブで表示することが可能なほか、マクロ機能やアウトライン機能なども標準で利用できる。それぞれのテキストエディターを一言で形容するなら、「TeraPad」が“シンプル”、「Mery」が“高機能”、「gPad」が“多機能”と、筆者は表現したい。

 「TeraPad」がテキストエディターに不可欠な機能をシンプルにまとめたソフトとすれば、「Mery」がそれら不可欠な機能を突き詰めたソフト、そして「gPad」がそこに付加機能をまとったソフトとなるだろう。「メモ帳」以外のテキストエディターを経験したことがない人にはやはり、シンプルな「TeraPad」が一番とっつきやすく、長く開発されている分だけ安心感もあってオススメだが、少し背伸びをして「Mery」でも戸惑うことは少ない。一方、「TeraPad」では物足りないと感じているユーザーなら、「Mery」と「gPad」のどちらも乗り換え先として検討するだけの価値が十分にある。

 「TeraPad」「Mery」「gPad」に「メモ帳」も加えた4本のテキストエディターはそれぞれ個性がはっきりしており、テキストエディターというソフトを知るためにも、自分にとって必要な機能を知るためにも、これを機に使い比べてみてはどうだろうか。

(中井 浩晶)