杜のAndroid研究室

第140回

ついに正式版となったAndroid版「Google 日本語入力」

マッシュルームやキーボードサイズ変更に対応し、変換機能も大幅強化

 『杜のAndroid研究室』では、スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”をテーマに、窓の杜スタッフが厳選したアプリなどを紹介していく。今回は、ついに正式版となったGoogle提供のAndroid向け日本語入力システム「Google 日本語入力」に焦点を当て、その使い方と機能を紹介しよう。

Android版「Google 日本語入力」が正式版に

「Google 日本語入力」

 Androidでは日本語入力アプリを自由にインストールして変更できるようになっているが、その中でも人気の日本語入力アプリのひとつがGoogleが提供する「Google 日本語入力」だ。Windows・Mac向けに提供されているデスクトップ版日本語入力システム「Google 日本語入力」のAndroid版となり、デスクトップでも定評のある語彙の豊富さが特長。これまでベータ版として公開されていたが、ついに正式版となったことが4日に発表された。

 本連載では、連載100回記念の“Google純製アプリ特集”を含め、すでに2回、Google 日本語入力を取り上げているが、正式版にあたるv1.9および、その前バージョンのv1.6へのバージョンアップにより、キーボードサイズの変更が可能になったほか、マッシュルームに対応するなど、新たな機能が追加されているので改めて紹介しよう。

“Godan キーボード”を搭載し、キーボードサイズの変更が可能に

 まず、キーボードのレイアウトでは、一般的な日本語入力アプリと同様に、フリック入力などが可能な“ケータイ配列”と、パソコン風の“QWERTY配列”を利用可能。さらに、新たなレイアウトとして“Godan キーボード”が選択可能となっている。“Godan キーボード”は、テンキー風のキーボードを両手で操作するレイアウトとなっていて、右手で子音、左手で母音を選択して文字入力が可能。濁音や半濁音などを入力する際にはフリックで子音を入力するなど、フリック入力とローマ字入力を組み合わせたような入力方法となっている。

 また、日本語の入力には“ケータイ配列”を使い、英字入力には“QWERTY配列”を使うといった設定が可能なほか、縦画面と横画面で使用するレイアウトを切り替えることもできる。

フリック入力やケータイ風の入力ができる“ケータイ配列”のキーボード
パソコン風の“QWERTY配列”のキーボードも利用可能

 さらに、v1.9からはキーボードサイズの変更が可能になっている。Google 日本語入力の設定画面から[ソフトウェアキーボードの詳細設定]画面を開き、[左右寄せ]項目で“右寄せ”または“左寄せ”を選択することで、キーボードの横幅を縮小して左右に寄せることが可能。タブレットや画面の大きいスマートフォンでも、指を開きすぎることなく片手でフリック入力などができるようになって便利。なお、キーボードの横に表示される[>]キーをタッチすれば、寄せる方向をすばやく切り替え可能。

右手で子音、左手で母音をタッチして入力する“Godan キーボード”も利用できる
キーボードを画面の左または右に寄せ、片手で入力しやすいレイアウトに変更できる

 また、[キーボードの高さ]項目では、スライダーを調整してキーボードの高さを細かく設定することが可能。そのほか、キーボードの色合いも変更可能で、設定画面の[スキンの選択]項目から3種類の“スキン”を選択して、キーボードやポップアップのカラーを変えられる。

設定画面のスライダーを調整して、キーボードの高さを変更可能
キーボードの色合いを3種類のスキンから選択できる

入力補正や部分変換に対応するなど、変換機能が強化

 Google 日本語入力では、豊富な語彙を活かした変換機能が特長のひとつとなっており、多くの地名や人名、外国語などをひらがなから一発変換可能。さらに、“きょう”“あす”や“いま”を入力して、今日・明日の日付や現在時刻に変換できたり、“1010”などの数字を入力して、日付の“10月10日”や時刻の“10:10”に変換することができる。また、“ふいんき”と入力して“雰囲気(ふんいき)”に変換できるなど、よくある誤読にも対応。ユーザー辞書の利用も可能となっている。

 さらに、バージョンアップにより変換機能が強化されている。“ケータイ配列”や“Godan キーボード”では、濁点・半濁点を付けたり小書き文字に変えるのを省略している場合でも、変換候補が表示されて選択可能。また、いずれのキーボードレイアウトでも、キーの誤入力を検出して正しいと思われる候補を表示する“キー入力補正”機能を利用可能。

濁点・半濁点を付けたり小書き文字に変えるのを省略している場合でも、変換候補が表示される
キーの誤入力を検出し、“すんかい”→“分解”、“憤慨”といった変換が可能

 長文を一気に入力してから変換するときに役立つのが“自動部分確定”機能で、入力したかなの文節を自動認識し、その部分だけの変換候補も一覧に表示できる。文節ごとに候補を選択していくことで、長文をスムーズに変換可能。

 また、“えがお”や“はーと”など絵文字を表すひらがなを入力することで、キャリアの絵文字が候補に表示されて選択できるほか、Android 4.1以降の端末の場合は“Unicode 6”で導入された絵文字もひらがなから変換できる。さらに、“ケータイ配列”では、ひらがなや英字の入力モードでも、数字入力モードでの配列に対応したキーをタッチすることで、候補に数字や日付などが表示されて選択可能。たとえば、“あわあわ”と入力して、“1010”や“10月10日”、“10:10”などに変換することができる。

入力したかなの文節を自動認識し、文節ごとに変換していくことが可能
キャリアの絵文字や“Unicode 6”の絵文字も変換候補に表示される

ついに“マッシュルーム”に対応。物理キーボードも使いやすく

 v1.9へのバージョンアップでの目玉となっているのが、“マッシュルーム”への対応だ。“マッシュルーム”は、「Simeji」や「ATOK」などの日本語入力アプリでも利用できる機能を拡張するプラグインで、顔文字や翻訳したテキストを入力するものなど、さまざまな“マッシュルーム”がGoogle Playで公開されている。あらかじめ“マッシュルーム”をインストールしておき、一覧キーボード左下の[あA1]キーを長押しすると表示されるポップアップで[マッシュルームの起動]項目を選択すれば、一覧から使用したい“マッシュルーム”を選択してさまざまな入力を行うことが可能。

 また、BluetoothやUSBで接続する物理キーボードは従来から利用可能となっていたが、バージョンアップによりさらに使いやすくなり、物理キーボードを接続しているときには、ソフトウェアキーボードが自動で折りたたんで表示され、使用中のアプリを画面に広く表示して文字入力することが可能になっている。

[あA1]キーを長押しして表示されるポップアップの[マッシュルームの起動]から“マッシュルーム“を起動可能
物理キーボードを接続した場合、ソフトウェアキーボードが自動で折りたたんで表示される

 そのほか、フリックの感度をスライダーで調整できるようになったほか、キーをタッチしたときのバイブレーションの振動時間や、タッチしたときの操作音の音量を調整することも可能となっている。

「Google 日本語入力」
【著作権者】
Google Inc.
【対応OS】
Android 2.1以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.9.1397.3(13/04/03)

(ライターズハイ:鈴木 友博)