レビュー

編集やデバッグが簡単になるバッチファイル向け統合開発環境「VisualBat」

バッチファイルのステップ実行や変数のダンプが可能に

「VisualBat」v1.0.0

 「VisualBat」は、バッチファイルの編集やデバッグを行う統合開発環境風のアプリケーション。ブレークポイントを加えてステップ単位で実行し、複雑なバッチファイルの開発を効率化するのが主な目的だ。Windows XP以降に対応するフリーソフトで、作者のWebサイトからダウンロードできる。

 そもそもバッチファイル(*.BAT)とは、一定の処理を自動化するためのシェルスクリプトである。だが、古くはWSH(Windows Script Host)、現在はPowerShellがリリース済みのため、MS-DOS時代の名残と言っても過言ではない。

 確かに後継のスクリプトと比較すれば自由度は少ないものの、簡単に記述できることから、今でもバッチファイルを愛用しているユーザーは少なくない。かくいう筆者も日々の作業において、ファイル名の整理や画像形式の変換などに用いている。

 そのような理由でバッチファイルに親しみをもっている筆者だが、『まさかここまで……』と思わせたのが「VisualBat」だ。画面は左側にエディター、右側にデバッガーという構成で、一般的な統合開発環境のようにバッチファイルに対してブレークポイントを設け、スクリプトの動作をステップ単位で確認する機能を備えている。また、エディターではキーワードの色分け表示が可能だ。

 経験がある方ならご承知だと思うが、プログラミングにおける最大の問題は、意図した通りに動作しているかだ。本来なら数値が代入される箇所で文字列を代入してしまい、正しく動作しないことはよくある話。

 そのため「VisualBat」もC++やJava用の統合開発環境と同じく、デバッガーには実行内容を視覚化するトレース機能が用意されている。たとえばif文で分岐処理を行っている際や、for文の終了タイミングを確認する際に便利だ。

 バッチファイルから呼び出すコマンドによってはエラーレベルを返してくれるので、その値をもとに動作分岐を行う場合もあるだろう。「VisualBat」はこの点も考慮し、トレース画面の[実行後errorlevelを表示]チェックボックスをONにしておくことで、トレース結果にコマンド実行後のエラーレベルを表示するため、前述のような分岐処理も記述しやすかった。

ブレークポイントを設定すればステップ実行が可能
[実行後errorlevelを表示]にチェックが入っている場合、コマンドの実行結果を示すエラーレベルの値が表示される

 また、バッチファイル内で指定した変数名をデバッガーに一覧表示し、どのような値が代入されたか示すダンプ機能があるため、バッチファイル内で複雑な代入処理を行っている場合に役立つだろう。ただし、for参照変数の置換で用いるオプション構文は提示されないため、代入用変数を用意するとデバッグもはかどるはずだ。

バッチファイル内で置換用オプション構文を変数に代入すれば、デバッガーで値を確認できる
各機能に対してはショートカットキーが割り当てられている。バッチファイルの実行やデバッグに関してはファンクションキーが中心だ

 昔話で恐縮だが「VisualBat」に触れていると、バッチファイルだけで複雑な処理を行っていたとある事務所を思い出した。収集したCSV形式のデータを一定形式のテキストに変換し、さらに別のバッチファイルを呼び出して圧縮や配布の処理を行うといったものである。このような決して小規模とは言えない処理を行うのであれば(当時主流だった)C言語で書いた方が早いと思いつつも、『バッチファイルに不可能はない』と感じた出来事だった。

 通常のテキストエディターで複雑なバッチファイルを作成する際は、あらかじめ多くのデバッグ用コードを記述し、代入内容の確認や変数内容の変化を確認することになるが、「VisualBat」を使えばデバッグ用コードの大半は不要になる。腕に覚えのあるオールドユーザーや、バッチファイル未体験のユーザーは「VisualBat」でバッチファイルの作成にチャレンジしてほしい。

ソフトウェア情報

「VisualBat」
【著作権者】
shbhs 氏
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.0