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オープンソースのテキストエディター「Atom」にベータチャンネルが登場

新しい機能とよりよいパフォーマンスを手にできるベータ版と安定した正式版が選べる

 米GitHub Inc.は21日(現地時間)、オープンソースのテキストエディター「Atom」にベータチャンネルを設けたことを明らかにした。

 「Atom」は、プロジェクトホスティングサービス“GitHub”の創設者Chris Wanstrath氏が2008年に開発を始めたオープンソースのコードエディター。クロスプラットフォームで動作するデスクトップアプリケーションのためのフレームワーク“Electron”がコアになっており、高機能でありながら拡張性が高く、Web開発者を中心に高い支持を集めている。今年6月にはv1.0がリリースされた。

 これまで「Atom」は“master”ブランチ(ソースコードの大元)を直接リリースする形態がとられていた。この方法はシンプルで、機能の追加や不具合の修正をそのままユーザーの元へ届けることができたため、開発当初はうまくいっていたという。しかし、機能が増えるにつれて修正済みの不具合が再発する“リグレッション”が多くなり、ワークフローに混乱が生じることがたびたび発生するようになったようだ。

 そこで、GitHubは“master”ブランチを直接リリースする方法をやめ、「Google Chrome」などでお馴染みの“リリースチャンネル”を設ける方針をとることにした。「Atom」の場合、開発を行う“master”ブランチから切り離されたベータ版と、ベータ版でテストされた新機能や不具合修正を盛り込んだ正式版(stable)の2つのリリースチャンネルが設けられる。

「Atom」の新しい開発ワークフローとリリースチャンネル(公式ブログより引用)

 リリースチャンネルを設けることにより、ワークフローのシンプルさは失われ、新しい機能がユーザーの手に届くまでの時間は伸びることになる。しかし、自動テストでは発見できなかった不具合がベータ版で洗い出される可能性が増えるため、動作の安定した「Atom」を利用したいユーザーにとってはメリットとなるだろう。もし若干の問題があっても新しい機能とよりよいパフォーマンスを手にしたい場合はベータ版を利用することもできる。

(樽井 秀人)