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SCEとPLAYISM、PS4向け国産インディーゲームの内覧会を開催

「アスタブリード」「CroixleurΣ」が3月発売。「Bot!」もPS4へ

 (株)ソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE)と、ゲーム配信サイト“PLAYISM”を運営する(株)アクティブゲーミングメディアは4日、PLAYISMがパブリッシングするプレイステーション 4(PS4)用の新作タイトルに関するプレス向け内覧会を開催した。

 PLAYISMはPC向けのゲームタイトル配信サイトとして展開しているが、SCEが日本国内のインディーゲームをプレイステーションプラットフォームで提供するにあたり、PLAYISMがパブリッシャーとなって個人・小規模デベロッパーとSCEをつなぐ役割を果たしている。今回はPLAYISMがパブリッシャーとなるタイトルのうち、昨年末から提供が開始されている新作を含む4タイトルが紹介され、それぞれの開発者も出席して説明などを行った。

PLAYISMと力を合わせてPS4のインディーゲームを展開

伊東章成氏

 タイトルの紹介に先駆け、SCEでインディーゲームを担当する伊東章成氏が、同社におけるインディーゲームの取り組みについて語った。『インディーの展開はまだ少数のスタッフでやっていて、他との協力関係を作っていかないとらちがあかない。正直なところ、“プレイステーションでインディー”というのは違和感がある。コンシューマーの展開では自由な創作に制約がかかってしまい、自由に展開ができないんじゃないか、敷居が高いのではないかと思っていた』という。

 その協力者としてつながったのがPLAYISM。『PLAYISMという協力者が居てくれたことで、出せるタイトルが増えてきた』と述べた。またタイトル数についても、今回の内覧会で見せたタイトル以外にも、『4月、5月とまだまだいける』としており、プレイステーションプラットフォームでのインディーゲーム展開がいよいよ本格化するという期待が高まった。

 今回紹介されたのは、発売中の「TorqueL(トルクル)」と「Prismatic Solid(プリズマティック・ソリッド)」、本日、3月5日に発売された「CroixleurΣ(クロワルール・シグマ)」、そして3月19日に発売することが発表された「アスタブリード(Astebreed)」の4タイトル。

「アスタブリード」は操作方法を大幅アレンジ

なる氏

 「アスタブリード」は、2013年冬のコミックマーケットで登場したロボットアクションシューティングゲーム。敵や弾を剣で斬ったり、多数の敵をロックオンショットで倒したりという爽快感とスピード感に重きを置いている。PS4版はつい先日マスターアップしたそうで、価格は2,000円(税込み)と発表された。Windows版のゲーム内容は下記の紹介記事をご覧いただきたい。

 Windows版からの変更点としては、操作方法を変更した“アレンジモード”が追加されている。[R1]ボタンでブレード、[R2]ボタンでショットを撃ちつつ、右アナログスティックで集中型ロックオンの方向を指定できる。右スティックを1回転させるように回せば、全方位の敵をロックオンすることも可能になった。右スティックを戻せばロックオンショットを発射。右スティックを押し込めば自機の周囲に出る円形ロックオンも使える。

 操作の変更により、ショットとブレード、ロックオンショットをそれぞれ同時に操りやすくなった。自機の攻撃力がかなり増した感覚で、数多くの敵を一掃する爽快感がよりアップしている。

 開発元である同人サークル“えーでるわいす”のなる氏によると、自機を強化する方向にシフトしたのと同時に、敵機の配置も見直しているという。Windows版に比べて出てくる敵の数が多く(難易度を上げた時に似た印象)、シビアな攻撃を仕掛けてくることも多い。ただ集中型ロックオンの方向を360度自由に指定可能になったことで、特定の敵を狙い撃ちしやすくなり、厳しい状態にも対応できるようになっている。爽快なだけでなく、よりやり応えのある設計と言える。

 なおWindows版と同じ内容のゲームモードも別途搭載している。他にもロボットのモデルやエフェクトの改善、初回プレイ時のデモの追加など、Windows版からの調整や演出強化が加えられている。

 今後の展開についてなる氏は、本作とは方向性の違うものをPC向けの同人タイトルとして作っていきたいとしている。

スクロール方向が縦横、さらに画面奥方向と切り替わる演出が格好いい
ゲーム開始時に出撃シーンを追加
集中型ロックオンを手軽に、360度自由な方向へ向けられるようになった
敵の配置を変更。敵の数も増えているようだ
初回プレイ時のストーリーデモを追加。後でメニューから選んでも見られる

「CroixleurΣ」は2人の新キャラクターなど新要素を多数追加

凛氏

 「CroixleurΣ」は、魔法騎士学園を舞台にしたファンタジーアクション。2010年に開発された「Croixleur」をフルボイス化し、ゲームモードやストーリーを追加したアレンジ版が「CroixleurΣ」で、PS4版はそこからさらにキャラクターの追加などを施した新アレンジ版という位置付けになる。価格は1,500円(税込み)。Windows版「CroixleurΣ」については下記をご覧いただきたい。

 PS4版では、カテリナ(CV:照井春佳)と、サラ・アンニカ(CV:明坂聡美)の2キャラクターが新規に追加された。キャラクターが持つ武器もオリジナルなので、既存の2キャラクターとは戦い方も変わってくる。武器のレベル上げも含め、やり込み要素が2倍に増えたと言っていいだろう。

 ゲームモードには、新たに“ダンジョンモード”が追加された。連続して50のステージを攻略するというものだが、最初に選んだ武器が途中で壊れることがあり、代わりの武器がランダムに選ばれる。最初に組んだコンボが武器の変更により崩れてしまうので、他のゲームモードよりも難易度は高い。また節目になるステージでは、他のプレイヤーが育てたキャラクターが敵として登場することもある。

 ゲーム要素としては、新たに装飾品が加わっている。見た目をアレンジできるだけでなく、装備することによって能力をアップさせる効果もある。他にもグラフィックスがPS4世代に合わせてアレンジされ、新たなモンスターや、床が滑るといった特殊マップの追加など、さまざまな追加・調整が加えられている。

 開発元である同人サークル“souvenir circ.(スーベニア)”の凛氏によると、CEROレーティングはB(12歳以上推奨)だそうだ。なおPS4版での追加要素をWindows版に展開するかどうか、またその際にアップデートになるか新作とするかなどは、検討中としている。

新キャラクターのカテリナ
同じく新キャラクターのサラ・アンニカ
装飾品で見た目と能力をカスタマイズ
会話シーンはフルボイスで展開される
可愛らしい女の子を描く3Dグラフィックスはさらに磨きがかかった
“ダンジョンモード”では武器が壊れて自動的に入れ替わる
他のプレイヤーのキャラクターが敵として登場することも

「TorqueL」はセーブ機能を間もなく追加

なんも氏

 「TorqueL」は、箱型のキャラクターを転がし、棒状のものを伸ばしてゴールを目指すパズルアクションゲーム。PLAYISMからのPS4タイトルの先鋒として早くから発表され、SCEも長い間プッシュし続けてきた。2014年末にPS4、PS Vita向けに発売。その後、Windows版も発売された。価格は1,000円(税込み)。Windows版については下記をご覧いただきたい。

 PS4版とPS Vita版については、今後セーブ機能を追加するアップデートが実施される。今のところゲームに手を入れるのはそこまでで、開発者のなんも氏は、『次はアナログゲームを出したいし、VRにも興味がある。今はまっさらな状態で、新しいことをやってみてダメだと思ったら捨てて別のことに挑戦する』という。アナログゲームにせよ、本作のようなアクションゲームにせよ、『あまり自分が得意ではないものを作りたい』とのこと。

 ちなみに本作には隠しルートが存在しており、特定の手順を踏めば到達できるという。ただ、今のところそのルートを発見したというプレイヤーは見ていないのだそうだ。PS4のトロフィー(実績)の一番上にある要素なので、プレイする際にはその存在を忘れずに探してみていただきたい。

四角いプレイヤーキャラクターから4本の棒を伸ばして動く。シンプルながら簡単にはいかないパズルアクションだ

「Prismatic Solid」は続編の開発も視野に

小森陽一氏

 「Prismatic Solid」は、抽象的なビジュアル世界で繰り広げられるシューティングゲーム。Xbox 360のXbox LIVE インディーズゲームで配信されたタイトルの移植版となる。価格は1,296円(税込み)。

 誘導弾や前方集中型など、複数あるショットを切り替えながら戦うゲーム。激しい弾幕に襲われるため、回避を頑張る弾幕シューティングかと思ってしまうのだが、実際には回避不能なほどの弾幕が飛んでくる。

 弾幕の対処には、自機の周りで触手のようなものを伸ばしている3つのオプションを使う。オプションの触手は敵弾を消す効果があり、盾として機能する。オプションの配置はショットの種類によって変化するので、敵を倒すためのショットと、自機を守るためのオプションの双方をどう使うか考えながら戦うのがポイント。

 楽曲を細江慎治氏と佐宗綾子氏という、ゲームミュージックでは著名なサウンドクリエイターが担当しているのも魅力だ。PS4版では新たに、一度到達したステージを選択できるモードが追加され、遊びやすくなっている。

 今のところWindows版は発売されていないが、開発者の小森陽一氏は、Windows版の開発も今後検討したいとしている。そのほかにも、本作の続編やスマートフォン向けゲームも考えつつ、SCEのVRシステム“Project Morpheus”にも興味があると語っていた。

弾幕をオプションで防ぎながら、攻撃を切り替えて敵を倒す。攻防一体のプレイが求められる

隠し玉のスニーキングアクション「Bot!」

“AimedFreedom”

 近日発売、および発売済みの上記4タイトルのほかに、今後の発売予定タイトルとして、スニーキングアクションゲーム「Bot!」が紹介された。こちらはデジタルハリウッド大学の学生によるチーム“AimedFreedom”が手掛ける作品で、デジゲー博2014に出展され注目を集めた。

 ロボットによる代理戦争が行われるSF世界で、家庭用ロボットが次々と軍事用ロボットの素材に転用されていく中、家庭用ロボットである“トミー”が、自分を壊される前に工場から逃げ出そうと試みる。工場内は武装した軍事用ロボットが警備のために行き交うが、家庭用ロボットのトミーには武器がなく、ひたすら警備をかいくぐって工場の外を目指す。

 警備ロボットは、トミーが視覚に入るとけたたましい警告音とともに近寄ってきて、ビームのようなもので攻撃してくる。これに触れると一発でゲームオーバー。見つからないため障害物に隠れるようにして移動するほか、どうしても警備ロボットの居るところを通りたい時は、手足を引っ込めて単なる箱になれる。警備ロボットはトミーが動いているところを見ていなければ素通りするので、うまくやり過ごしてはまた先へと進んでいく。

 こちらを一発で消し去ってしまう警備ロボットが、自分の真横をゆっくり歩いていくというシーンが頻発するので、プレイ中は緊張の連続。また警備ロボットの中にはトミーの足音を感知するものもいるが、アナログスティックを少しだけ倒せば、大きな音を立てないでゆっくりと歩ける。

 元々はWindowsとMac OS向けに開発していたそうだが、デジゲー博2014で伊東氏が本作を見かけて、ぜひPS4でという話になったのだそうだ。まだゲームそのものが開発中の段階から話が進んだこともあり、最初の発売プラットフォームはPS4となり、2015年内の発売を目指して開発を進めているという。こちらもパブリッシャーはPLAYISMが務める。

トミーが工場からこっそり抜け出そうと奮闘する……といっても攻撃はできない
警備ロボットがこちらを向いていない時などの隙を狙って移動
見つかったら追い掛け回されてビームで撃たれる。ひたすら逃げるしかない
フィールドにある仕掛けを見つけて突破していく謎解き要素もある
手足を引っ込めて箱状になると見つからない。この緊張感がすごい
スニーキングのゲームも特徴的だが、何より映像の美しさに目を惹かれるタイトル

プレイステーションで個人がゲームを出せる時代である、というアピール

PLAYISMの水谷俊次氏も出席

 今回の内覧会におけるSCEの狙いは、プレイステーションプラットフォームで個人ないし小規模な開発者が、インディーゲームを展開できるんだということをアピールすることにあったと思われる。インディーゲームの開発者は、「Bot!」開発チームのような学生もいれば、社会人になってからも長年趣味で作り続けている人もいる。またスマートフォンの登場で個人開発者が一気に増加したことで、大手ゲーム会社を抜けて独立するプロ経験者も数多い。

 SCEとしては、そういった個人・小規模開発者に向けて“門を開いて待っている”という姿勢を見せるとともに、PLAYISMのような企業と連携することで、それが実現可能だということを強調したい。今回紹介されたタイトルはその実現例であり、試金石となる。

 コンシューマーゲームのダウンロード販売も現世代機ではより一般化してきており、ユーザーの認知度も高まってきた。コンシューマー機では基本的にダウンロード販売となるインディーゲームには追い風となる状態だ。しばらくはコンシューマーゲームとインディーゲームの関わりがより活発化すると思われ、PCの同人・インディーゲーム界隈にも大きな影響を与えそうだ。