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「MS-DOS」「Word for Windows」のソースコードがコンピューター歴史博物館で公開

パーソナルコンピューターのルーツを語る上で避けては通れない2製品

「MS-DOS」と「Word for Windows」(Microsoftのリリースより引用)

 米コンピューター歴史博物館(The Computer History Museum、CHM)は25日(現地時間)、初期バージョンの「MS-DOS」および「Word for Windows」のオリジナルソースコードを同博物館のWebサイトで公開した。これらの製品のソースコードが公開されたのは初めて。

 コンピューター歴史博物館では、コンピューターの歴史の中でとくに重要なソフトウェアプログラムを選んで保存・公開しており、これまでにも「Apple II DOS」「IBM APL」「Apple MacPaint」「Apple QuickDraw」「Adobe Photoshop」といった製品の歴史的なバージョンのソースコードが公開されている。今回、Microsoftの協力の元、その列に「MS-DOS」と「Word for Windows」が新たに加えられた。

 1980年頃、IBMは自社のパーソナルコンピューターに搭載するOSを探していた。それに応じたのが当時BASIC言語のインタプリターを提供していたMicrosoftだ。そのころのMicrosoftにはOS開発のノウハウがなかったため、Seattle Computer Productsが開発していたOSのライセンスを開発チームごと取得し、IBMと協力してPCへ搭載するために手を加えた。それが“Chess”というコードネームをもつ後の「PC DOS」で、Microsoft自身も「MS-DOS」という名で各メーカーへ出荷した。その歴代バージョンのうち、今回は1983年にリリースされた「MS-DOS 1.1」と、1983年にリリースされた「MS-DOS 2.0」のソースコードが公開されている。

 一方、「Word」は1983年に初めてリリースされた。このバージョンの「Word」はDOSで動作しており、のちの「Windows」の基礎となる独自のグラフィカルユーザーインターフェイスを備えていたが、当時シェアを握っていた「WordPerfect」に阻まれ、市場で大した成功を収めることができなかった。しかし、1989年に「Windows 3.0」で動作する「Word for Windows」がリリースされると状況は一変。4年を経ずに世界中のワープロソフトの売り上げの半分以上を占めるまでに成長した。今回ソースコードが公開されたのは、1990年にリリースされた「Word for Windows 1.1a」。

 どちらのプログラムも1980年代から1990年代にかけてもっとも広く利用されたプログラムであり、将来世代の技術者がパーソナルコンピューティングのルーツをより深く学ぶ上で避けて通れない存在であると言えるだろう。

(柳 英俊)