NEWS(10/11/11 16:19)

「Firefox 4」Beta 7が公開、新しいJITコンパイラ“JaegerMonkey”を統合

“WebGL”による3Dグラフィックスにも対応

「Firefox」v4.0b7「Firefox」v4.0b7

 Mozillaは10日、Webブラウザー「Firefox」の次期バージョンv4.0のBeta 7を公開した。Windows 2000/XP/Server 2003/Vista/7に対応するフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロードできる。なお、本ベータ版は開発者やテスター向けに公開されており、一般ユーザーによる使用は推奨されていないので注意。

 本バージョンの主な変更点は、JavaScriptエンジンへ新しいメソッド型のJITコンパイラ“JaegerMonkey”が統合されたこと。

 「Firefox」はv3.5から“TraceMonkey”と呼ばれるトレース型のJITコンパイラを搭載している。トレース型とは、インタプリタでコードを実行しながら、頻繁に利用される処理のみをネイティブコードへコンパイルして部分的に高速化を施すもので、少ないメモリ使用量で効率的に処理を高速化できる反面、ネイティブ動作する部分とインタプリタで処理される部分の切り替えが発生してしまうのが欠点だ。

 それに比べて、メソッド型はJavaScriptのコード全体をネイティブコードへコンパイルして処理を全体的に高速化する手法で、多くのJITコンパイラで利用されている。「Firefox」v4では、“JaegerMonkey”に“TraceMonkey”を組み合わせることで、全体的な処理速度の底上げと部分的な最適化を両立させており、大幅な速度向上が期待できるという。

新しいJITコンパイラ“JaegerMonkey”を統合したことでJavaScriptの実行速度が大幅に向上(画像はMozillaのブログ記事より引用)新しいJITコンパイラ“JaegerMonkey”を統合したことでJavaScriptの実行速度が大幅に向上(画像はMozillaのブログ記事より引用)

 また、Windows版とMac OS X版ではWebブラウザー上でプラグイン不要の3Dグラフィックスを実現する規格“WebGL”が初期状態で利用可能になった。さらに、ページの最終的なレンダリング過程である各レイヤーの合成過程でも、DirectXを利用したGPUによるハードウェアアクセラレーションが利用できるようになっている。

 さらに、自動補完やバリデーション(入力データの検証)といったHTML5の“form”要素への対応が強化されたほか、CSS3のOpenTypeフォント関連の機能も利用可能になった。

 なおMozillaによると、アドオン関連のAPIの仕様は本バージョンでほぼ安定したとのこと。「Firefox」v3.6向けの拡張機能を公開している開発者は、本バージョンをもとにv4への対応を進めることができる。

【著作権者】
contributors to the Mozilla Project
【対応OS】
Windows 2000/XP/Server 2003/Vista/7
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
4.0b7(10/11/10)

(柳 英俊)