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【第367回】

ファンタジーRPG「魔法のトリコ~星の絆~」

少年少女の成長を描く正統派ストーリー。魔方陣を活用する戦闘がユニーク

(09/02/20)
タイトル画面
   

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、魔法使いである少年少女たちの成長と魔法にまつわる歴史の謎解きが楽しめる正統派ファンタジーRPG「魔法のトリコ~星の絆~」を紹介しよう。

これぞ王道RPGと思わせる丁寧な作り込み

主人公は魔法学校中等部の5人
主人公は魔法学校中等部の5人
魔法使いの歴史にまつわる謎に触れていくストーリー
魔法使いの歴史にまつわる謎に触れていくストーリー
 「魔法のトリコ~星の絆~」は、人口のわずか0.1%だけ存在するという“魔法使い”がテーマの物語が展開する、ストーリー重視の長編ファンタジーRPG。舞台となるのは、魔法の才能をもつ者は“強き魂をもつ者”と言われさまざな力を使える一方で、魔法使いの魂を喰らう“ミザリ”という魔物が存在する世界。物語は、魔法使いの天敵であるミザリに襲われて力を失った少女“リタ”が、ケビノール魔法学校に転校してくるところから始まる。

 物語の中心であり、リタと共にパーティーを組んで戦いや探索をすることになるのは、戦闘大好きで好奇心旺盛な少年“チャック”、チャックのツッコミ役である少女“コリー”、優しい少年“ペオ”、優等生でチームリーダーの少年“クート”の4人。ミザリを恐怖するリタだが、仲間たちの助けによって恐怖を徐々に克服し、授業の一環として行われる遺跡探索では魔法の歴史に関する大きな秘密に触れることになる……と、ストーリーの流れはまさに王道。世界観もキャラクター同士の会話も丁寧に作り込まれており、さまざまな伏線があることも手伝って、グイグイとゲームに引き込まれていく。

フォーメーションを組んで戦うユニークな戦闘システム

戦闘は5人で魔方陣を作って戦う独特のシステムを採用
戦闘は5人で魔方陣を作って戦う独特のシステムを採用
魔方陣の指揮者によって特性や効果が大きく変化
魔方陣の指揮者によって特性や効果が大きく変化
 戦闘は、フィールド上にいる魔物に触れると画面が切り替わる“シンボルエンカウント”方式を採用。戦闘に入ると魔物に魂を喰われないように、5人のキャラクターが五芒星を作るように並んで魔方陣を構成する“スターボンドシステム”が特徴だ。まず、魔方陣を維持する“指揮者”の変更やキャラクターの配置の変更などを行い、そのあとに個別キャラクターの行動を選ぶというのが戦闘の基本的な流れとなっている。

 魔法には“地”“水”“火”“風”“無”と5つの属性があり、リタは無属性、コリーは火属性などキャラクターごとに属性が異なる。属性によって使える魔法の種類が決まり、火や風は攻撃系、水や地は補助系の魔法といった具合だ。魔方陣の効果もこの属性によって大きく変化し、指揮者となるキャラクターが火属性なら攻撃が強く防御が弱くなり、地や水ならば逆に防御が強くなる。

 さらに、魔方陣の属性ごとに特殊効果が発動するのもポイント。たとえば水属性ならばターン終了時に体力がわずかに回復し、火属性ならランダムで味方の誰かが1ターンで2回行動できるようになる。そのため、敵の特徴や状況に合わせて指揮者を変えていくことが、戦闘においては重要となってくる。

 また、魔方陣は“コンビ魔法”を発動する上でも重要な役割をもつ。コンビ魔法とはその名の通り、2人の属性を合わせることで発動できる強力な魔法。敵全体への攻撃、味方全員を一度に回復など、ピンチを回避したり戦闘を有利に進められる魔法が揃っている。ただし、このコンビ魔法は魔方陣に描かれた星型のラインでつながっている相手としか使えない。そのため、ときにはキャラクターの配置を変更することも大切だ。

多種多様で本格的な謎解きを楽しめる

遺跡には謎や仕掛けが盛りだくさん。探検する楽しみが詰まっている
遺跡には謎や仕掛けが盛りだくさん。探検する楽しみが詰まっている
ときには計算式を考えたりと頭の体操のような仕掛けも
ときには計算式を考えたりと頭の体操のような仕掛けも
 成長のシステムも独特で、戦闘後ではなく、主人公たちが学校の寮に戻って日付が変わるタイミングで体力や魔力、防御力といった各種能力がアップする。面白いのは、成長に必要な要素として、“戦闘に勝った回数”だけではなく“探索中に歩いた歩数”“授業を受けた時間”なども関係すること。安全にレベルアップしたいなら、時間はかかるものの遺跡を歩き回れば無理な戦闘をこなす必要はないわけだ。戦闘では苦戦することはあるものの、体力にさえ気をつけていれば負けることは少ない。どちらかというと遺跡での謎解きやストーリーに重点が置かれている印象だ。

 遺跡の謎解きは、実に多種多様だ。強い敵との戦いによって道が開けるものもあれば、わずかなヒントから銅像などを適切に配置する必要があったり、罠を見つける魔法と解除する魔法の駆使が重要だったり、アイテムの使用が先に進む鍵になっていたり、さらにはアクションゲームにように反射神経が求められることも。探索中に気になったキーワードはメモすることが重要だ。難しい謎解きもあり、戦闘よりもこちらで苦労することが多いだろう。それだけに、解けたときのうれしさは格別だ。

 主人公たちは多感な少年少女ならではの悩みをそれぞれ抱えているが、それを5人の仲間で乗り越えていくストーリーはさわやかで、プレイヤーの気持ちを温かくしてくれる。そして、魔法使いの歴史に隠された事実が少しずつ見えてくるストーリー展開は秀逸で、プレイを中断するタイミングが難しいほど。全体的に派手さはないがよく練り込まれている印象で、フィールドにはさまざまなアイテムが隠されていたり、クリア後に、より強い敵と戦えるお楽しみも用意されているなど、やり込み要素もたっぷり。腰を据えてじっくりと遊べるRPGを求めているならオススメの1本だ。


フィールドにはさまざまなアイテムが隠されている   少年少女たちはさまざまな事件を通して成長していく
フィールドにはさまざまなアイテムが隠されている   少年少女たちはさまざまな事件を通して成長していく


【著作権者】タンクタウン
【対応OS】Windows 98/Me/2000/XP/Vista
【ソフト種別】フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】0.64(09/02/11)
【ファイルサイズ】29.2MB

□TANKTOWN
http://tanktown.web.infoseek.co.jp/tt/tt_top.htm

(芹澤 正芳)




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