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【第290回】

オンライン専用の無料FPS「TrueCombat: Elite」

リアルな銃撃戦を徹底追求したマルイプレイ型の対戦FPS

(07/01/19)
タイトル画面
   

 インターネット上で公開されているゲームは、大手メーカーが制作・販売している大作から、個人が趣味で制作して無料で公開しているものまで、ジャンルや価格を問わず、さまざまなものが存在している。しかし、公開されているゲームの数が多すぎて、どんな作品が存在し、どの作品が本当に面白いのかを判断できずに困っている方も多いだろう。そこで『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は緊迫感のある銃撃戦が楽しめるオンライン対戦専用のFPS「TrueCombat: Elite」を紹介しよう。

オンライン対戦専用で完全無料の一人称視点シューティング

リアルな銃撃戦を体験できるのが最大の魅力
リアルな銃撃戦を体験できるのが最大の魅力
高いところから落ちるとダメージを受けるなど、リアリティが追求されている
高いところから落ちるとダメージを受けるなど、リアリティが追求されている

 「TrueCombat: Elite」は、プレイヤーが一人の兵士となり一人称視点で銃撃戦を繰り広げる3Dアクションシューティングで、ジャンルとしてはFPS(First Person Shooter)に属するゲームだ。“タクティカルリアリズムFPS”がコンセプトになっており、頭を撃たれればほぼ即死、体力が落ちると動きが鈍くなるなど徹底してリアリティを追求しているのが最大の特徴。ステージは市街地が多く、自分がまるで特殊部隊の一員となってミッションに参加しているような緊張感が味わえる。

 ゲーム内容を紹介する前に、まずは本ゲームを遊ぶ上で知っておきたいことに触れておこう。もっとも重要なことは、本ゲームは定番FPS「Wolfenstein: Enemy Territory」の3D描画エンジンを利用しているため、本ゲームのインストール前に同ゲームのインストールも必要であること。同ゲームは、市販タイトルとして開発されていたものが諸事情により無料公開されたという経緯があり、フリーソフトとしてはクオリティが非常に高く、熱烈なファンが多いことで有名。窓の杜ライブラリからもダウンロード可能だ。

 もうひとつ重要なのは、「Wolfenstein: Enemy Territory」と同じくオンライン対戦専用ゲームであること。一人で遊ぶモードは備えておらず、プレイするためには世界中にある本ゲームのサーバーにアクセスするか、自分がサーバーとなり誰かを招く必要がある。なお、日本をはじめ各国のファンが数多くのサーバーを運営しているので、対戦相手に困ることはない。

基本操作をマスターしよう

視点は完全に一人称。マウスで照準を合わせる
視点は完全に一人称。マウスで照準を合わせる
 操作方法は[W]キーで前進、[S]キーで後退、[A]キーで左に移動、[D]キーで右へ移動となり、マウスを動かすことで視点の移動、左クリックで射撃・投擲・斬るといった攻撃動作、右クリックで銃を構えて照準を定める“アイアンサイト”モードへの切り換えとなる。これらがもっとも基本的な動作だ。加えて、[Q]キーで体を左に傾けて[E]キーで右に傾ける、[C]キーでしゃがむ、[X]キーで伏せるなど、建物の影から照準を合わせたり慎重に移動するための動作が用意されている。

 また、[Caps Lock]キーで歩く、[Shift]キーで全力疾走、[F]キーで“C4爆弾”の設置・解除、ドアを開ける、武器を拾うといったアクションができ、[R]キーには弾丸のリロードが割り当てられている。このほか、数字の[1]~[6]キーまたはマウスのホイール回転で銃、ナイフ、グレネードといった武器の切り換えが可能。建物内の敵を倒すため“フラググレネード(手榴弾)”に持ち替えて投げるなど、状況や残り弾薬数に応じた武器の選択が求められる。

開けられるドアには手のアイコンが表示される   割ることが可能なガラスにもアイコンが表示
開けられるドアには手のアイコンが表示される   割ることが可能なガラスにもアイコンが表示

3種類のゲームが用意されている

“C4爆弾”の設置と阻止という攻防が楽しめる“Objective”ゲーム
“C4爆弾”の設置と阻止という攻防が楽しめる“Objective”ゲーム
 本ゲームでは“Specops”または“Terrorists”というチームのいずれかに所属して、銃撃戦を繰り広げることになる。ゲームのタイプは3つあり、メインとなるのが“Objective”だ。このゲームでは、Terroristsチームは各マップごとに指定された2カ所のコンテナに“C4爆弾”を設置して爆発させることが目的となり、SpecopsチームはC4爆弾を設置されないよう防衛し、もし設置されたときは解除するのが目的となる。一度倒されてしまうと次の戦いまで参加できなくなるので慎重な行動が必須だ。

 “Bodycount”は、相手チームの敵を倒した数がスコアとなり、そのスコアを競い合うゲームタイプ。シンプルなルールだが、敵を倒すだけではなく、TK(Team Killer:味方殺し)や自殺、転落といったマイナス要素もスコアに反映される。最後のゲームタイプは“Capture The Flag”。敵陣のポールからバックパックを取得し、自陣のポールまで持ち帰るのが目的だ。バックパックを3回持ち帰ったチームが勝利となる。“Bodycount”と同じくスコアも存在し、制限時間以内に両チームとも3回持ち帰れなかった場合は、合計スコアの高いチームが勝利する。

敵を倒した数を競い合う“Bodycount”ゲーム   バックパックを自陣まで運ぶ“Cpature The Flag”ゲーム
敵を倒した数を競い合う“Bodycount”ゲーム   バックパックを自陣まで運ぶ“Cpature The Flag”ゲーム

実際に世界中のユーザーと対戦しよう!

サーバー接続画面。“PING”の数値が少ないサーバーを選ぼう
サーバー接続画面。“PING”の数値が少ないサーバーを選ぼう
クラスは3種類あり、使える武器はクラスによって異なる
クラスは3種類あり、使える武器はクラスによって異なる
[V]キーで呼び出せる意思疎通に欠かせない“クイックチャット”
[V]キーで呼び出せる意思疎通に欠かせない“クイックチャット”
 実際にサーバーへ接続してゲームを楽しむには、まずゲームを起動して“DEPLOYMENT”メニューを選ぶ。すると接続可能なサーバーの一覧が表示されるので、サーバーの応答時間を示す“PING”の数値が少ないサーバーを選んでアクセスしよう。ちなみに、画面上部の“Game Type”をクリックすると、表示するゲームタイプを絞り込める。遊びたいタイプが決まっている場合は利用するといいだろう。サーバーにアクセスすると最初は観客モードの“Spectator”になっているので、[L]キーを押してプレイヤーネームを決め、参加するチームを“Specops”または“Terrorists”から選ぶ。そして、戦闘スタイルを決める“クラス”と装備する武器を選べば、ゲームの参加準備は完了だ。次のゲームから、または倒されたプレイヤーが戦闘に復帰するための“復活時間”がゼロになると、いよいよゲームへ参加できる。

 クラスは3種類あり、ビギナーなら近距離・遠距離どちらでも使い勝手のいいアサルトライフルを装備できる“Assault”がオススメだ。このほか、軽火器しか装備できないぶん、移動速度に優れ突撃を得意とする“Recon”、足は遅いが遠距離攻撃を得意とする“Sniper”がある。Sniperは動きが少ないので楽に思えるが、照準を合わせるのが非常に難しく、マップの構造を理解して的確な狙撃ポイントを見つける力が必要なため、ビギナーには難易度が高いので注意しよう。

 オンライン対戦専用のゲームであるため、ほかの参加者との意思疎通も重要となる。積極的に利用したいのが“クイックチャット”だ。これはあらかじめ用意されているセリフをカンタンなコマンド入力でチームのメンバーやゲーム参加者全員に伝えられる機能。基本的に[V]キーが起点となり、例えば[V]キー→[4]キー→[3]キーの順に入力すれば、音声と文字で“Thanks(ありがとう)”とチームメンバーに伝えられる。用意されているセリフは[V]キーを押すと画面に表示されるので、場面にマッチしたものを選ぼう。最初は味方を倒してしまった場合に備え、[V]キー→[4]キー→[5]キーの“Sorry”、逆に倒されたときに『気にするな』と声をかける[V]キー→[4]キー→[4]キーの“Welcome”、ゲーム参加時の挨拶となる[V]キー→[5]キー→[4]キーの“Hi”あたりを覚えておくといいだろう。

最初は練習が必要だが、慣れれば楽しさ倍増

“Sniper”の照準はブレやすく使いこなすのは難しい
“Sniper”の照準はブレやすく使いこなすのは難しい
敵が隠れていそうな場所には手榴弾を投げ込むのが基本だ
敵が隠れていそうな場所には手榴弾を投げ込むのが基本だ

 ルールや操作方法が少々複雑でとっつきにくさはあるものの、攻撃側と守備側にハッキリと分かれるゲームタイプ“Objective”の緊張感はたまらなく面白い。倒されたらその時点でゲームに参加できなくなるという厳しいルールであるため、『いつ敵が出てくるのか』と構えながら建物の影をゆっくりと移動する。このドキドキ感はリアル系FPSならではだ。それにマップを把握し、攻めや守りに適したルートが分かってくると楽しさは倍増する。相手が通りそうなルートを読んで、見事倒せたときの快感はかなりのものだ。

 チームに分かれての対戦となるため、見ず知らずの人と連携して動くのもまた面白い。最初は戸惑うかもしれないが、『何人か攻めていったので自分は守りに徹しよう』など、状況判断ができるようになると楽しさはさらに増していく。チーム戦にどっぷりはまったら、ゲームを楽しむ個人が集まって結成された“クラン”と呼ばれるチームに所属して、クラン同士の戦いなどに参加してみるのもいいだろう。チーム戦の真髄を味わえるハズだ。

 ただ、最初は何が起こったかも分からずに倒されてしまうことが多い。移動しながらマウスの右クリックで銃を構え、狙いを定めて撃つという動作をスムーズに行うには訓練が必要だ。さらに、場面にマッチした武器の選択も迫られるので、C4爆弾の設置方法や武器の特性などを知る必要がある。そのため、まずはタイトル画面の“HOST A GAME”で誰もアクセスできない自分だけのサーバーを作って練習するといいだろう。また、サーバー名に“Training”と書かれた初心者用のサーバーも数多くあり、そこで慣れるのもひとつの手だ。

 初めてFPSをプレイした人が本ゲームを面白いと感じるまでには少し時間がかかるかもしれないが、市販ソフトに迫るクオリティを無料で楽しめるFPSはなかなかない。FPSに興味はあるけど手を出していない、という人はこれを機会にチャレンジしてはいかがだろうか。

【著作権者】Team Terminator、GrooveSix Studios
【対応OS】Windows 95/98/Me/2000/XP
【ソフト種別】フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】0.49b(07/01/02)
【ファイルサイズ】本体は457MB、最新版パッチは6.48MB

□TC:Elite - An Enemy Territory Modification
http://www.truecombatelite.net/
□窓の杜 - Wolfenstein: Enemy Territory
http://www.forest.impress.co.jp/lib/game/actsport/btlacttion/wolfensteine.html

(芹澤 正芳)


お詫びと訂正: 記事初出時に、『高いところから落ちれば足をケガして動きが鈍くなる』と記載しておりましたが、このようなルールはありません。また、“Bodycount”ゲームにて『全体のスコアが100に達したら勝利となる』と記載しておりましたが、勝利条件は個々のゲームサーバーにより異なります。本文を訂正してお詫びいたします。




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