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【第139回】

ヒューリスティックエンジンと実験室

(06/01/23)

めも理 窓太 めも理と窓太
登場人物紹介

 窓の杜高校、超パソコン部の部室。

 あらあら、めも理ちゃん。今日はしかめっ面をしています。

 一体、何があったのでしょうか?

ヒューリスティックエンジン

めも理  うーん、これは何なんだろう?

窓太  どうしたんですか、めも理ちゃん?

めも理  あっ、窓太。いいところに来たわ。
 新しいウイルス対策ソフトをインストールしようと思ったら、『独自の“ヒューリスティックエンジン”搭載』と書いてあるのよ。
 でも、ヒューリスティックエンジンって何? 初めて聞いた言葉なんだけど。

窓太  ヒューリスティックエンジンは実験室のようなものですよ。

めも理  実験室?

窓太  そうですよ。それじゃあ少し、ヒューリスティックエンジンについて説明することにしますね。


実験室

4コマまんが
めも理と窓太の4コマまんが
「ヒューリスティックエンジン」

窓太  それではまずは復習からです。

めも理  げっ、『復習』って言葉は大嫌いなのよ。

窓太  まあまあ、そんなに嫌がらずに。
 まずは、通常のウイルス対策ソフトが、どのようにしてウイルスを検出しているのかを復習しましょう。以前、“パターンファイル”という用語を説明しましたよね。

  □窓の杜 - 【めも理と窓太のパソコン講座】第130回:パターンファイルと犯罪捜査
http://www.forest.impress.co.jp/article/2005/10/31/madota130.html

めも理  えーと、思い出すからちょっと待ってね。
 『警察は指紋などの証拠をもとに犯人を捕まえる。それと同じようにウイルス対策ソフトは、パターンファイルというデータを利用して、ウイルスに特徴的なデータの一部を探し、一致すればウイルスだと判断する』そういうお話だったわよね。

窓太  そうです。よく覚えていましたね。
 これで復習は終わりです。

めも理  ほっ。

窓太  でも、この手法には大きな問題があるのです。その問題が何か分かりますか?

めも理  うーん、そんなの分かったら、テストで悪い点なんか取らないわよ。

窓太  ええ、まあそうですね。
 それでは答えを言いましょう。パターンファイルにまだ情報がないような、新種のウイルスを検出できないことです。

めも理  うん? どういうことなの?

窓太  警察が証拠もないのに犯人を捕まえられないのと同じように、ウイルス対策ソフトも、パターンファイルなしではウイルスを探し出すことができないわけです。

めも理  あっ、なるほど。言われてみればそうね。
 でもそれじゃあ、新しいウイルスはどうやっても検出できないことになるわよね。

窓太  実はそうではないのです。

めも理  へー。じゃあ、一体どうやるの?

窓太  そこで登場するのがヒューリスティックエンジンです。ヒューリスティックエンジンは、自ら実験を行って未知のウイルスを見つけ出してくれるのです。

めも理  実験すれば未知のウイルスを見つけられるの?

窓太  そうです。現実社会で、未知の菌類やウイルスが発見された場合、それが人間にどのような影響を及ぼすのかを、実験室で分析したり、動物実験で研究することがあります。

めも理  そうらしいわね。なんか聞いたことあるわ。

窓太  パソコンのウイルスでも実験を行い、既知のウイルスと比較することで、未知のウイルスを発見できるのです。

めも理  ふむふむ。で、どんな実験をしてるの?

窓太  それでは、ヒューリスティックエンジンが未知のウイルスを発見するために行っている実験をいくつか紹介しますね。
 まずは、ウイルス混入の疑いがあるプログラムの中身を直接調べて、ウイルスのような振る舞いをするかどうかを調べる実験です。
 これは実験室で試料を分析するのに似ています。人間にとって有害になる物質があるかどうか調べるように、そのプログラムがパソコンにとって危険な処理を行うかどうか調べるわけです。

めも理  なるほど。

窓太  またヒューリスティックエンジンは別の実験を行うこともあります。
 それは、対象のプログラムをパソコンのメモリ内の“仮想マシン”上で実際に実行して、安全かどうか確かめる実験です。
 これは、隔離施設で動物実験をするのに似ています。

めも理  この仮想マシンというのが、隔離施設ってこと?

窓太  そうです。
 仮想マシンは、隔離施設のように保護されていますので、たとえ対象のプログラムにウイルスが含まれていても、パソコンに悪影響を及ぼすことはありません。
 そして、悪意のある振る舞いをしたプログラムを、ウイルスだと判断できるわけです。

めも理  ほー、頭がよい方法ね。

窓太  そうでしょう。
 つまり、ヒューリスティックエンジンは、実験室のようなものをアプリケーション内にもち、未知のウイルスであっても、自分で分析したり、実験したりすることで、ウイルスであるかどうかを独自に判断するというものなのです。

めも理  はー、優秀なのね。

窓太  ええ、なかなか先進的な機能ですよ。
 このようにヒューリスティックエンジンは、未知の新種ウイルスにも対抗できる非常に有力な手段です。
 ただしヒューリスティックエンジンはその性質上、無害なアプリケーションを有害と誤認識する可能性もありますので、過信してはいけません。


素晴らしいアイデア

めも理  ねえ、窓太。ヒューリスティックエンジンの話を聞いて、素晴らしいアイデアを思いついたの。

窓太  一体どんなアイデアですか?

めも理  新しいテストの受け方よ!

窓太  どういうことですか?

めも理  今までのテスト勉強は、先生にならったことを覚えておき、そして問題に対して答えを書いていくという手法だったわ。
 でもこれからはヒューリスティックエンジンのように、未知の問題でも答えられるようにするわ。

窓太  つまり、どういうことですか?

めも理  ふふふ、左隣の人の答案を調べたり、右隣の人の答案を調べて、その場でどんな答えが正しいかを推理していくのよ!

窓太  えー、それは単なるカンニングなので、やめてください。

めも理  え? いいアイデアだと思ったんだけど。

窓太  はあ、めも理ちゃんはすぐに楽をしたがるんですから。


今回出てきた用語の解説

【ヒューリスティックエンジン】 ウイルス対策ソフトにおいて、調査対象のファイルに対して自ら実験を行い、ウイルスかどうかを判断して、未知のウイルスを見つけ出す機能のこと。ヒューリスティック(heuristic)は“発見的な”という意味をもつ。
 

クロノス・クラウン:柳井 政和




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