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【第93回】

ポリゴンとお風呂のタイル

(04/12/13)

めも理 窓太 めも理と窓太
登場人物紹介

 窓の杜高校、超パソコン部の部室。

 あらあら、めも理ちゃん。今日はパソコンでゲームをしているようです。

 一体、何のゲームで遊んでいるのでしょうか?

コンバットゲーム

めも理  ピューン、ドガーン、ガガーン!

窓太  あれ、珍しいですね。めも理ちゃんが部室のパソコンでゲームをしているなんて。

めも理  あっ窓太。今このコンバットゲームにはまっているのよ。しかし最近のゲームはすごいわね。立体的で、グルグルと視点も動いて。
 でも、ぱっと見はきれいな画面に見えるけど、よーく見ていたら人間の表面が何だか角張っていて、きれいな体には見えないときがあるわね。

窓太  それは“ポリゴン”を使って描画しているからですよ。とくにアクションゲームはリアルタイムで描画しないといけないので、きれいに描画するのにも限度がありますからね。

めも理  ポリゴン? 何それ、宇宙怪獣の名前?

窓太  えー、違いますよ。そうですね、ポリゴンとは、お風呂のタイルのようなものです。

めも理  あの、お風呂の表面を覆っている四角いタイルのこと?

窓太  そうです。それじゃあ少し説明することにしますね。


ポリゴン

4コマまんが
めも理と窓太の4コマまんが
「ポリゴンとお風呂のタイル」

窓太  それじゃあ、めも理ちゃんに質問です。お風呂の床を覆うような小さなタイルは、どういう利点があると思いますか?

めも理  うーん、難しい質問ね。何か広い面積を覆わないといけないときに、巨大な1枚のタイルで覆おうとすると、タイルを貼り付ける広い面積を平らにしないといけないし、大変でしょう。だから、小さなタイルで表面を分割して覆っていくと作業がしやすいんじゃないかしら。

窓太  そうですね。広い面積を覆うのは大変ですからね。でも、タイルで物体の表面を覆う場合には、実はもう一つ利点があるのです。

めも理  もう一つの利点? 興味あるわね。

窓太  例えば巨大な1枚のタイルで物体の表面を覆う場合を考えてみてください。それだと、平面しか覆えないですよね。

めも理  そうね、風呂の蓋みたいにのっぺりとした1枚板になってしまうわね。

窓太  それに対して小さなタイルなら、平面だけでなく、曲面も覆うことができるのです。

めも理  曲面?

窓太  めも理ちゃんは銭湯や温泉に行ったことはありますか?

めも理  あるわよ。

窓太  そういった場所では、楕円形の浴槽などがあったりしますよね。そういった曲がった形の浴槽でも、小さなタイルを敷き詰めれば、表面を覆うことができます。

めも理  そういわれてみればそうね。小さなタイルを敷き詰めれば、複雑な形の物体の表面を覆うこともできるわね。

窓太  そうです。実はコンピューター・グラフィックスの世界でも、同じようなことが行われているのです。

めも理  同じこと? 物体の表面にタイルを敷き詰めているの?

窓太  そうです。立体的な物体を表示するときに、その表面に無数のタイルを敷き詰めることで、その物体の外観を滑らかに見せているのです。
 例えば人間の体を描画することを考えてみてください。コンピューター・グラフィックスの立体の表示では、人間の体の表面に、無数のタイルを貼りつけることによって、人間の形を表現しています。
 このコンピューター・グラフィックスの世界で使うタイルのことを、ポリゴンと呼ぶのです。

めも理  ふーん、人間の形や、動物の形など、複雑な物体の形を表現するのに、タイルを並べて形を作っていくというわけ?
 でもなぜ、そんなことをしているの?

窓太  それは計算がしやすいからです。例えば人間の形を表現する場合に、皮膚の細胞がどこにあるのかを1つずつ計算して、人間の形を描画していたらすごい長い時間がかかりますよね。

めも理  よく分からないけど、それは何だか大変そうね。

窓太  人間の皮膚の細胞全部を描いていたら、非常にたくさんの計算をしなければなりません。それに、そんなに丁寧に描画しても、パソコンのディスプレイ上ではそんな細部まで見ることはできないので意味がありません。

めも理  確かに、パソコンの画面はそんなに細かくないものね。

窓太  だから、より少ない計算量でものを描画する手法が考えられたのです。
 例えば人間の体を描画する場合ですと、その表面を何枚かのタイルで覆ってしまい、そのタイルの場所を計算して、だいたい人間に見えるように描画するということになりますね。

めも理  そうやって描画するときのタイルがポリゴンと呼ばれるのね。

窓太  そうです。この場合のポリゴンと呼ばれるタイルは、全部同じ大きさ、形である必要はありません。
 多くの場合、ポリゴンは計算のしやすさから、三角形もしくは四角形になっています。それに、物体の表面には平らな場所もあれば曲がった場所もあります。平らな場所には大きなタイル、つまり大きなポリゴンを使い、複雑な形の場所では、小さなタイル、つまり小さなポリゴンを並べることで、描画を行っているのです。
 例えば人体を形作る場合を考えてみましょう。人体を表す場合、少ないポリゴン数だと数百でも描くことができます。でも、非常に角張っていて、ロボットのような外見になってしまいます。それに対してより滑らかな人間の表面に近いように描画したい場合は、数万や数十万という数のポリゴンを使って描画します。

めも理  ずいぶん数に開きがあるのね。タイルの数が100枚ぐらいだと、何だかブロックで作ったロボットみたいな人間の形になりそうだけど、数万枚ものタイルを使って表面を覆えば、実写みたいに滑らかな人体になりそうね。

窓太  そうですね。これらのポリゴン数の違いは、用途によって使い分けられます。

めも理  用途? どんな用途の違いがあるの?

窓太  大きく分けると、リアルタイムで計算する必要がある場合と、そうでない場合に分けることができます。
 前者は、三次元空間を利用したゲームの画面での描画に相当します。これはパソコンの能力の範囲内で、限られた時間内に次々と描画をする必要があります。そのため、計算できるポリゴンの数にも制限が生じてしまいます。結果的に、使えるポリゴン数は少なくなってしまいます。

めも理  へー、じゃあリアルタイムで計算する必要がない場合とは、どういう場合なの?

窓太  これは、三次元空間で描画したイラスト、ポスターなどの一枚絵や、テレビや映画などのCGシーンなどの場合です。
 これらはゲームのように、ユーザーの操作に応じて短い時間でポリゴンを計算して描画する必要がありません。極端な話をすると、1分の映画のシーンを描画するために、百台のコンピューターで1カ月かけて計算しても構わないわけです。
 こういった場合は、ポリゴンの数を多くして、本物と見分けがつかないぐらいのきれいな映像を作ることができます。最近のハリウッド映画では、このような手法を使って、現実では撮影できないような派手なシーンを作ったりしていますよ。

めも理  そんなことをしていたんだ。知らなかったわ。

窓太  このように同じポリゴンを使っていても、リアルタイムで計算する必要がある場合とそうでない場合は、条件が大きく違うため、やり方が大きく異なるのです。

めも理  なるほどね。

窓太  それじゃあ、さっきめも理ちゃんが遊んでいた、パソコンで遊ぶ三次元のアクションゲームについて、少し解説をしておきますね。
 ゲームなどでは、ユーザーの操作に対応した素早い描画が求められるので、より少ないポリゴン数で、きれいな人間や建物などを描画するテクニックが発達しています。こういった少ない数のポリゴンで表現することを、“ローポリ”と呼んだりもします。ちなみにローポリというのは、“ローポリゴン”の略称です。
 また、近くにあって大きく見えるものは多くのポリゴンを使って、遠くの小さく見えるものは少ないポリゴンを使い分けることで、描画を高速化するという方法も使われます。さらにはパソコンやグラフィックボードの性能によって、ポリゴンの描画方法を変えるという場合もありますね。

めも理  ねえ窓太。コンピューター・グラフィックスの世界では、ポリゴンというタイルで物体の表面を表現するということは分かったわ。でも、ゲームを見ていると、ただタイルで覆ったようには全然見えないわよ。表示されている物体の表面にはきちんと色がついていたり、模様がついていたりしているんだけど。

窓太  ああ、それは“テクスチャー・マッピング”を利用しているからですね。テクスチャー・マッピングという技術をつかうと、ポリゴンというタイルの表面に貼り付ける、画像を指定して、模様を描画することができるのです。
 このポリゴンとテクスチャー・マッピングを利用することで、ゲームなどでは少ないポリゴン数で、リアルなキャラクターや動物、建物、機械などを表現しているのです。

めも理  へー、いろんな工夫をしているのね。


ポリゴンのお菓子

窓太  あれ、めも理ちゃん。何を作っているのですか?

めも理  ポリゴンの概念を応用した創作お菓子よ。
 クッキーを水飴でつないで、巨大なお菓子の家を作ろうとしているの。世界中の誰もが想像したこともないような素敵なお菓子の家ができるわ! みんな度肝を抜かれるわよ! お菓子で家を作るなんて誰も考えたことないでしょうから!

窓太  それって、ヘンゼルとグレーテルで出て来るお菓子の家になるんじゃないですか? みんな知っていると思いますよ。

めも理  えっ、あっ、しまったわ! そうだった、どこかで見たことがあると思っていたのよ! ううっ、残念だわ。画期的だと思ったのに。


今回出てきた用語の解説

【ポリゴン】 三次元のコンピューター・グラフィックでよく使われる描画の単位。最近のゲーム機などでは、秒間何ポリゴンの計算ができるかなどが、その性能の指標として使われている。

【ローポリ】 ローポリゴンの略。パソコンやゲーム機など、リアルタイムで計算しないといけないハードウェア上で、計算を効率よく行うために数の少ないポリゴンで作成した描画物のこと。

【テクスチャー】 ポリゴンの表面に張る画像のこと。ちょうど服を着たように、ポリゴンで作った描画物の表面に模様を描画することができる。

クロノス・クラウン:柳井 政和




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