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週末ゲーム

【第189回】

アクションホラーゲーム「おばけ屋敷探検隊」

リアルな映像に頼らずに恐怖を演出した短編ホラーゲーム

(03/11/14)

タイトル画面

 今どきのゲームは、ハードウェアのスペックが高くなったこともあり、リアルで緻密なグラフィックが大きなセールスポイントとなっている。これにより急激に発達したジャンルがホラー系のゲームだ。とはいえ、人間の恐怖に対する本質というものは、グロテスクな映像や動きではなく、不自然なもの、理解不能なものへの違和感や不安にあるのではないだろうか。「おばけ屋敷探検隊」はそんなホラーの原点ともいうべき恐怖感を味わえるゲームだ。

屋敷内にある鏡が物語のカギを握っている
屋敷内にある鏡が物語のカギを握っている

 「おばけ屋敷探検隊」は、“テング様のお屋敷”という心霊スポットを探索するアクションホラーゲーム。4人組の小学生が、夏休みの自由研究で“心霊レポート”を作成するため、有名な心霊スポットである“神かくし山”の“テング様のお屋敷”を探索する物語だ。プレイヤーは、幽霊を信じていない活発な少年“五十嵐 龍之介”、姉が霊能者で霊感が強い少女“稲荷 きつね”、成績優秀なおぼっちゃま“日野 鷹群”、幽霊も勉強も苦手なごく普通の少年“犬神 かん太”の4人のなかから1人を選び、ゲームを開始する。“テング様のお屋敷”は、モノトーンでシンプルに描かれた横スクロールタイプの画面構成となっており、そのシンプルな色使いが屋敷の薄暗さや不気味さをうまく伝えている。また、選択したキャラクターごとに異なったシナリオが用意されており、1つの作品で4つの物語を楽しむことができる。

 操作は、カーソルキーでキャラクターの移動、[Enter]キーで怪しい場所を調べたり仲間と会話をし、[Esc]キーを押すとメニューを開いてアイテムやステータスなどを確認することができる。基本的には移動・会話・調査を繰り返して情報とアイテムを集め、ゲームを進行させていく。また“五十嵐 龍之介”は、あちこちに置かれている幽霊が出現する鏡を木製バットで割ることができ、“稲荷 きつね”は“お札”を使って幽霊を撃退することが可能。“日野 鷹群”と“犬神 かん太”は幽霊に対する攻撃手段が一切なく、幽霊に遭遇したときは逃げ回るしかないので、最初のプレイでは選ばない方が無難だろう。

口の悪い“龍之介”だが“きつね”との仲はまんざらでもなさそう
口の悪い“龍之介”だが“きつね”との仲はまんざらでもなさそう

 グラフィックは2頭身のコミカルなものでBGMも特に用意されていないが、効果音を使った恐怖の演出が実によくできている。“部屋の張り紙に書かれたメッセージを読んだとき”“鏡を覗いて幽霊の声を聞いたとき”など、メッセージを読み終わって恐怖感がじわじわと込み上げたときにタイミングよく効果音を鳴らしてくれる。またゲーム中は、ゲーム開始当初からモンスターがプレイヤーを追い回したりするのではなく、少しずつプレイヤーの周囲を異質なものが取り巻き、徐々にプレイヤーの不安と緊張を募らせていくという、まさに恐怖の本質をついた演出がなされている。こういった演出をいくつも積み重ね、プレイヤーの頭の中に異様な空間が出来上がったところであっと驚くイベントが発生するという、じわじわと積み重なった恐怖感が一気にはじけるタイミングは絶妙といえるだろう。

 本作品で1人分の物語をクリアするために必要な時間は約1時間。ホラー作品を集中してプレイするには適度な長さだ。また、各キャラクターの物語にはさまざまなエンディングが用意されているので、同じキャラクターで何度もプレイしたり、毎回違うキャラクターを選択して物語の真相に迫っていくのもよいだろう。小説には短編という分野があるが、「おばけ屋敷探検隊」はまさに名作短編ゲームと言っても過言ではない。

右にはボロボロの人形、左には半開きのタンスが……   “お札”を投げて鬼火を退治する“きつね”
右にはボロボロの人形、左には半開きのタンスが……   “お札”を投げて鬼火を退治する“きつね”

【著作権者】ななえ 氏
【対応OS】(編集部にてWindows 2000/XPで動作を確認)
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】-(03/10/20)
【ファイルサイズ】692KB

□ねこふろしき
http://www.c-able.ne.jp/~mode/fneko/

(藤井 宏幸)


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