Winゲームデモ!
 

【最終回】

リアルタイムストラテジー「Empire Earth」

見よ、人類はかく戦えり!!

(01/10/31)

タイトル画面

 筆者がこの作品を初めて見たのは、2000年5月に開かれたE3の会場でのこと。シエラのブースでひときわ注目を浴びていたのが、「Empire Earth」だった。一見「Age of Empire」のようなスタイルなのだが、よく見ると戦闘機や爆撃機が飛び回っている。その後ゲーム中の時代はどんどん進み、モビルスーツのような機動兵器や熱核兵器が使われるようになると、集まっていたギャラリーから驚きの声が漏れた。スピーディな展開とユニットのおもしろさ。「Age of Empire」をもっと派手に演出した、メリハリのある魅力を感じた。あれから1年半。ずいぶん待たされたが、ようやくデモ版が一般公開された。今回はその「Empire Earth」を紹介しよう。

戦争の歴史を再現した壮大な作品

 「Empire Earth」は、リアルタイムストラテジーの定番「Age of Empire」をデザインしたゲームデザイナーのひとり、Rick Goodman氏の最新作だ。「Age of Empire」とは別の作品だが、ほぼ同じ操作感とデザインを踏襲している。戦闘の舞台となるのは人類が火を発見した紀元前50万年から、青銅器時代、中世、現代、そしてナノテク兵器や反重力兵器が登場する未来まで。血にまみれた人類の歴史をそのままゲームにした壮大な作品だ。14の時代区分、100種類以上の文明、200種類以上のユニットと、とにかく何もかもがケタ外れ。あらゆるシチュエーションの戦いをパソコン上で再現することができる。

無段階ズームがキモチいい

 デモ版を起動したら、まず先に環境設定を済ませてしまおう。メインメニューから“Game Setting”をクリックして、解像度とグラフィックオプションを指定する。3D表示はDirect3Dを使うが、ハードウェアT&Lに対応したビデオボード(GeForece2など)を使っている場合は“Direct3D TnL”モードを選ぶこともできる。

メインメニュー。デモ版ではシングルプレイを試すことができる 用意されているのはチュートリアル4本と、独立したシナリオ2本の計6本だ
メインメニュー。デモ版ではシングルプレイを試すことができる 用意されているのはチュートリアル4本と、独立したシナリオ2本の計6本だ

 “OK”ボタンをクリックしてメインメニューに戻ったら、今度は“Single Player”をクリックしてシナリオ選択画面に入る。このデモ版には4本のチュートリアルを含む6本のシナリオが用意されているので、その中から好みのものを選ぼう。表示されている中では、下のものほど難度が高いようだ。プレイしたいシナリオを選び、“Start”ボタンをクリックするとブリーフィング画面が表示される。シナリオの背景と時代設定、目的についてまとめられているので、軽く目をとおしておくこと。この画面はプレイ中にいつでも表示することができるので、完璧に覚える必要はない。画面右下の緑色のチェックマークをクリックすると、いよいよプレイ開始だ。

 ゲーム画面は「Age of Empire」や他のリアルタイムストラテジーと同じ、クォータービューが使われている。操作方法も同じだ。このあたりは作品のタイトルに関係なく、ほぼスタンダードとして固まってきた、ということなのだろう。マウスの左クリック、もしくは範囲指定でユニットを選択し、移動させたい場所や攻撃したいユニットを右クリックすればいい。選択されたユニットには、ヒットポイントの残量が緑色のゲージで表示される。

プレイに入る前に全体のマップと目的を確認 無段階でズームイン/ズームアウトできるところが「Empire Earth」の特徴
プレイに入る前に全体のマップと目的を確認 無段階でズームイン/ズームアウトできるところが「Empire Earth」の特徴

 「Empire Earth」のユニークなところは、無段階でユニットや建物にズームできる点だ。マウスのホイールを向こう側に回転させると、カメラがグイッと目標に接近し、あたかもその場所に立っているかのような視点で眺めることができる。この感覚はなかなかおもしろい。

兵士を生産して敵の侵入に備えよ!!

 ではまず、最初のチュートリアル「Tutrial - Combat and Defense」から始めてみよう。このシナリオではコンスタンチン軍を指揮して部隊の生産と編成、そして実際の戦闘方法について学ぶことができる。

画面表示や操作方法は「Age of Empire」によく似ている
画面表示や操作方法は「Age of Empire」によく似ている

 プレイが始まると、マップの中央部分に“Byzantium”の街が表示される。ほとんどが赤色の建物、つまりプレイヤーが直接指令を与えることができない建物だが、街の東に青色の建物が1軒ある。ここがコンスタンチン軍の“Barracks(兵舎)”だ。建物をクリックすると“Phalanx(重装歩兵)”の生産ボタンが表示されるので、これを5回クリック。生産された兵は“Barracks”の前に集合するので、これをマウスの範囲指定で選択し、街の西側から侵入してきた“Isaurian Hill Tribes”の騎馬兵と戦わせよう。倒したい敵を選んで右クリックすれば攻撃を仕掛けられる。同じように“Barracks”で“Short Sword(剣士)”、“Archety Range(弓の訓練所)”で“Chariot Archer(弓戦車)”を生産して侵入者を撃退する。なおこれは実戦ではなくチュートリアルなので、わかりやすくするため、練習に必要なユニットしか操作することができない。

投石器を使って敵の城壁を粉砕せよ!!


 ひととおり戦闘が終わったら、“Byzantium”の市民に命令して、都市の周りをぐるりと囲む“Wall(城壁)”を築く。とくに場所は定められていないが、比較的スペースのあいている街の西側の方が直線的に築けて楽だろう。“Wall”が完成したら、“Wall”の直線的な部分に“Gate(城門)”を開け“Tower(塔)”を2つ立てる。

 次に、街の東側、河に面した場所にある“Siege Factory(兵器工廠)”で、攻城兵器を生産する。“Siege Factory”で生産できる兵器は時代、そして文明レベルによって変わるようだが、ここで作ることができるのは“Stone Thrower(投石器)”と“Catapult(カタパルト=大型の投石器)”の2種類だ。それぞれ2台ずつ、計4台を生産したら、港に停泊している“Transport(輸送船)”に乗せて、街の南東にある“Nicomedia”へ移動する。接岸したら“Stone Thrower”と“Catapult”を上陸させて、“Nicomedia”の城壁を破壊すればシナリオ終了だ。順調に進めば、ここまでで40分程度で終わると思う。

 チュートリアルはまだ3本残っていて、資源の採掘や街の育成方法、馬の使い方などを学ぶことができる。メッセージがすべて英語であるところが痛いが、青色で表示されている建物やユニットを順に動かしていけば、だいたいはうまくいくはずだ。

“敵味方が入り乱れて戦う様を、戦場からの視点で眺めることができる
敵味方が入り乱れて戦う様を、戦場からの視点で眺めることができる

時間を忘れるおもしろさ

“Prophet(預言者)”の地震と火炎攻撃で、敵の神殿を破壊する
“Prophet(預言者)”の地震と火炎攻撃で、敵の神殿を破壊する

 チュートリアルがメインだが、なかなかおもしろい。表示されるメッセージを読みながら部隊を編成し、戦い、街を育てていると、時間の流れを忘れてしまいそうだ。部隊生産や建築の速度が速めに設定されているせいか、ゲーム全体のテンポもよく、リアルタイムストラテジーが好きな人なら文句なしで楽しめるのではないかと思う。3D空間をズームした映像は、実用性という点ではほとんど役にたたないものの、戦闘シーンを間近で眺められるのは楽しい。

 それにしても感慨深いのは、ゲームデザイナーから次のゲームデザイナーへと続くイマジネーションのつながり、いや広がりだ。「Age of Empire」のデザインをしたEnsemble StudiosのシニアデザイナーBruce Shelley氏は、かつてSid Meier氏と共に「CIVILIZATION」をデザインしたと聞く。そのBruce Shelley氏と共に「Age of Empire」をデザインしたRick Goodman氏が、今度はこの「Empire Earth」を生み出した。ひとつのすばらしいゲームが次のゲームにつながり、ひとりのゲームデザイナーが次のゲームデザイナーを触発するという“正の連鎖”が続いていることが、なんだかたまらなくうれしい。

日本語マニュアル付き英語版は11月22日に発売の予定

「The War Against Napoleon」。イギリス軍を指揮してフランス軍と戦う 「Cavalry of the Sky」。ロシア領ポーランドに墜落したドイツ人パイロットを演じる
「The War Against Napoleon」。イギリス軍を指揮してフランス軍と戦う 「Cavalry of the Sky」。ロシア領ポーランドに墜落したドイツ人パイロットを演じる

 デモ版では古代ローマを舞台にしたチュートリアル4本と、イギリス軍を指揮してナポレオン率いるフランス軍と戦う「The War Against Napoleon」、第一次世界大戦のドイツ空軍パイロットを演じる「Cavalry of the Sky」の6本を試すことができる。それぞれのミッションは短めだが、このゲームの世界観、そして時代によって変わる兵器や戦い方を体験することができるはずだ。製品版は、2001年11月22日に日本語マニュアル付きの英語版が、カプコンから発売される予定。価格は8,800円(税別)。完全日本語版の発売は2002年春に予定されているが、価格等は未定とのこと。とても おもしろいゲームなので、完全日本語版の早期発売を期待したい。

(0041800002.exe、86.2MB、ゲームデモ)

□「Empire Earth」のホームページ
http://sierrastudios.com/games/empireearth/
□「Empire Earth」日本公式ページ(カプコン)
http://www.capcom.co.jp/empireearth/
□「Empire Earth」のダウンロードページ
http://gigex.com/GetPackage/GetPackage.ASP?PackageId=0041800002&source=00

 さて、【Winゲームデモ!】は今回が最終回となります。長い間お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。いつか機会があれば、ぜひまた皆さんに良質な、そして楽しめるデモ版をご紹介したいと思っています。ではまた。

(駒沢 丈治)


(C)2001 Sierra On-Line, Inc. All Rights Reserved. Sierra, the "S" logo and Empire Earth are trademarks and/or registered trademarks of Sierra On-Line,Inc. Stainless Steel Studios is a registered trademark of Stainless Steel Studios. All Rights Reserved. Any other company name and/or products are the property of their respective owners. TM designates trademarks registered in the U.S.A., which may be registered in other countries.
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