【第20回】

初心者シンドローム(前編)
~あなたのオンラインソフト初心者度~

(01/07/23)

 パソコンを初めて買ってから間もない人が“パソコン初心者”と呼ばれるように、オンラインソフトにおいても“オンラインソフト初心者”と呼ばれる層がいるのではないだろうか。一見似ているが、必ずしもパソコン初心者=オンラインソフト初心者、ではない。パソコンに関しては初心者でなくても、オンラインソフトに関しては初心者という人はたくさんいるはずだ。なぜなら、オンラインソフトには独自の概念や慣習、ルールといった“文化”があり、これを理解しないとたとえパソコン資格検定の何級に合格していようが、さまざまな場面で壁に突き当たる可能性があるからだ。

 今回のよもやま話は、そんな“オンラインソフト初心者”について考えてみたいと思う。オンラインソフトの初心者はどういう人なのか、初心者から早く卒業するための方法、そして身近にいる初心者を早く卒業させる方法など、あれこれと考察してみよう。

いくつ当てはまる?

 「あなたはオンラインソフト初心者ですか?」という質問に、胸を張ってNOと答えられる人はどれくらいいるだろうか。もちろんここで言う“オンラインソフト初心者”の定義には、一般的にこうと決まったものはないので、主観的なイメージになってしまうのだが、ぼくが考える“オンラインソフト初心者”のイメージとして次のチェック項目をあげておこう。

ダウンロード・解凍・インストール、どれか1つでも意味がわからない
ダウンロード・解凍・インストール、どれか1つでも意味がわからない
自分一人でダウンロードして使ってみたソフトが、現在までに計10本以下だ
使ってわからないことはすぐ周囲の誰かに聞くか、作者にメールで聞く
ソフト作者にメールしたり、サポート掲示板にカキコミをしたことがない
ソフトの起動時に何かエラーメッセージが出たら、使うのを諦めるほうだ
説明書を読む前に、とりあえず起動してみることが多い
ハードディスクのバックアップをとったことがない
ソフトのアンインストールのやり方がわからない
ウイルスチェックを自分でしたことがない
洋服や靴のように、シェアウェアも値段の高いものほど品質がいい

 この10項目のうち、「YES」だと思う項目が5つ以上あれば、明らかな“オンラインソフト初心者”と思われる。3つ以上でも、初心者の域をまだ脱し切れていないと言っていいだろう。また、自分は1つもあてはまらなくても、あてはまりそうな人が身近にいるという読者は意外と多いかと思う。

 誰でも最初はオンラインソフト初心者だとはいえ、初心者のままでいることは決して自慢できることではない。早く卒業するに越したことはないし、また身近にそうした初心者がいるなら、早く卒業させてあげたほうがいい。では、どうすれば初心者を卒業できるだろうか。

オンラインソフトの基本

 その前に、オンラインソフトの基礎知識が頭に入っているかどうか、念のため改めて簡単に確認しておこう。オンラインソフトとは、最近は主としてインターネットやパソコン通信などのコンピューターネットワークを介して(=オンラインで)入手できるソフトウェアの総称とされる。大きくわけて、無料で自由に使うことができるフリーソフトと、お試しは無料でも一定の試用期間の後に料金を支払う必要のあるシェアウェアとがある。

 オンラインソフト、特にフリーソフトの多くは、作者の厚意で公開されており、使うほうも無料だからとか安価だからといって使いっぱなしにせず、できれば作者にお礼のメールを書いたり、不具合や今後の要望を伝えるなどするようにしたい。オンラインソフトは一般に、ユーザーからの声を反映して成長していくものだからだ。ただし、そうしたユーザーとのコミュニケーションを作者が求めていない場合もあるので注意。サポート窓口は特定の掲示板に限っているなど、ソフトに同梱の説明書に明記されているときは、その指示に従おう。

 なお、オンラインソフトは一般に、ユーザーの自己責任の範囲内で利用することが前提になっている。使ってみたオンラインソフトのバグのせいで大事なデータファイルが万一破損した場合でも、作者はソフトのバグを修正してくれることはあっても、破損したデータを修復したり弁償してくれるわけではない。従って、自分の身は自分で守るという姿勢も大切だ。定期的にハードディスクのバックアップをとって、いざというときでも自分で復旧できるようにしておきたい。

自分で調べる方法を身につける

 さて、オンラインソフトを使っていて、何かわからない言葉や用語が出てくることはよくある。特にオンラインソフトに触れて間がない初心者であれば、最初は知らなくても当然だ。しかし、初心者だから、わからないからといって、何でも安易に誰かに聞いてしまうようでは、なかなか初心者から抜け出すことはできない。いつも聞かれる相手も、内心迷惑に感じているかもしれない。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざは、わからないまま放置するくらいなら聞いて教えてもらうほうがマシという意味であって、一時の恥も一生の恥も、恥であることには変わりない。できれば自分の力で調べて理解できるようになるのが一番だ。

 そのためにはまず、わからない用語を調べる方法を覚えよう。そして自分で調べてみる癖をつけたい。ソフト独自の特殊な用語なら、ソフトのヘルプファイルの中に“用語集”が用意されていることもあるが、一般的にはYahoo!などの検索サービスで調べてみるのがいいだろう。また、「用語集」という言葉で検索サービスを検索すれば、用語の意味を調べられるサイトがたくさん出てくる。パソコン関係の用語集サイトをIEの“お気に入り”に登録しておくのがオススメだ。

 また、オンラインソフトを使う上でぜひとも理解しておきたい用語は、窓の杜でも詳しい解説つきの用語集を連載している。これにも目を通しておこう。

□窓の杜 - moridas ~窓の杜使いこなし用語集~ INDEX
http://www.forest.impress.co.jp/article/moridas.html

ソフトを試すまでの手順を覚えよう

 オンラインソフトには、画像系のソフトや音楽系のソフト、文章を書くためのソフト、Windowsの操作性をよくするソフトなど、実に多種多様なものがある。しかし、どのオンラインソフトにも共通しているのが、ソフトのダウンロードと、ソフトを最初に起動するまでのインストール作業だ。オンラインソフトのインストール作業は大きく分けてインストーラーを使う場合と使わない場合の2種類があるが、手順を間違えると本来発生しないようなトラブルに見舞われることも多いので気を付けたい。

 窓の杜やベクターのソフトライブラリ、作者のホームページなどで入手したいオンラインソフトを見つけたら、まずは配布ファイルのダウンロードを行う。このとき、わかりやすいフォルダにダウンロードしたファイルの保存をするといいだろう。ダウンロードしたファイルは一般に圧縮された状態になっており、解凍という作業が必要になる。これには「Lhasa」など解凍用のソフトを使う。また、配布ファイルの中には実行可能なプログラムになっていて、実行すれば自動で解凍されるものもある。

 解凍しただけではまだソフトを使うことはできず、ソフトを使える状態にするインストール作業を行う。このときのポイントは、解凍して現れたいくつかのファイルの中に“README”とか“読んでね”といった名前の説明書ファイルがないかどうか、まず探すことだ。説明書を開けば、たいてい正しいインストール方法が記載されている。また、インストール中に何かエラーが発生した場合でも、対処方法が記載してあることもある。説明書の代わりにヘルプファイルに詳しく書いてある場合もある。

説明書が見あたらない!?

 もし配布ファイルを解凍しても説明書もヘルプファイルも見あたらない場合は、あわてずに“SETUP”とか“INSTALL”といった名前のついたインストール専用プログラム(インストーラー)を探そう。これを実行すると対話式にインストール作業を始められる。説明書もインストーラーも見あたらないというオンラインソフトはほとんどないが、もしその場合は、プログラム本体をそのまま実行すればいい。ショートカットを自分でスタートメニューなどに登録し、起動しやすくしておくとさらにいいだろう。

 なお、同梱の説明書があっても読まずにすぐプログラム本体を実行してしまう人をしばしば見かける。しかしよほどオンラインソフトに慣れていて自分でトラブル対処ができる自信のある人以外は、説明を読まずに実行することは避けたほうがいい。正しい手順でインストールしないと正しい動作をしないソフトは多く、後で動作不具合が起きた場合に、その原因がインストール方法によるものか、ソフト自身のバグによるものか、判断がつかないからだ。やはり焦らず説明書を先に読む癖をつけたい。

恵まれている今の“初心者”

 余談になるが、最近のオンラインソフトは、インストーラーやウィザード付きなど、実によくできているものが多い。インストール作業は昔に比べるとずいぶんラクになっていると思う。その意味ではインストール作業をマスターして“オンラインソフト初心者”を卒業するのはそう難しいことではないはずだし、むしろぼくからすれば『昔はINIファイルをメモ帳で注意深く書き換える必要があったりして、インストール作業ってのはもっともっと大変だったのに、今からオンラインソフトを使う人はずいぶん恵まれてるよなぁ』と思うのだが…。あと5年もすれば、オンラインソフトのインストール作業というのは、必要なくなっていたりするんだろうか。

 次回のよもやま話では、オンラインソフト初心者が陥りやすいトラブルの原因と対策、さらに、身近にいるオンラインソフト初心者を上手に初心者から卒業させる方法などについて書く予定だ。

(ひぐち たかし)

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