【第14回】

個人で楽しむ動画配信(前編)
~TVチューナーカードで録画三昧 ~

(01/06/11)

パソコンでTV番組を録画する

小型のTVチューナー付きキャプチャーカードを活用
小型のTVチューナー付きキャプチャーカードを活用
 最近ぼくは、動画のハードディスクレコーディングにはまっている。USB接続でポータブルタイプのTVチューナー付きキャプチャーカードを今年2月にネット通販で購入して以来、ノートパソコンにせっせと録画している毎日なのだ。それまでは『録画なんて別にパソコンでやらなくても、専用のビデオ機器でやればいいだろう』とずっと思っていたのだが、価格と手軽さにひかれて衝動買い。それ以来、3カ月経った今ではもう手放せないでいる。

 メインで使っているノートパソコンにTV番組を録画できるということは、録画した番組を旅行や出張の際に新幹線の中ででも見ることができるし、タイマー録画しておいたニュース番組などを仕事のちょっとした合間にサッと見ることもできるということだ。特に最近は個人的に政治関連のニュースから眼が離せないでいるので、早朝の朝刊チェック番組などを録画しておいて、時間のあるときに1.5倍速で再生しながら興味のあるニュースだけを拾うという使い方をして、時間の節約になっている。

 そこで今回のよもやま話は、こうした動画ファイルにまつわる話と、これからやってくるブロードバンド時代における動画の楽しみ方や扱い方などについて、あれこれと書いてみようと思う。

オンラインソフトで予約録画

 さて、ぼくが購入したキャプチャーカードに付属していたソフトは、MPEG-1の動画形式で録画するようになっている。標準設定だとMPEG-1での録画1分あたり約10メガバイトを使う。TVの1時間番組なら約600メガバイト、CD-Rならほぼ1枚分だ。手持ちのノートパソコンには現在約4ギガバイトの空き容量があるので、約6時間とちょっとの連続録画ができることになる。

Windows Media Encoder 7.1でWMV作成
Windows Media Encoder 7.1でWMV作成
 一方オンラインソフトの世界では、「Windows Media Player」で再生できる最新の動画形式、“Windows Media Video”(WMV)でTV番組を録画できるソフトが登場している。4月に窓の杜のニュース記事でも取り上げられたソフト「ぱそび!」では、TVチューナーカードで受信した映像をWMV形式でハードディスクに保存でき、インターネットTVガイドのホームページにある“iEPG番組表”を使った予約録画なども簡単にできるのが特長だ。ただしWMV形式のファイルを作成するためには「Windows Media Encoder 7.1」が必要になる。

 WMV形式は圧縮率が高く、ダウンロードしながら再生するストリーム再生にも適している。またビットレートを抑えてエンコードすることで、画質は劣るものの再生に必要なCPU負荷を下げ、アナログモデムのような低速な回線帯域でもスムーズに再生できるようにすることも可能だ。ビットレートが低いとファイルサイズも小さくなるので、同じハードディスクスペースでもより長時間の録画ができる。標準のMPEG-1ではすぐにハードディスクの空きがなくなってしまうという人なら「ぱそび!」を使ってみるのもいいだろう。

 ただ、「ぱそび!」はTVチューナーカードとの相性があるようで、うまく録画できない場合もあるようだ。残念ながらぼくの購入したカードでも、一部のチャンネルでチューニングが正しくできず、正常な映像の録画はできなかった。また、6月11日現在「ぱそび!」は作者の都合で公開を一旦中断しているようだ。

動画のインターネット配信に挑戦

 一方、キャプチャーカードにはビデオ入力端子もあるので、デジタルビデオカメラなどで録画した映像をパソコンに取り込むことも簡単だ。試しに昨年家族で旅行したときのビデオをMPEG-1に録画してみたが、チューナーソフトのチャンネルをビデオ入力に変えるだけで、あとは普通のTV番組と同じ感覚で録画できた。こうなると次はこの映像を誰かに見せたくなってくる。いわゆる動画配信にチャレンジだ。

 ただしもちろんテレビから録画したものをホームページなどで公開するのは、著作権の問題があり、著作権者の許可が必要だ。たとえ無料で受信できる地上波であっても、テレビ番組の二次使用は原則的に無理だと思っていい。ホームビデオで自分で撮影した映像ならそういった問題はないが、それでも公序良俗に反していないかなど、映っている内容にも十分注意しなければならない。これは動画に限らず言えることだ。それを踏まえた上で、個人で動画の配信を楽しむ方法をここでは考えてみたい。

配信方法はさまざま

 最も簡単に動画を配信する方法は、動画ファイルをJPEG画像などと同じようにホームページにアップロードして、見に来てくれた人にダウンロードしてもらうという方法だろうか。アップロードした動画ファイルにHTMLファイル内からリンクを張って「ここをクリック!」などと書いておくというやつだ。しかし先に書いたように、標準画質で録画したMPEG-1の動画などは、1分で約10メガバイトにもなり、巨大この上ない。公開したい旅行のビデオは30分くらいだから約300メガバイトもあるし、契約しているプロバイダーで使える個人ホームページスペースはそもそも10メガバイトくらいしかないのだから、そのままではいくらなんでも無理。

 そこで、MPEG-1ではなくインターネットでの動画配信に適した動画形式を使う必要がある。上述の「Windows Media Encoder 7.1」を使って作成できるWMV形式のファイルなら、MPEG-1よりもファイルサイズを小さくでき、「Windows Media Player 7」があれば簡単に再生できるわけだ。ダウンロードしながら逐次再生するストリーム再生ももちろん可能。画質を犠牲にすれば64kのISDNや28.8kのアナログモデムでもストリームで再生できるし、最近話題のブロードバンド環境ならそれ相応の高画質でストリーム再生できるはずだ。

 そしてもう一つの動画配信方法は、ライブ放送という形式があげられる。ライブ放送では一旦ファイルに保存することなく、受信映像をそのままリアルタイムに圧縮してネット上に流すことになる。そのため何時間という映像でも、それを保存しておく巨大なハードディスクスペースは不要だ。そのかわり、視聴する側がいつでも見たいときに最初から見るという“オンデマンド”の配信には向いていない。

実際にやってみると?

 ということで、友達に協力してもらいながら上記2種類の形態での動画配信というものをやってみたのだが、思ったより簡単だったとはいえ、そこでいろいろな問題や疑問に直面することになってしまった。次回のよもやま話では、個人で行う動画配信の実際と、その面白さや可能性、さらにこれからブロードバンド時代を迎えて発生してくるであろう諸問題などについて、考察してみたいと思っている。

□テレビ番組録画ソフト「ぱそび!」v0.15βが公開
http://www.forest.impress.co.jp/article/2001/04/16/pasovi.html

(ひぐち たかし)

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