特集


オンラインソフトのCADで図面を描いてみよう!

初心者向けから業務で使える本格派まで一挙に紹介

(01/02/20)

 CADとは、Computer Aided Designの略で、コンピューターを利用して機械・電気製品などの設計を行うこと。もはや手書きの設計図面などほとんど見かけなくなったが、設計当初からCADが利用されているかといえば、実際には清書としてCADソフトを使っている事業所も多い。CADソフトは難しいというイメージをもつ人が多いが、慣れると使い道は多く、たとえば筆者の勤務する事務所では、座席表や部屋のレイアウトをCADソフトで作成しておき、人事異動や配置換えを行った際に簡単に修正できるようにしている。このように、図面の再利用ができるのもCADソフトを利用するメリットだろう。今回の特集では、初心者がとっつきやすいものから業務に耐えうる本格派まで、6本のCADソフトを紹介しよう。

■ CADソフトの基礎知識

 オンラインソフトのCADソフトと言えば、DOS版の「JW_CAD」が有名だ。リリース当時、他のCADソフトが高額であったのに対し、「JW_CAD」はフリーソフトでかつ高機能だったため、多くのユーザーに利用されるソフトになった。このため、Windows版のCADソフトでも、「JW_CAD」のデータ形式であるJWCファイルの読み込み・保存に対応していることがほとんどだ。また、CADソフトを利用する事業所などが、仕事で作成したデータを取引先に渡す場合や、メーカーが自社製品のCADデータを配布する場合は、主にDXFファイルが利用されている。CADソフトを選ぶ場合は、この2つのファイル形式をサポートしているかどうかが重要だ。

 また、CADソフトには主にコマンドを実行するとサブコマンドが出てくるタイプと、すべてのコマンドがアイコンで表示可能なタイプの2種類がある。サブメニューが出てくる方が画面や操作性がすっきりしており、初心者にはお勧めだ。また、CADソフトの特長といえば、なんといっても独特なレイヤーを使用するところだろう。一つのファイルには複数のレイヤーが存在し、それを重ね合わせることにより一枚の図面となる。構造物、文字、寸法などの要素を別々のレイヤーに書いておくことによって、要素をまとめて非表示にしたり、線の色や太さなどの属性をまとめて変更することが可能になる。

■ とっつきやすい初心者向けのCADソフト

シンプルで初心者におすすめな「MilkyCAD for Windows」

「MilkyCAD for Windows」  「MilkyCAD for Windows」は、作図コマンドのアイコンをクリックするとサブメニューが出てくるタイプの汎用2次元CADソフトだ。画面上に重要度の高いアイコンのみが配置され、常時画面の左下に親切なガイドが表示されるため、次に何をすればよいか戸惑うことがない。扱えるレイヤーの数は10までと少ないが、作図エリアの下部にあるアイコンでレイヤーの切り替えを簡単に行うことが可能だ。選択レイヤー以外の図形はグレーで表示され、区別しやすい。基本機能に絞っている分、初心者にも扱いやすく、CADソフトの入門用として使うのにおすすめだ。データファイルは独自のMLK形式、DXF形式の読み込み・保存と、JWC形式の読み込みに対応している。

【著作権者】Moonsoft Inc.
【ソフト種別】シェアウェア 4,200円
【バージョン】2.05.00.11

□ソフト&サウンド STUDIO MOON
http://www.kashow.com/

ドローソフトのような操作性の「LilliCad」

「LilliCad」  「LilliCad」は、Microsoft Officeに似たツールバーをもったクセのないインターフェイスが特長の二次元CADソフト。ドローソフトのような感覚で利用できるため、初心者にも使いやすい。レイヤーを作図エリア下部のタブで切り替えるためわかりやすい。レイヤーの作成数や操作のアンドゥ回数は、使用しているパソコンのメモリに依存するため、ほぼ無制限。起動と同時に用紙サイズと縮尺を設定する点や、マウスをポイントしたツールアイコンの機能説明と次に行う操作がすべてステータスバーに表示される点がわかりやすい。ファイルの読み込みは独自のLCD形式の他、DXF形式、XDF形式そしてJWC形式に対応しており、保存ではLCD形式、DXF形式、JWC形式および拡張メタファイルであるEMF形式にも対応している。また、「JW_CAD」の部品であるJWK形式を部品ファイルとして使用することが可能だ。

【著作権者】らん ゆうじろう 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.4.8(00/08/07)

□らんゆうソフト
http://www.pluto.dti.ne.jp/~ran-yu/

■ アイデアを凝らした個性派CADソフト

大きなツールアイコンが特長の「PC定規」

「PC定規」  「PC定規」は操作性を重視した2次元CADソフトだ。コマンドアイコンが大きく、数が絞られているいるため、画面がすっきりしており操作しやすい。コマンドを実行するとメニューバー下の操作ガイドが表示されるほか、選択が必要な場合は操作ガイドの右側にサブメニューから選択すればよい。同時に2枚の図面を開き、ボタン一つで切り替えながら並行して編集することが可能で、他図面の部品をコピーする場合などに便利だ。基本的なコマンドは一通り揃っており、座標値を入力してのプロット機能や標高地の自動変更機能などユニークな機能も備えている。また、図面全体をBMP形式でコピーすることが可能で、ワープロソフトなどに貼り付けることも簡単に行うことができる。ファイルの読み込みは独自のPCJ形式のほか、DXF形式、JWC形式、TXT形式、CSV形式に対応し、保存はPCJ形式、DXF形式、JWC形式およびBMP形式で保存することが可能だ。

【著作権者】大里 仁志 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】3.24(01/02/12)

□O.M.S Internet Home Page
http://www.lucksnet.or.jp/~omsid1/

部品登録機能が充実している「AD-CADライト」

「AD-CADライト」
 「AD-CADライト」は、部品登録機能が特長の汎用2次元CADソフトだ。部品ライブラリにはあらかじめキッチンやバスなどといった建築用意匠部品のサンプルが登録されている。複数の部品を一覧表示させて挿入する部品を選択できるほか、部品選択時に簡易編集や挿入基点の選択、挿入部品のレイヤーやペン選択などが可能だ。部品ファイルは、独自のAOC形式のほか、DXF形式、JWC形式、さらにはJWK形式を扱うことができる。また、図面ファイルの読み込み・保存は独自のADC形式とJWC形式、DXF形式に対応している。「AD-CAD」には、ライト版のほか、さらに機能の充実したスタンダード版や建築向けに特化したアーキ版があり、必要に応じてステップアップして利用することも可能だ。

【著作権者】率然エレクトロニクス(株)
【ソフト種別】シェアウェア 6,400円
【バージョン】3.5(01/01/31)

□AD-CAD
http://www.sotsuzen.com/

■ 広範な業務に耐えうる本格派CADソフト

“クロックメニュー”が斬新な「Jw_cad for Windows」

「Jw_cad for Windows」
 「Jw_cad for Windows」は、DOS版で人気を博したフリーの二次元汎用CADソフト「JW_CAD」のWindows版。データの互換性を維持したまま、Windowsソフトらしい操作性に変更された。“クロックメニュー”という操作方法が特長で、作図ウィンドウ上でマウスをドラッグすると時計のマークが出現し、時計の針の方向に応じて12種類のコマンドを使い分けることができる。“クロックメニュー”はマウスの左右クリックに別々のコマンドを割り振ることが可能で、サブメニューもあるため、最小限のマウス移動で多様なコマンドの実行が可能だ。汎用CADではあるが、建築分野向けの機能が多く、[日陰図]や[建具]といったコマンドもある。また、線分の間に様々な記号を挿入できる[線変形]コマンドや、外部プログラムにデータを渡して加工させる[外部変形]コマンドにも対応している。[外部変形]コマンドでは「JW_CAD」用のマクロをそのまま使うことが可能だ。扱えるファイル形式はWindows版独自のJWW形式とDOS版JW_CADのJWC形式の読み込み・保存と、DXF形式の読み込みだ。もちろん「JW_CAD」の部品データであるJWK形式にも対応している。

【著作権者】清水 治郎 氏、田中 善文 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.16(01/01/21)

□JW_CAD for Windows(建築資料館)
http://www.ath-j.com/jw_win/
□窓の杜 - Jw_cad for Windows
http://www.forest.impress.co.jp/library/jwcad.html

フリーソフトでありながら高機能で本格派な「HO_Cad」

「HO_Cad」  「HO_Cad」は、「JW_CAD」ライクなユーザーインターフェイスをもった二次元CADソフトだ。DOS版「JW_CAD」の再現性は、「Jw_cad for Windows」よりも高い。作者が実際の業務で使用しているため、実践的で気の利いたコマンドを多く備えている。たとえば測量コマンドでは座標の管理、トラバース計算、逆トラバース計算などに関するコマンドがあり、本格的に業務に使うことも可能だ。また、文字入力のコマンドが充実している。通常の文字入力の他、任意のフォントが選べる[ワンポイントフォント]、テキストファイルも扱える[メモ帳モード]、表が簡単に作成できる[表作成]など、様々な入力スタイルが用意されている。また、「JW_CAD」の外部変形マクロや部品ファイルがそのまま使用できる点も見逃せない。ファイルの読み込み・保存は独自のHOC形式のほか、DXF形式とJWC形式に対応している。

【著作権者】岡崎 宏之 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.70(00/01/14)

□HO_Cad
http://www.urban.ne.jp/home/hiroshio/

(M's)

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