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フリーで高機能な汎用2次元CAD「Jw_cad for Windows」v2.12

クロックメニューなど、マウス操作だけで多彩なコマンドが実行可能

(00/11/28)

DOSの定番CADソフトがWindows版に

 DOS版で人気を博したフリーの二次元CADソフト「JW_CAD」は、現在でも人気が衰えず、建築・土木・機械等の分野でいまだに現役で活躍している。今年に入り、この大人気CADソフトのWindows版が正式にリリースされ、現在まで意欲的なバージョンアップを重ねている。「Jw_cad for Windows」(以下「Jw_win」)は、DOS版の「手軽に正確な図面を描く」という特長を継承しつつ、Windowsらしい操作感をもたせた汎用二次元CADソフトだ。

シンプルなインターフェイスと操作方法

 起動後の「Jw_win」の画面はいたってシンプル。作図画面がウィンドウの中央に、左側に[作図]と[編集]ツールバー、右側に[メイン]と[レイヤー]のツールバーがそれぞれ上下に並んでいる。これらのツールバーは作図画面の上下に配置したり、フローティングで好きな場所に配置することもできる。ツールバーのアイコンは絵柄ではなく文字での表示がメインで、最近のCADソフトにありがちな、絵柄のアイコンが無数に並ぶツールバーとは異なったおもむきだ。ツールバーはプルダウンメニューの[表示]-[ツールバー]で、表示と非表示を切り替え可能だ。

 作図には、ツールバーまたはプルダウンメニューの[作図]や[編集]の中のコマンドを選択して進めていく。コマンドを実行すると、作図エリア下部のステータスバーに指示が表示され、作図エリア上部の“コントロールバー”に実行コマンドに対するオプションが表示される。このコントロールバーに寸法や角度などの情報を入力して、詳細な作図を進めていくことができる。

 レイヤー[*1]機能では、16レイヤーを1グループとし、16グループの計256レイヤーを使用できる。レイヤーツールバーの番号を左クリックすることにより、オブジェクトの読み取りと移動が可能な状態から、非表示状態、読み取りのみ可能な状態へと順次切り替わっていく。このとき、作図画面上にマウスカーソルを移動しないと切り替えが画面上に反映されないので注意が必要だ。また、作図するレイヤーを変更するには番号を右クリックすればよい。さらに書き込みレイヤーの番号を右クリックすれば、「レイヤー一覧」ウィンドウが表示され、どのオブジェクトがどのレイヤーに記述されているか確認できる。この様に、レイヤーに関する操作はDOS版JW_CADの操作性を引き継いだ格好となっている。

 作図に利用できるペン色・線種はそれぞれ8種類あり、これに加えて画面には表示されるのみで印刷されない補助線も利用できる。このほか、線種をプルダウンメニューの[設定]-[基本設定]で任意の線種を作成することが可能で、作図画面での表示と実際印刷される線種のピッチを別々に設定して、画面で確認しやすいように表示だけ太めにすることもできる。文字に関しては基本設定で文字の幅、高さ、間隔、色を10種類を登録しておくことができ、文字入力時に簡単に切り替えることが可能だ。また、文字入力では外部エディターとして、使い慣れたテキストエディターを登録して使用することや、テキストファイルの読み込みもでき、かなりの柔軟性をもっている。さらに、標準でビットマップの貼り付けに対応しており、SusieプラグインによってJPEGなど他形式の画像も読み込みできるようになる。

独自のマウス操作で作業効率を向上

 作図で頻繁に使用する画面移動やズームは、「Jw_win」独特の方法を採用している。たとえば、画面移動は作図ウィンドウでマウスの左右ボタンを同時にクリックし、移動させたい場所でボタンを離すと、その場所がウィンドウの中心になるほか、左右同時クリックして、そのまま右上にドラッグして離すと全体表示、右下なら拡大、左上なら縮小、左下なら前倍率といった感じに、マウスのみで多くの操作が可能になっている。さらに、[設定]-[基本設定]の[一般(2)]タブにてオプションを設定することにより、[矢印]キーでの画面移動や[PageUp]キーや[PageDown]キーを使った画面の拡大・縮小、[Home]キーを使った画面全体表示などDOS版と同様の操作も可能だ。DOS版では[スペース]キーで[Zoom]コマンドを利用できたが、残念ながらWindows版では利用できない。また、「Jw_win」では無制限のアンドゥ・リドゥがサポートされており、一回しかアンドゥできなかったDOS版と比べて作図がしやすくなっている。なお、キーボードを使用したアンドゥはWindows標準のショートカットキーの[Ctrt]+[Z]のほか、[ESC]キーを用いてワンボタンでの操作が可能だ。

 さらに、“クロックメニュー”と呼ばれる「Jw_win」独特の新しい機能が採用されている。作図ウィンドウ上でマウスをドラッグすると、時計のマークが現れてコマンドの名前が表示される。さらにそのままマウスを動かすと、時計の針の方向に応じて12種類のコマンドを使い分けることができる。選択したいコマンド名が表示されているときにマウスのボタンを離すと、そのコマンドが実行されるといった機能だ。クロックメニューは、マウスの左右それぞれのボタンによって別々のメニューが用意されているほか、サブメニューも用意されている。サブメニューは、マウスカーソルが時計のマーク上と作図ウィンドウを行き来するたびに切り替わる。クロックメニューを使いこなすには多少慣れが必要だが、クリックメニューだけで合計48通りのコマンドが実行可能になるため、最小限のマウス操作で作図の効率化が期待できるだろう。

過去のデータ資産の活用にも十分に配慮

 「Jw_win」でサポートしているファイル形式は、Windows版独自のJWW形式とDOS版JW_CADのJWC形式の読み書きと、CADデータの交換で最も広く使われるDXF形式の読み込みだ。また、JW_CADの部品データであるJWK形式にも対応しており、過去の資産も十分活用できるだろう。もちろん、線分の間に様々な記号を挿入できる[線変形コマンド]や、外部プログラムにデータを渡して加工させる[外部変形]コマンドにも対応している。[外部変形]コマンドに関しては、DOS版JW_CADで使用したバッチファイルをそのまま使用することが可能だ。サンプルで付属する「三斜計算マクロ」は、三角形のを指定し実行すると、面積を計算し求積表まで作成してくれるマクロだ。そのほか、建具を挿入する[建具]関係のコマンドや、[日陰図]、[2.5D]コマンド、円弧の丸面取りができる[面取り]コマンドなど、バージョンアップごとに新しい機能が追加されている。

【著作権者】清水 治郎 氏、田中 善文 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.12(00/11/18)

□JW_CAD for Windows(建築資料館)
http://www.ath-j.com/jw_win/


[*1]レイヤー
 一枚の図面を作る際に、構造物、寸法、文字列など性格の異なる要素を別々に記述する階層のようなもの。不要な要素をまとめて非表示にしたり、要素の縮尺やペン設定などをレイヤー単位でまとめて変更することができる。

(M's)

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