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将棋の杜 ~いろいろなルールの将棋を楽しもう~

オンラインソフトで練習を積めば坂田三吉のように指せる!?

(00/11/21)

 『将棋の日』というのをご存じだろうか。江戸時代、将棋好きだった八代将軍徳川吉宗が毎年11月19日に「御城将棋」を開いたことから、日本将棋連盟が昭和50年にこの日を『将棋の日』と制定した。このように将棋は日本人になじみが深いので、日本古来のゲームと思っている人もいるかもしれない。実は将棋は紀元前に古代インドで生まれ、東南アジア、中国を経て日本に伝来したものというのが近年の研究で明らかになっている。そのため、ルールや駒などが全く違う海外版の将棋や、国内でも若干ルールが違うものが存在し、日本で一般的に将棋といわれるものは“本将棋”と呼ばれて区別されている。そこで、今回はいろいろな将棋の楽しみ方を味わえるオンラインソフトを7本紹介しよう。

□日本将棋連盟
http://www.shogi.or.jp/

駒をクリックすると、各ソフト紹介文へジャンプします。

■ まずは将棋の世界に触れてみよう

 一口に将棋と言っても駒の動きが複雑で、誰にでもすぐに覚えられるとは限らない。そこで、将棋になじみのない人はまずは将棋の駒を使って陣取りをする“遊び将棋”から試してみてはいかが。

“歩”と“と金”を使って陣取りをする遊び将棋「歩 vs と」

「歩 vs と」  「歩 vs と」は“歩”と“と金”の2種類の駒を使って陣取りをする一種の遊び将棋。通常の将棋と違い、盤面は縦9X横3で駒は“歩”と“と金”がそれぞれ9枚の計18枚。“歩”を一歩ずつ前に進め、9枚ある駒をすべて相手の陣地まで移動させれば勝利だ。“歩”の一歩先に“と金”があれば飛び越してその先のマスに移動することができ、3枚までならまとめて飛び越すことができる。逆に“と金”が先に自分の陣地まで移動してくれば負けなので、動かし方を工夫しなければ勝つことはできない。コンピューターとの対戦専用で難易度は2段階用意されており、先手か後手かは選ぶことができる。陣取りゲームなので、後手の方が当然難易度は高くなる。[レベル1]でもの足りなかった人は[レベル2]の後手で再チャレンジしてみよう。

【著作権者】照井 弘敏 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.3

□作者 照井 弘敏
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an015797.html

■ 詰将棋で実践力アップ、その後特定戦法の苦手を克服しよう

 詰将棋はいくつものパターンを考え、限られた一手を探し出さねばならない。コンピューターの戦法を決めて対局すれば、戦法ごとの攻略法の研究にもなる。ここでは、これらの実践力アップに役立つソフトを紹介しよう。

奥が深い詰将棋を気軽に楽しむ「東大将棋2 Lite 3.詰棋バトル」

「東大将棋2 Lite 3.詰棋バトル」  「東大将棋2 Lite 3.詰棋バトル」は、詰将棋を練習できる将棋ソフト。詰将棋では与えられた盤面から常に王手をかけた状態で、決められた手数中に相手を詰めなければならないというルールのゲーム。新聞などによく出題されているので、目にしたことのある方も多いことだろう。初級問題と中級問題がそれぞれ81問収録されており、詰将棋を始めたいと思っている人には特におすすめだ。また、自分で作成した詰将棋の問題をコンピューターに解かせたり、コンピューターと本将棋で対局することもできる。別配布の音声データをインストールすれば、碓井涼子女流二段の音声で棋譜読み上げや秒読みなどが再生され、プロ棋戦に出場しているかのような臨場感を味わえる。

【著作権者】(株)毎日コミュニケーションズ
【ソフト種別】シェアウェア 2,200円
【バージョン】1.01

□MYCOM GAME WEB
http://soft.mycom.co.jp/

戦法を指定してコンピューター対局ができる「三本立将棋」

「三本立将棋」  本将棋、挟み将棋、詰将棋の3つの将棋を切り替えて楽しむことができるのが「三本立将棋」だ。本将棋では、人間対人間、人間対コンピューターの対局が選べ、先手の飛車落ちなどのハンデや、コンピューターの強さを5段階から選択できるほか、王の守りを固める“穴熊”や、飛車を大きく動かして攻める“四間飛車”などコンピューターが使う戦法を選んで対局できる。自分の苦手としている戦法を選んで対局すれば、苦手意識を克服することができるだろう。コンピューター同士の対局を観戦するモードもある。また、挟み将棋では“歩”と“と金”の2種類のグループに分かれて、2枚の駒を使って上下か左右で相手の駒を挟むと駒を取ることができる。自分の駒は本将棋の飛車のように縦横自由に動かすことができるが、駒を飛び越えることはできない。初期設定では、相手の駒を6枚取ると勝ちになる。そのほか、詰将棋では17手詰めまでの問題をコンピューターが解いてくれる。

【著作権者】深津 栄次 氏
【ソフト種別】シェアウェア 1,980円
【バージョン】1.01

□「三本立将棋」のホームページ
http://www2.ttcn.ne.jp/~shogi/

■ 実力を磨いたら、友人相手にネットで対局

 やはり対局の醍醐味といえば人間同士の対局だ。これまでに詰将棋などで磨いた実力をネット対局で試してみよう。

友人とインターネットを使って対局「インターとねりこ【将棋】」

「インターとねりこ【将棋】」  「インターとねりこ【将棋】」は、インターネットを用いたネット対局が可能な将棋ソフトだ。まず、対局相手のIPアドレスを入力し、持ち時間や飛車落ちや角落ちなどのハンデを決めてネット対局を申し込む。相手がその条件で納得すれば対局開始。なお、対局相手は対局を申し込まれた際に「インターとねりこ【将棋】」を起動しておく必要があるので注意しよう。対局中に誤って“悪手”を打ってしまった場合は、『待った』をすることもできる。また、対局中に対局相手が長考している場合などにチャットでメッセージを送ることもできるので、「どうしました?」などと会話をしながら将棋を楽しめる。どちらかが投了するか、制限時間を設けている場合に制限時間が切れてしまうと対局終了だ。名勝負だった場合などは棋譜を保存して、今後の対局に役立てよう。

【著作権者】釈迦力 氏
【ソフト種別】シェアウェア 500円
【バージョン】1.6(98/01/31)

□作者 高尾 博史
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an012516.html

メールを使った異色のネット対局ソフト「めいる将棋」

「めいる将棋」  メールを使って対局するちょっと異色のソフトが「めいる将棋」だ。まず、先手となる人がソフトを起動し、自分と相手の名前、駒落ちするかしないかを設定。その後表示される画面上の将棋盤で駒を動かし、決定すると自動的に棋譜ファイルが作成され、この棋譜ファイルをメールに添付し対局相手に送信。メールを受け取った対局相手が「めいる将棋」に添付ファイルをドラッグ&ドロップすれば、先手の人が打った棋譜が表示される。駒を動かして、同じように棋譜ファイルをメールに添付し送信する。これを何度も繰り返していくことで対局を続けていくという仕組み。添付メールは普段利用しているメールソフトを使って送信するので、メール交換しているメールに添付して送るだけで楽しむことができる。「Datula」など添付ファイルを直接ドラッグ&ドロップできるメールソフトを使えば便利だろう。仕事の合間などのちょっとした時間にでき、じっくりと相手の手を読んだり自分の手を考えられるのがいい。また、対局の途中で棋譜を再生し、今までにどういう流れで打ってきたのかを確認することもできる。

【著作権者】Digital Derivative Technologies Japan Inc.
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.0β2

□DDT Japan Inc.
http://www.ddt.co.jp/

■ 将棋の歴史に触れてみよう

 冒頭でも書いたように将棋の歴史は古代インドから始まり、中国などを経て日本に伝来した。その結果、ルールや使用する駒が違ったものがいくつか存在する。今回はその中から、本将棋の先祖にあたる中将棋と、中国で発展した中国将棋を紹介しよう。

本将棋の先祖にあたる中将棋を楽しもう「FM中将棋 I」

「FM中将棋 I」  「FM中将棋 I」は中将棋というルールの将棋を楽しむためのソフトだ。中将棋とは12X12マスの144マス、自軍と敵軍の駒数あわせて92枚で行う本将棋の先祖にあたるもの。現代の本将棋の9X9の81マス、駒数40枚に比べると盤面が大きく、駒数は倍以上ということになる。また、取った駒は持ち駒とすることができず、チェスと同様に取り捨て。駒数が多いため、“酔象”や“麒麟”などの見慣れない駒もあるが、[移動ヘルプ]を利用すれば駒がどう動くのかが一目で分かるので駒の動きを把握しておこう。“王”を取るか、敵を“王”だけにすると勝ち。ただし、“酔象”という駒が成った“太子”が存在する場合は、“王”のほかに“太子”も取らなければ勝ちにならない。コンピューター対局のほか、一台のパソコンを使って二人で対局することもできる。

【著作権者】FM-SOFT
【ソフト種別】シェアウェア 500円
【バージョン】1.81

□FM SOFT
http://member.nifty.ne.jp/FMSOFT/

中国将棋を気軽に楽しもう!「下棋(中国将棋)」

「下棋(中国将棋)」  ルールや駒が本将棋と異なる中国将棋を気軽に楽しめるのが「下棋(中国将棋)」だ。中国将棋では9×10の盤面に駒数が32枚と本将棋よりも少なく、“相”や“象”のように自軍と敵軍で名称が異なる駒もある。自陣と敵陣は『河界』という場所で区切られており、“相(象)”は『河界』を越えて敵陣に乗り込むことができない。また、“帥(将)”と“士”という駒は『九宮』と呼ばれる下段中央の4マスから出ることができないなど、本将棋とは全く異なるルールになっている。本将棋でいう“王”にあたる“帥(将)”は上下左右にしか動けないなど、駒の動きも複雑なので、まずはヘルプにある駒の動きを一読してからプレイしてほしい。ただ、勝敗条件は先に“帥(将)”を取った方が勝ちで、これだけは本将棋の“王”を先に取った方が勝ちというルールと似ている。コンピューター対戦のほか、二人で対局することもできるので、友達とちょっと変わった将棋を楽しんでみてはいかが?

【著作権者】山本 三男 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2

□作者 山本 三男
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an008930.html

(山本 幸広)


 記事中のアニメーションとアイコン画像は石岡 友里氏によるものです。著作権は、石岡 友里氏に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。


お詫びと訂正:記事掲載時に、「三本立将棋」の紹介文において記述に一部誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

誤:「コンピューターの強さを4段階から」
  「詰将棋では7手詰まで」
正:「コンピューターの強さを5段階から」
  「詰将棋では17手詰まで」

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